北海道で火が付いた話題のドライバー JIGEN「eルークⅢ」の飛びの秘密に迫る

10ヤード飛ぶなんていう話はたいていが眉唾だ。だが、奥ゆかしい道産子ゴルファーが言うなら話は別。この春、北海道で飛ばし屋が急増しているという噂。その真相を探るために北海道へ向かった。
TEXT/Hiroaki Yoshida PHOTO/Tsukasa Kobayashi

「eルークⅢが飛ぶ」と評判を広めたのは
札幌のゴルフ工房のお客さん
「10ヤードは伸びたかなー」「スピン量が500回転も減っちゃって……」「ショップですすめられて……」数々の噂話をつなげていくと札幌中心部に店を構えるゴルフ工房が浮かび上がった。
「『eルークⅢ』を初めて打ったのは昨年の12月でした」とThe Sun Golfの内堀店長。「eルーク」といえばカスタムの世界では知る人ぞ知るドライバーである。
「1発目からバーンッて初速が出たんです。さらにスゴいと思ったのは右に出るスライスでもスピンが増えないこと。早速試打クラブを仕入れて常連のお客さんたちに打ってもらいました。そうしたら飛ぶんですよ、みんなが。ウチの店では『eルークⅢ』がこの冬のベストセラーでした」
さらに調べを進めると同店で「eルークⅢ」を購入した北海道在住ゴルフYouTuberの動画をきっかけに札幌から全道へと口コミが広がったことが判明。ついに飛ばし屋急増事件解決の糸口をつかんだ。

The Sun Golf店長
内堀巧さん
「道産子ゴルファーは冬眠しません。真冬でも練習するし新しい道具を探します。今シーズンは『eルークⅢ』がブレークしそうです」
曲がる不安がまったくない


試打・解説/石井良介
1981年生まれ神奈川県出身。トラックマンの弾道分析に基づくレッスンやクラブ評価が評判。PGAティーチングプロA級
「スピンが少ないのにボールがねじれないのが不思議です。ひと言で言えば『eルークⅢ』は重心距離の長いヘッドのロースピン性能と深重心で大MOIのヘッドの直進安定性を併せ持ったドライバーです。ヘッドスピードを自分のMAXまで上げてもスピンはほとんど増えません。曲がる不安もないので振れば振るほど飛びます。バックフェースのウェイトは特徴的ですが、顔は小ぶりでニュートラル。見た目以上に安定感があるのは6個のウェイトのおかげだと思います。モチッとフェースに乗る感じと強めの弾き感のバランスがよく、美味しいところを2度味わえます。ヘッド自体の性能が高く、タイミングの合うシャフトを入れれば打ち手のポテンシャルを引き出してくれるドライバーに仕上がるでしょう」(石井)

高初速・適正スピン、ストレート弾道で飛ぶ
平均的アマチュアのヘッドスピードに対して2300回転台の理想的なスピン量。ボール初速は自分が振った感覚以上に出る

ハードヒットしても球が左に巻かない
ヘッドスピードを上げるほど球はつかまるが弾道はねじれない。スピン量が増えることもなく中強弾道で飛距離だけが伸びる
バイオレットやGCとも好相性
「eルークⅢ」はシャフトや打ち手を選ばないがしっかりしたシャフトがおすすめ





引張強度の高いTi-613チタンでフェースを薄肉化(左)/トウのウェイトを重くすれば球のつかまりがアップする(中)/オーソドックスでシンプルな見た目(右)
「eルークⅢ」開発担当
小林武史氏
「数ヤードでは選んでもらえないので10ヤード飛ぶクラブを作りました。インパクトでヘッドが減速してもボディがたわむことでヘッド後方が加速し続けるのが高初速の秘密。ウェイト調整で一番飛ぶ弾道が見つかります」


JIGEN「eRookⅢ」
●ヘッド体積/460㏄
●クラブの長さ/45.75インチ
●ロフト/10.5度
●クラブの重さ/305g(フジクラ スピーダーNXバイオレット50・S)
●価格/14万7000円
月刊ゴルフダイジェスト2025年6月号より