“激飛びアイアン”はもはや「ただ飛ぶ」だけじゃない! 7番のロフト27度以下の最新8モデルを徹底試打!

7番アイアンのロフトが27度以下のいわゆる“激飛び系”は、たしかに飛ぶけど高さが出にくかったり、コントロールが難しかったりと、毛嫌いされる向きもあったが、近年の激飛び系はただ飛ぶだけではなくなってきているという。そこで今回は、最新の激飛びアイアン8モデルを徹底的に試打して、その実力を検証!
PHOTO/Tomoya Nomura、Tadashi Anezaki THANKS/StudioCGA


試打・解説/山﨑康寛(フィッター)、勝又崇之(プロゴルファー)
多くのプロのクラブも指南するスタジオCGA主宰の山﨑康寛さんと、ギアへの造詣が深く細かな違いも見逃さない勝又崇之プロが試打を行った
鍛造ボディに端正なルックス
昔の“激飛び”とはひと味違う!
7番アイアンでロフト27度以下のいわゆる“激飛び”アイアン”。試打した山﨑康寛氏は、以前の激飛びモデルと全く違う印象を持ったという。
「激飛びアイアンというと、ロフトが立っているため、ヘッドの重心を下げる必要があった。そうしないと球が上がりませんからね。さらにシャフトも長尺のカーボンにすることで、飛距離と高弾道を両立していたんです。そのためソールを幅広にして、シャフトの長さは7Iで37インチ以上にしていました。『激飛びは意外と扱いが難しい』と言われてきたのはそこに原因があります。けれど、今どきの激飛びアイアンは、ダウンブローにさえ打てればしっかり飛ぶモデル、芯にさえ当たれば激飛びのモデル、これまで通り、幅広ソールでソールを滑らせて飛ぶモデルなど、より細分化されてきました。ダウンブローにさえ打てればスピンが入るし球も上がるし飛ぶ。なので、ソールを細くして見た目をスッキリさせることができるなど、プラスアルファのストロングポイントを加えているんです。このように、細分化することで、より幅広いゴルファーにマッチできるようになったのが進化の形ですね」
【進化ポイント1】
中上級者も満足できるシャープな見た目
以前の激飛びモデルは幅広ソールやえぐれたキャビティなど“いかにも”なものが多かったが、今では軟鉄鍛造ボディを採用するなど、中上級者でも満足できる見た目に
【進化ポイント2】
打感がよくなった
「激飛び系は、球離れが早く『カーン』という打球音とともに弾く印象を持っていたのですが、大きく改善しているように感じます」(勝又)
【進化ポイント3】
より細分化された
以前は激飛び=力のないゴルファー専用という印象だったが、今は「ダウンブローに打てるけどもっと飛距離が欲しい人、など、競技志向の人にも合うモデルが出てきました」(山﨑)
激飛びアイアン
8モデルを徹底試打!

試打方法
球はプロV1xを使用。飛距離データはベスト5球の平均値。7番アイアンのヘッドスピード31m/s前後(ドライバーで39m/s想定)で試打を行った
「PRGR 03」は新時代の“激飛び”代表か
プロギア「03」


●ロフト(7I・PW)/26度・39度 ●ライ角(7I・PW)/61度・62.5度 ●長さ(7I試打シャフト)/37.75インチ ●試打シャフト/スペックスチールⅢ Ver.2 M-43 ●素材/SAE8655(フェース)・軟鉄S20C(ボディ)
“飛び”に“操作性”と“打感の良さ”を加えたNEW03
7Iでロフト26度ながら「狙える、ぶっ飛び系アイアン」を謳った「03」。ワイドソールながらもエッジとソール後方を削ることで抜けの良さをキープ。Oval Cavity Designにより、低深重心を実現した。5月16日発売予定
ハンドファーストで真価を発揮! 上から打ち込みたい4モデル
激飛び系ながらも、ハンドファーストに打つことでより真価を発揮するのが、この4モデル。中でも「打感重視なら『T400』、前進力があるのは『インプレス』。『GelongD』と『EZONE』は操作性が高く、弾道をコントロールしやすいです」(山﨑)
タイトリスト「T400」


●ロフト(7I・PW)/26度・38度 ●ライ角(7I・PW)/63度・64度 ●長さ(7I試打シャフト)/37インチ ●試打シャフト/N.S.PRO 880 AMC ●素材/17-4ステンレス・タングステン ニッケル
「ヘッドが大きいのに抜けが良くて操作性が高い!」
タイトリストのTシリーズで最もロフトが立っている「T400」。「7Iでロフト26度、そして大型ヘッドなのにソールの接地面積が小さくてしっかり振り抜けます。打感は軟らかめでドロー・フェードの打ち分けもしやすい。良い意味で裏切られます」(勝又)
ヤマハ「インプレスドライブスター TYPE-S」


