プロの約半数がロフトを変更! ドライバーの「カチャカチャ」活用法&注意点
月刊ゴルフダイジェスト
月刊GDの兄弟誌・週刊GDの連載「プロスペック」で、2023年4月から2025年10月まで延べ84人のドライバーを調べると、ネック調整(カチャカチャ)を生かしてロフトやライ角を変更しているプロは84人中39人と半数近くいた。我々もプロのように「カチャカチャ」を活用すべきなのか?
PHOTO/Horaki Arihara、Hiroyuki Okazawa

シャフトが回転タイプと
一定タイプがある
ネック調整機能の通称“カチャカチャ”の利点は、大きく2つに分けられる。1つ目はリシャフトがすぐにできる点、2つ目がロフトやライ角を調整できる点。
1つ目のシャフト交換はプロだけでなく多くの人が活用しているのではないか。今回、注目したのはカチャカチャでのロフト(&ライ角)調整。調査した男女84人のプロのうち男子は43人で、その25人がカチャカチャ変更派。男子に限れば58.1%という数字。
ロフトを増やしていたプロは13人、A・スコット(9度→11度/23年10月調査)、松山英樹(9.5度→10.5度/24年2月)、金谷拓実(9度→10度/24年12月)など。逆にロフトを減らしていたのは12人で、X・シャウフェレ(10・5度→9.5度/25年3月)、蟬川泰果(9度→8度/25年8月)など。C・モリカワはQi10 MAXの24年1月は9度から2度立ての7度で使い、Qi35 LSの25年2月は9度から9.5度へ寝かせていた。モデル特性に合わせて“自分仕様”にカスタマイズしていたわけだ。

ザンダー・シャウフェレ
10.5度→9.5度(ELYTE TD)
2025年2月調査

ローリー・マキロイ
9度→8.25度(Qi10)
2024年6月調査

アクシャイ・バティア
9度→7度(ローグST MAX LS)
2024年8月調査

アダム・スコット
9度→11度(ステルス2+)
2023年10月調査
そもそもこのクラスの選手は多くのモデル&ドライバーをテストしたうえで“この1本”を選んでいる。それでも“カチャカチャ”でロフト調整していることが驚き。
ではアマチュアはどうか? 都内でゴルフ工房・ゴルフレンドを主宰する大野和昭さんに聞いた。
「うちのお客さまは半分以上が利用しています。こちらで調整してあげるケースやアドバイスすることもあります。女性で球の強さやつかまりが足りない人にはカチャカチャでロフトを寝かせることもします。寝かせると少し(フェースが)左を向きますし……。外ブラには据わりが右を向きやすいモデルがあるので、球筋だけでなくその解消にも利用します」
ではカチャカチャのロフト調整は積極的に活用すべき?
「これも性能のひとつ。やらないのはもったいない。ただし、グリップがバックライン無しの“丸”タイプであることが前提です。また、シャフトが回転して柄の向きが変わるモノも多いので、それが気になるかチェックが必要です」
カチャカチャ調整によって柄の向きがどう変わるか……。外ブラの5モデルを確認するとキャロウェイのみシャフトの向きが変わらず調整できるタイプだった。このあたりも知っておいたほうが良いポイントだ。
「柄の見え方を考慮して、予めスリーブの挿し方を変えることもありますよ」
ちなみに女子プロでは、山下美夢有(9度→8.5度/25年8月)、菅楓華(9度→9.5度/25年7月)、佐久間朱莉(9度→10度/24年4月)など41人中14人(34.1%)が調整していた。買った時のままという人は、これを機会に「ロフトを増やして打つ」「ロフトを減らして打つ」を試してみてはいかが?
山下美夢有
9度→8.5度で全英女子優勝


今年のAIG女子オープンを制した山下。前週のスコットランド女子オープンから続くリンクスの風対策で、ZXiドライバーのロフトを9度から8.5度に調整。ロフトを立てるとフェース角は1度オープンになるが、それをスクエアに構えることで、よりロフトが立ち、打ち出し角は低くなり、低スピンの弾道になる。「ロフトを立てたことでスピン量が約200回転減り、打ち出しもかなり低くなりました。結果、風に強く、ランが出る球が打てて地面の硬いリンクスで最高の結果が出せたのだと思います」(山下)。その後、ロフトを戻すことを考えたというが、8月の北海道meijiカップでは8.5度のままプレー、4位タイに入った
シャフトが回って柄の見え方が変わるタイプ
ピン「G440」シリーズ


