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【クラブ駆け込み寺】Vol.10「ルールで認められている“バックライン”を生かさないのはもったいない」

“頑固オヤジ”が勇退し、あとを継いだのが練習場で小さな工房を営む通称“アニキ”。今回は「グリップを選ぶ基準が分からない」という相談が寄せられた。

ILLUST/Kochi Hajime

前回のお話はこちら

Q. グリップ選びは何を基準にすればいい?


最近、グリップ選びで悩んでいます。知り合いの上級者は重さ、太さだけでなく、硬さも選んだほうがいいと言うんですが、何を基準に、どう選べばいいですか?


最も考えるべきはバックライン

猛暑日の日が多く、今年も暑いですね。これ以上日差しの強い日が続くようになったら、外でラウンドをするのではなく涼しいインドアのシミュレーションゴルフが流行るようになるかも。そういえば、来年から米国でスタートする新リーグ「TGL」も屋内スタジアムで展開するとか。シミュレーションゴルフとリアルなショートゲームを組み合わせるそうですが、気候に影響されないプレースタイルは、異常気象下のゴルフの未来図と言えるかもしれませんね。

「先日、知り合いのクラチャンに、グリップ選びが雑だ、と言われたんです。UTとアイアンのグリップの太さが違う、なぜ気付かないんだ、と。確かにメーカーもモデルも違うので、あまり気にしていなかったんですが。私もそろえたほうがいいかな、とは思うんですが、クラチャンいわく、どうせ替えるなら、重さや太さ、それに硬さも吟味したほうがいい、と。実際、どう選べばいいんですかね?」

この相談者は、今までグリップ交換をしたことがなく、ある程度使用したクラブは中古ショップに売り、最新モデルを購入する、というサイクルを繰り返してきたそう。

「クラチャンさんの意見ももっともですが、そんなに厳密に考えなくてもいいですよ、数値的なものは。それより気になるのは、バックラインの有無ですね。アイアンにはあるのに、UTとウッド類にはないですよね」

「ああ、ホーゼルのカチャカチャで、シャフトの向きが変えられるものは、バックラインなしですね」

確かに最近はこういった可変機能に応じたバックラインなしが増えているようですが、私はもったいないな、と思っています。

「せっかくルールが許している、打面の動きを手探りできる“出っ張り”は生かさないと」


自分に合った“最適解”を探す

昔、SWを発明したジーン・サラゼンが、平らな面のあるグリップを考案したんですが、ルールで禁止されました。その後、テニスやバドミントンのラケットのように断面が六角形や八角形のグリップが作られたこともありますが、これもルール違反で禁止。ということは、やはりグリップの角張りや平面部分は、打面コントロールに大いに実効性がある、ということの裏返しなんですよ。

「だから、バックラインを工夫して利用すれば、確実に打面の操作性や、フィードバックを高めることができると思うんです。たとえば、あえて親指側に向けてみるとか。親指と人さし指のV字に収まるようにしてもいいんです」

「確かに、パターのグリップがまん丸だったら、難しくなりそうですよね……。でも、カチャカチャで調整したくなったら、困るかも」

「一度カチャカチャでセッティングを決めたら、当分いじらないですよね。だったら、その後でグリップを挿せばいいんです。それに、カチャカチャを生かせばグリップを回してバックラインの位置を変えて試すことも簡単です」

「なるほど……。それ、アイアンでは番手ごとに少しずつズラすとかもアリですかね」

「いや、あまり複雑にしないほうがいいです。それを考え始めると、バックラインを少しねじって……とか、深みにはまりますから(笑)」

昔は下巻きに竹串を挟んでバックラインを強調する、という加工法もありましたが、今は専用キットも販売されています。また、そこまで極端にしなくても、バックラインを強調したゴルフプライドの『アライン』シリーズなどもあります。バックラインの感触を軸に、握りやすい太さ、硬さを探す。で、気に入ったモデルを絞り込んだら、アイアンの8番と9番に挿して使い勝手を比較してみるのがオススメです。振って良し、押えて良しのグリップを見つけてください。

月刊ゴルフダイジェスト2024年9月号より