ツアーモデルなのにやさしい!プロからシニアゴルファーまで使える『スリクソン ZX5』アイアン
多くのクラブを手掛けてきた設計家・松尾好員氏が最新クラブを徹底的に計測・分析する「ヘッドデータは嘘つかない」。今回は住友ゴムの『スリクソン ZX5』アイアンを取り上げる。
“日本一曲がらない男”が使用するアイアン
6シーズン連続でFWキープ率1位の「日本一曲がらない男」で、20年の日本オープンでツアー2勝目を挙げた稲森佑貴が使うのが、今回紹介するダンロップ『スリクソン ZX5 アイアン』。稲森は、『ZX5』を「打感がよく、球が強くて、長い番手でもスピンがかかる。ロフトは少し立っているが、高さが十分に出るので、ロングアイアンでもピンを攻めていける。それにバックフェースのデザインがカッコよくて、いかにもポケットキャビティという感じがしないのもいい」と絶賛。
さて、計測していこう。アイアンの場合、計測クラブは7番で、数値はすべて実測値を記載する。クラブ長さが37インチと標準的だが、クラブ重量は標準カーボンシャフトの『ディアマナ ZX for アイアン』仕様で384.7gと軽く、スウィングウェートがD0.3とやや小さいので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ慣性モーメントが264万g・㎠とやや小さくなり、この数値であればドライバーのヘッドスピードが40~41m/sくらいのゴルファーにとってタイミングよく振れる設計になっている。
Point.1 クラブ重量が384.7gと軽い
Point.2 リアルロフト角が31.2度とツアーモデルにしてはロフトが立っている
Point.3 クラブ慣性モーメントが264万g・㎠とやや小さい
プロモデルとしてはやさしく
つかまりがいい
では、ヘッドを見ていこう。プロモデルらしくオーソドックスな形状だが、同時に発売された兄弟モデル『ZX7』に比べてフェースが長く、ソールの幅も広い。また、ややグースネックでやさしさ感が出ている。また、『ZX7』よりもフェースのトウ側が高くそちらに重量配分されているのがわかる。そして、ソール面のトウ~ヒール方向の丸みが少なくストレートなリーディングエッジが特徴だろう。
実際に試打したところ、プロモデルとしてはフェースが長めで、ソール幅も広くやさしさ感があるヘッドといえる。また、フェースのトウ側が高いので、球をフェースのややトウ寄りで構えるドロー系プレーヤーに向いている。
試打クラブにはカーボンシャフト『ディアマナ ZX for アイアン』のSフレックスが装着されていて、クラブ重量が軽いのでヘッドスピードがそれほど速くないシニアゴルファーでも振りやすくなっている。また、適度なしっかり感があるのでスウィングしやすいシャフトだろう。ロフト角は31度とプロモデルとしてはややストロングロフトだが、カーボンシャフト仕様でクラブが軽く振りやすので、球はよく上がる。また、フェース面は軟鉄よりも硬いクロムバナジウム鋼で、打感も硬いが、球の弾き感はいい。そして、ソールのバウンス角が7.7度としっかりあるため、ターフをとるようなダウンブロースウィングのゴルファーならソールの抜け感の良さを感じられるはずだ。
住友ゴム
スリクソン ZX5
<試打モデルスペック>※メーカー公表値
●ボディ/軟鉄&タングステンニッケルウェート(4I~7I)、軟鉄(8I~SW)、フェース/クロムバナジウム鋼
●ロフト角/31度
●ライ角/62度
●長さ/37インチ
●シャフト/ディアマナ ZX for アイアン(S)
●総重量/約373g(7I・S)
●価格/13万2000円(5I~PW)
クラブ&ヘッドデータ(実測値)
クラブ長さ | 37.0インチ |
クラブ重量 | 384.7g |
スウィングウェート | D0.3 |
クラブ慣性モーメント | 264万g・㎠ |
ヘッド重量 | 268.4g |
リアルロフト角 | 31.2度 |
ライ角 | 62.2度 |
フェースプログレッション | 3.8㎜ |
バウンス角 | 7.7度 |
重心距離 | 37.3㎜ |
重心深度(フェース面から) | 2.6㎜ |
スイートスポット高さ | 20.8㎜ |
ヘッド慣性モーメント(左右) | 2528g・㎠ |
ネック軸周り慣性モーメント | 5472g・㎠ |
松尾好員
まつおよしかず。往年の名手、S・バレステロス、I・ウーズナム、青木功、加瀬秀樹らのクラブ設計を担当。近年のクラブを知る“現代の知匠”。ジャイロスポーツ主宰
週刊ゴルフダイジェスト2021年4月13日号より