【マイギアを語ろう】天本ハルカ「毎日流れるようにゴルフをするために…」アイアンのシャフトは超軽量の60g台

自身の道具へのこだわりを、プロ自らが語る連載「マイクラブ マイギアを語ろう」。今回は、昨年、悲願の初優勝を挙げた黄金世代のひとりで、女子ツアー屈指の軽量セッティングのクラブで戦う天本ハルカ。アスリートコンサルタントの鴻江氏と考えるクラブ選び観とは?
TEXT/Hikaru Togawa PHOTO/Tadashi Anezaki

スペックや数値より
体の動きから考える
最近のツアーでは、新人や若手でもクラブ選びはデータ重視の傾向が強い。だが、天本ハルカは数値より体の動きを大事にしているという。
「試す際にスウィングタイプ的に合うか合わないか決めて、いけそうなら打ってみて、最終的に数値はどうなんだろう、という感覚です。だからまず、顔や見た目を大切にしています。数値としての結果が良くても見た目や感覚が気持ち悪いとダメです」
そこから、どれだけ毎日楽にゴルフができるかを考えている。
「その1つがクラブの軽量化。重いクラブも振ろうと思えば振れるのですが、毎日流れるようにゴルフをして、安定してやるためにはどこがちょうどいいかなと考えたときに、軽さが一番大事だと思っています。ただ、軽すぎても上から入ってくる感覚が失われるから、総重量だけじゃなくバランスも大事です。全体は軽いけど、バランスは今の私のちょうどいいところ。軽くしすぎると手に伝わる感じも低くなるので」
軽量化のきっかけは、プロテスト前に知り合ったアスリートコンサルタントの鴻江寿治氏によるもの。独自の「骨幹理論」に基づき、現在も天本を「うで体タイプ」として、クラブ選びのサポートを行っている。
60g台カーボンなら
高さが出て止められる
「以前アイアンのシャフトは90g台のスチールを使っていて、そこからカーボンにスイッチ。鴻江さんに試してみるように言われたのがきっかけです。今は60g台ですけど、その間に一度80g台で慣らして、今に落ち着きました。正直、ドライバーよりアイアンの重量を下げるほうがイメージ的にはかなり違うとなっていたので、最初はすごく不安だったし勇気が要りました。でも重量に慣れてくると、カーボンのほうが合っていることに気づいて。
もともと私の弱点は、スピン量が少なくて球が止まらないことでした。でもカーボンにしたことで、高さを出して止められるようになり、なおかつスピン量もイメージと合っていたので、それがとてもしっくりきた。自分で球を上げにいかなくても楽に上がるようになったので、すごく簡単になりました」
アイアン
ブリヂストン「ツアーB X-CB」(2016年)



ヘッドを感じ取れる
30g台の軽量グリップ
ドライバーもアイアンも、食い付く打感とつかまり顔が好みという天本。
「『パラダイム トリプルダイヤモンド』は食い付く打感がいい! 顔もキレイでつかまりがよく見えるのも好きです。今のクラブは弾くクラブが多く、初速が出るので飛ぶのは飛ぶけど、球のコントロールがしにくい。そこが少し苦手です。自分でコントロールしている感覚をなくさないようにしたいんです。
グリップは特注でかなり軽い30g台のものです。これぐらいの軽さにしないとバランスが出ない。他の部分が軽いから、グリップで重いのを着けるとヘッドが感じられなくなるんです。これなら総重量も軽くなってバランスも出せます」
ドライバー
キャロウェイ「パラダイム♦♦♦」

食いつきのいい打感!
「優勝ドライバーはその後に割れちゃって、タイトリスト『GT2』を数試合試したけど、結局元のモデルに。『GT2』は飛ぶけど打感が少し硬くて、逃がす感じにしてしまう」


パター
オデッセイ「ホワイト・ホットOG ROSSIE」


58度はやさしく拾いやすいモデルをチョイス

天本ハルカの14本セッティング


月刊ゴルフダイジェスト2025年5月号より