●ロフト(7I・PW)/25度・37度 ●ライ角(7I・PW)/61.75度・62.5度 ●長さ(7I試打シャフト)/38インチ ●試打シャフト/SPEEDER NX for Yamaha M-425i(SR) ●素材/X37(ステンレス)、タングステン
「ヘッドもシャフトも軽いのに顔と打感は上級者も満足できます」
2モデルある「インプレス ドライブスター」の中で「タイプS」はつかまりを抑えたモデルだ。「インプレスならではの軽さが魅力。自然にヘッドスピードが上がりますね。タイプSは小顔でソールの抜けも良いので、つかまり過ぎるのがイヤな人にオススメです」(山﨑)
フォーティーン「GelongD IX-002」


●ロフト(7I・PW)/26度・38度 ●ライ角(7I・PW)/61度・62.5度 ●長さ(7I試打シャフト)/37.75インチ ●試打シャフト/FS-90i ●素材/軟鉄S25C(ボディ)、ハイパーeメタル(フェース)
「操作性が高くアスリートがUTとして入れてもOK」
キャビティ形状ながらフェース内部に中空部を設けたハイパーキャビティ構造を採用した「GelongD IX-002」。「反発力の高さとスイートエリアの広さをこの小ぶりなヘッドで実現しているのは中空ならでは。打感が軟らかく操作性も十分。プロも使える1本です」(勝又)
ヨネックス「EZONE GT」


●ロフト(7I・PW)/25度・37度 ●ライ角(7I・PW)/61.5度・63度 ●長さ(7I試打シャフト)/38インチ ●試打シャフト/N.S.PRO 850GH neo(S) ●素材/軟鉄S45C(ボディ)、マイティマレージングプラス(フェース)
「しっかり上から打ち込めばスピンも入る」
ボディにS45C軟鉄鍛造を使うことで、アスリートも満足できる打感に仕上げた「EZONE GT」。「ソールの接地面積が少なく、ラフでもしっかり抜けてくれそうな玄人向け。今回はスチールですが、カーボンシャフトにすれば、さらにやさしくなります」(山﨑)
飛ぶ・上がる・ミスに強い! 払い打って激飛ぶ3モデル
幅広ソールで払い打つスウィングに適したモデル。グースネックでつかまりもよく、ヘッドが大きめなので安心して振っていける。
ヤマハ「インプレス ドライブスター TYPE-D」


●ロフト(7I・PW)/25度・37度 ●ライ角(7I・PW)/61.75度・62.5度 ●長さ(7I試打シャフト)/38インチ ●試打シャフト/SPEEDER NX for Yamaha M-425i(SR)●素材/X37ステンレス、タングステン
「力がなくても軽さとつかまりの良さで満足のいく飛びに!」
フェース面上で最もたわむポイントを重心点と打点に近づけることで、高効率な反発性能を発揮。「スライサーでもしっかり球をつかまえてくれるし、スピン量も十分。打音は高めですが、打った感触はソフト。しっかり球がフェースに乗っている感触がわかります」(勝又)
ピンゴルフ「G730」


●ロフト(7I・PW)/26.5度・40度 ●ライ角(7I・PW)/62度・64.1度 ●長さ(7I試打シャフト)/37インチ ●試打シャフト/N.S.PRO 750GH neo (S) ●素材/17-4ステンレス、タングステン
「抜群のつかまり! 球も上がるしやさしさがズバ抜けてる!」
ピン史上最大の慣性モーメントを実現し、高弾道&やさしさに重きを置いた「G730」。「今回の試打モデルの中では、飛距離は抑えめですがその分、弾道の高さはピカイチ。つかまりがよく、打感もいいし高弾道。ヒール寄りにミスヒットしても真っすぐ飛ぶ!」(山﨑)
ブリヂストン「245MAX」


●ロフト(7I・PW)/27度・39度 ●ライ角(7I・PW)/62度・63.5度 ●長さ(7I試打シャフト)/37.5インチ ●試打シャフト/VANQUISH BSi for MAX (S) ●素材/メタルX37 CFRP、タングステン
「前進力のあるヘッドと高弾道を発揮するシャフトのマッチングが◎」
ヘッドにカーボンやタングステン、振動吸収ラバーを使うことで、飛びと打感を高次元で両立。「ヘッドは初速と打感を追求している印象。そこに独自のカーボンシャフトを組み合わせることで十分な高さを出しています。つかまりもいいですね」(勝又)

UT代わりに1~2本入れるのも手
金谷拓実は「i230」の5Iに加え、「G710」の5Iも入れている。「G710」の5Iはロフト21.5度。UT代わりに入れているのだが、激飛びアイアンはこういった使い方もアリ!
週刊ゴルフダイジェスト2025年4月29日号より