【マイギアを語ろう】木下稜介「グリップさえも“替えられない” 10年モノのエースパター」
自身の道具へのこだわりを、プロ自らが語る連載「マイクラブ マイギアを語ろう」。今回は、24年シーズン、3年ぶりの優勝を挙げた木下稜介。「気に入ったら使い続けます」と言う木下のバッグをのぞくと、味のあるギアにあふれていた! 24年から契約フリーとなった木下のクラブ選びのこだわりとは?
TEXT/Hikaru Togawa PHOTO/Hiroyuki Okazawa
「優勝したパター」よりも
しっくりくる10年モノのエース
「パターのこだわりは強いですね。大学4年生の頃に作ってもらってからずっとエースパターです」と言う木下稜介。
だが、ミズノオープン優勝時は、別のパターを使っていた。
「全然こだわりないじゃん! て感じですよね(笑)。その時パターの調子が良くなくて、同じ形状で『スーパーストローク(グリップ)』が入っているのを作ってもらい、それで臨みました。そうしたら優勝しちゃって。でもやっぱり、なんだか合わなくて今はエースに戻しています」
元に戻した理由はグリップ。
「『スーパーストローク』だと太くて握った感じが微妙でした。(エースは)10年前からグリップもシャフトも替えていないから、ヘッドまですべて一体になっている感じなんです。グリップも擦り減って、角張っていたところが丸くなってしまって……。でもそれがまたいい握り心地なんです。ヒビも入ってきている状態ですが、本当にもう愛着しかないですね。グリップを替えるとパター自体が変わってしまう気がするので替えられない。実はスペアが5本くらいあるんですが、やっぱりグリップが合わなくて替えられないんです」
「使いすぎてグリップの先端が切れそうなんです(笑)」
グリップすら替えていないため、グリップの先端に亀裂が入ってしまったとのこと。ここまでなっても手放せない
パター
オデッセイ「トライホット#3 iX プロトタイプ」
試打は
1球目に出た球筋がすべて
グリップの握り心地にこだわる木下は、クラブ選び全般でもフィーリングを重視する。
「1球目がとにかく大事。最初に出た球筋を見て、そのクラブを使うか使わないかを決める。もし1球目で右に行ったら2球目はどうしても自分で調整をしてしまう。それでは意味がないから、最初の1発目を大事にしている。それで自分の中で良いと思ったら投入します。
その良いと思うポイントは、インパクトの感覚と球筋が一致するか、自分の思い描いた通りに飛んで行ってくれるかが大事です。加えて、方向性とつかまり感を見る。もちろん打球結果も大事だけど、一番は真っすぐ思い通りに飛ぶこと。弾道の高さとかはロフトなどの調整で変えられますからね」
シャフト選びも打感が基準。
「正直、先調子とか中調子とかあまりわかってなくて。ただ粘りがあるほうが好み。アイアンはXだとあまりしならずにビュッと来てしまい、打ち出しと球のイメージが合いづらかったのでSにしてます」
ウェッジは
フェースの“乗り感”を重視
ピンを狙う番手では、フェースの“乗り感”にこだわる。
「大体4試合くらいでウェッジを替えていたけど、今はミズノオープンあたりから替えられていない。溝も少しなくなってきて、メーカーさんに全く同じものを4本くらい作ってもらったけど、“乗り感”の違いがあって替えられないんです。練習ではそのスペアを使うようにしているんですが、馴染んでこないので試合ではどうしても昔のものを使ってしまう」
“乗り感”の違いはスピンのかかり方や距離感に影響が出ると言う。PWをマッスルバックにしているのも“乗り感”をより感じやすく、ラフからの距離感も合わせやすいから。
「少しハードなイメージを払拭できれば、本当は8Iくらいまでマッスルバックにしたい」
ウェッジ
ボーケイ「ウェッジワークス 58.5度」
「ペタッと開きたいので削りました。フルショット時の抜けもいい。シャフトが黒いのは、キャメロン・スミスの真似(笑)。0.5度寝かせたのは、ほんの気持ち上げたいのと、藤田寛之プロの真似です(笑)」
PW
ブリヂストン「B-Limited 220 MBアイアン」
ウェッジのような感覚で打ちたい!
「PWがマッスルバックなのはスピン量を増やして、よりウェッジの感じで打ちたいから。マッスルバックのほうがフェースの“乗り感”をより感じやすいし、ラフからの距離も合わせやすい」
ユーティリティ
ブリヂストン「ツアーB X-HI」
安心感のある顔が好き
「打球がとても上がりやすい、それでいて構えた時にバックフェースが適度に隠れていて嫌な感じがしないです」
木下稜介の14本セッティング
月刊ゴルフダイジェスト2025年2月号より