【クラブ駆け込み寺】Vol.6 24度のUTは打てるのに「21度」が全然当たらない! シャフトを先調子に替えるべき?
“頑固オヤジ”が勇退し、あとを継いだのが練習場で小さな工房を営む通称“アニキ”。今回は「UTの24度は打てるけど、21度が全然当たらない」という相談が寄せられた。
ILLUST/Kochi Hajime
Q. 190ヤード前後を打ち分ける
ユーティリティのチューンとは?
ロフト角21度のUTを使い始めたんですが、ミスショットばかりで上手く打てません。シャフト交換でつかまりやすくしようと思っていますが、他の方法もありますか。
まず打球が上がる条件を整える
最近、常連さんからUTの相談を受けることが多くなってきました。アイアンのストロングロフト化で長い番手が打ちにくくなるのと、年齢的なヘッドスピードのダウンとの兼ね合いで、170〜200ヤードぐらいを打ち分けられる番手を探すようになった方が増えているようです。
「5番アイアンを抜いてロフト角24度のUTに替えたらすごく良かったので、同じモデルの21度も入れてみたんですが、こちらは全然ダメ。高さが出ないわ、左右に散るわのミスショットばかり。つかまりが悪いので、シャフト交換すれば何とかなるかと思うんですけど」
ドライバーの飛距離は230ヤードぐらいという方で、175ヤード前後を打つ番手をUTに替えて上手くいったので、205ヤード前後を打てる5番ウッドとの間に入れていた7番ウッドもUTに替えてみたら、ミスショットが止まらなくなったとのこと。
「190ヤード前後を打ちたいんですね。7番ウッドに戻すのがベターでは?」
「ウッドは引っかけのミスが時々出ていたので……。この24度のUTみたいなつかまりがちょうどいいんですけどね。やはりシャフト交換ですかね?」
「ちょっと、そこの打席で打ってみてください」
実際の打球を確認すると、ミスの原因がわかりました。予想通り、上がらない打球を無理に上げようとして力んでしまい、ミスを重ねていたようです。
「ヘッドスピードに見合った高さが出ていません。だからロングアイアンを打つのと同様の難しさを解消できていないんですよ」
「それなら、打球が上がりやすい先調子系にシャフト交換とか、ですかね」
「いや、それよりロフト角の大きいヘッドを選び直すほうがいいです」
ロフト角ではなく“長さ”で打ち分け
元々、UTがロングアイアンを駆逐したのは、圧倒的に打球の高さを出しやすかったからです。そのつかまりやすさに最も効くのは、ロフト角の大きさです。
「考え方として、まず十分なロフト角があるヘッドを選ぶ。で、必要十分な飛距離の出る“長さ”(レングス)にするんです。たとえば、同じロフト角24度のヘッドで、1〜1.5インチ長くするとか」
自信を持って打てる好印象のヘッドをそのままに、長さを延ばしてヘッドスピードを上げ、届く距離を伸ばす。一番オススメです。
「でも、長くするとバランスが重く出すぎたり、ライ角が合わなくなる、ということは?」
「ヘッドをウェイト調整できるモデルならベターですが、シャフトの軽量化でも対応できます。ライ角は、それほど目くじらを立てなくてもいいと思いますよ、ソールにラウンドがあるので。気になるようなら、シャフトの挿し方で少しオープンにして調整することもできます」
買い替えを含めて検討するのであれば軽量の長尺タイプや、レディスモデルのヘッドを選ぶのも手です。
「家内の使わなくなったUTがあったな……。シャフト交換で長さと重量を合わせれば使えますよね。ちょっと確認してみます」
プロでも飛び系アイアンをUT代わりに使ったりしていますよね。あれは同じロフト角の5番でも、重心設計や重量配分で寛容性を高めているだけでなく、長さが0.5〜1インチ違うことで差別化ができているんです。
長いとミート率が落ちる?
そんなことはありません。45インチ以上のドライバーが打てて、それより短い番手が当たらないのは長さが問題なのではなく、ロフト角が少ない場合だけと考えてください。十分なロフト角がやさしさの本当の目安です。
月刊ゴルフダイジェスト2024年5月号より