【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.196「今は7UTを探している段階です」
高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。
PHOTO/Masaaki Nishimoto
ゴルフ場でスタート前に、アマチュアの人のクラブのセットをのぞいて、スタートホールのティーイングエリアで素振りや所作を見ていたら、球を一発も打たんでも、その人のだいたいの腕前はおおよそ見当がつきます。
たまに3、4、5番アイアンを入れている人がいてますが、重いんやろなと思うて見てますけど、それがブレードのアイアンとかだと、この人は相当上手いんやろなと思いますよね。
僕自身は、シニアに入りしたときはもう5番アイアンは抜いてました。今は、6番アイアンも6UTに替えてます。6UTなんかは、ロフト28度でアゲンストだと8番アイアンの距離しか飛びませんからね。それをどうやって抑えていくか。そらもうプロとしてはやっていかなあかんことです。
それでも、ボールが上がるいうことほどありがたいことってないんですよ。UTがなかったら僕なんかでも、とっくにゴルフやめています。本当に。
クラブスピードがない人はボールが上がらんわけやから、そうなると地上戦でいかなあかんわけで、池越え・谷越え・打ち上げのホールが多くて地上戦やどうにもならんコースでは戦えない。
プロだけの話やないです。アマチュアの人かて、ダウンヒルの逆目で残りの距離が175ヤードいう砲台グリーンのピンに対して、どうやって5番アイアンでピンに打つんですか。おまけにそれが、ラフでディボットやいうたらどうするんですか。
ゴルフは常によいライからフルスウィングで打てる状況にはないという前提で考えないといけんわけで、複合ライで、それにプラス風があって、グリーンの形状や硬さがある。そんなときに5番アイアンが自分のゴルフのレベルでは、有利なんか不利なんかということは、はっきりわかる話です。
だから、セットで買ったものをそのまま使っているとか、格好つけて5番アイアンを入れているという人も含めて、5UTとか4UTとかはもちろん、6UTとかも視野に入れてセッティングを考えてみるいうんもええと思います。
僕は今、7UTを探している段階です。真剣に、もうアイアン全部やめたろかなと思ってますよ。
「UTなかったら、ゴルフとっくにやめとります」
奥田靖己
おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する
週刊ゴルフダイジェスト2024年10月8日号より