●調整機能/ロフト:±0.6、±1度(5ポジションの場合) ●互換性/G410~G440

テーラーメイド
「Qi 35」シリーズ
●調整機能/ロフト:±0.75、±1.5、±2度 ライ角:0~4度UR フェース角:±4度
●互換性/R1~Qi35

タイトリスト
「GT」シリーズ
●調整機能/ロフト:±0.75、+1.5度 ライ角:0.75、1.5度UR、0.75度FL
●互換性/VG3(2014・2016)、910~917、TS~TSR、GT

コブラ
「DSーADAPT」シリーズ
●調整機能/ロフト:±0.3、±0.7、±1、±1.4、±1.7、±2度 ライ角:0.3、0.7、1、1.4、1.7、2度UR&FL
●互換性/DS-ADAPTのみ
シャフトが回る他のドライバー/スリクソン、ブリヂストン、ヤマハ、ミズノ、プロギア
シャフトが回転せず柄の見え方が変わらないタイプ
キャロウェイ「ELYTE」シリーズ


●調整機能/ロフト:±1度、+2度 ライ角:UR&FL
●互換性/EPIC、ローグST、パラダイム、ビッグバーサシリーズ(2020年~)、パラダイムAiスモーク、ELYTE
シャフト向きが変わらない他のドライバー/本間ゴルフTW
<調査結果>
女子プロ
●2023 8.5→8(櫻井心那/ZX5 MkⅡLS)、8.5→9.5(神谷そら/RMX VD/M)、 9.5→10.5(畑岡奈紗/ZX7 MkⅡ)、 8.5→9(山下美夢有/ZX5 MkⅡ)、 9→10(西村優菜/パラダイムTD S)
●2024 9→10(佐久間朱莉/G430 MAX 10K)、 10.5→11.5(天本ハルカ/パラダイムTD)、10.5→11(安田祐香/ZX5 MkⅡ)、 8.5→9.5(竹田麗央/ZX7 MkⅡ)
●2025 10.5→11(山内日菜子/Qi10)、 9→9.75(渋野日向子/GT2)、 9.5→7.5(横峯さくら/マスダFBL8)、 9→9.5(菅楓華/ZXi TR)、 9→8(大里桃子/G430 LST)
男子プロ
●2023 10→9.25(J・トーマス/TSR3)、 9→10(J・デイ/G430 LST)、 11→11.75(阿久津未来也/TSR3)、 9→11 (A・スコット/ステルス2+)、 10.5→9.5(石川遼/パラダイムTD S)、 10.5→11.5(J・ラーム/パラダイムTD)
●2024 9→9.75(L・アバーグ/TSR2)、 9→7(C・モリカワ/Qi10 MAX)、 6→5(B・デシャンボー/クランクゴルフFF LD)、 10.5→12.5(D・ジョンソン/Qi10 LS)、 9.5→10.5(松山英樹/ZX5 MkⅡ)、 11→11.75(米澤蓮/TSR2)、 8.5→9.5(杉浦悠太/パラダイムTD S)、 9→8.25(R・マキロイ/Qi10)、 9→8.4(V・ホブラン/G425 LST)、 9→7(A・バティア/ローグST MAX LS)、 10.5→9.5(平田憲聖/ミズノST-X230)、 9.5→8.5(宮本勝昌/B2 HT)
●2025 9→10(金谷拓実/G410+)、 10.5→9.5(X・シャウフェレ/ELYTE TD)、 9→9.5(C・モリカワ/Qi35 LS)、 10.5→9.5(石川遼/ELYTE X)、 9→9.75(中島啓太/Qi35 LS)、 9→8(蟬川泰果/G440 LST)、 9→9.75(米澤蓮/GT1)
※モデル名とロフトは調査時点のもの
次期ゼクシオにもカチャカチャ搭載!?


青木瀬令奈のドライバー、トウにXXIO+のロゴ
9月のミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンの会場でニューゼクシオとおぼしきドライバーが登場。写真は青木瀬令奈のドライバーで「XXIO+」のロゴが入り、ネックはカチャカチャ機能付き。前作のゼクシオとゼクシオXでは、Xのみカチャカチャ付きだったが、今回のモデルが14代目だとしたら全貌はどうなのか? ネック周りにも注目だ
月刊ゴルフダイジェスト2025年12月号より


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