ピン「S159」&タイトリスト「ボーケイSM10」 最新ウェッジ全12グラインド試打
最近のウェッジは、1つのモデルでさまざまなソールグラインドのバリエーションを備えるものが多い。その違いを探るべく、日下部光隆プロがピンとボーケイの最新ウェッジを徹底試打。2モデル計12種類のソールを打ち比べると、ある傾向が見えてきた。
TEXT/Kousuke Suzuki PHOTO/Tomoya Nomura THANKS/東名CC
試打・解説/日下部光隆
1968年生まれ、神奈川県出身。ツアー3勝を挙げ、“アプローチの天才”として知られる。東京で「WASSゴルフスタジオ」を主宰し、シニアツアーにも挑戦中。サークレイス(株)所属
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- 最近のウェッジは、1つのモデルでさまざまなソールグラインドのバリエーションを備えるものが多い。その違いを探るべく、日下部光隆プロがピンとボーケイの最新ウェッジを徹底試打。2モデル計12種類のソールを打ち比べると、ある傾向が見えてきた。 TEXT/Kousuke Suzuki PHOTO/Tomoya Nomura THANKS/東名CC 試打・解説/……
万能で高機能な「平行ソール」
ソール後方のラインが直線的
小技が苦手なら、まずこのタイプ
ソールのリーディングエッジ(刃側)とトレーリングエッジ(後方)の線が平行に見えるタイプは、バウンス量が多めで、ミスなくやさしくアプローチしやすく、バンカーからも打ちやすいモデルが多いという。「ボーケイSM10」では「K」や「F」、「S159」では「B」や「S」などがこのタイプだ。アマチュアが迷ったらこの4タイプがおすすめだ。
「普通に打ってもバウンスが利きやすく、アプローチが得意でない人でもミスが出にくいソールです。バンカーでも使いやすいし、万人向けのソールだと思います。とくにボーケイの『K』やピンの『B』などはホントにやさしいですね」
「ボーケイSM10」の「D」や「S」などはさらに顕著で、基本的にフェースを開いて使わない人におすすめとのことだ。
ボーケイSM10
Kグラインド
ハイバウンスな幅広平行ソール
ワイドソールでバウンス角も大きく、お助け効果が強いが、意外とバウンスがジャマにならず芝の薄いライからでも打ちやすい。ヒール側は滑らかに落ちていて開きにくさもなくバンカーでもやさしい万能ソール。
ボーケイSM10
Fグラインド
お助け効果大の超ハイバウンス
ハイバウンスの狭いソールがすごく利いていて、打ち込めない人でもバウンスが生き、ダフリ気味でも滑ってくれる。基本的にはスクエアに使うことを前提としたウェッジ。
S159
Bグラインド
開いても使える幅広ソール
バウンス角表記は小さいが幅広ソールでしっかりバウンスが利く。平行というよりやや逆ハの字的にヒール側のバウンスが落ちているのでフェースを開いても使える。
S159
Sグラインド
ボールを拾えてミスをカバー
ソール幅が狭くハイバウンス。上から打ち込むとソールが強めに当たる抵抗感があるがボールを拾ってくれてお助け効果は大きい。開きやすさはあまりないのでスクエア推奨。
「開いて使えない人」は
“ぼってりソール”がいい
「ボーケイSM10」の「Sグラインド」や「Dグラインド」は、ぼってりとしたボリュームのあるソールでスクエアに使ったときにバウンスのお助け効果が強いタイプ。「『D』はヒールが落ちているので開いても使えますが、基本的にフェースを開けない人におすすめしたいのがこの2タイプ。とくに『S』はリーディングエッジが直線的で、顔的にもスクエアに使うことを前提にしていると感じます」
開いて使うなら「三日月ソール」
ソール後方のラインが三日月的
多彩に使える“上手い人”向け
ソールを見たときに三日月形のシルエットが見えるタイプのソールは、フェースを開いて多彩なアプローチをしたい人に向いているという。
「このトウからヒールにかけてカーブを描いた削りがあるウェッジは、フェースを開いたときにバウンスが出すぎずにジャマにならないし、いろんなライに対応できるんです。フェースを開いて使う人は、絶対にこのタイプ。ハンドダウンかつハンドファーストにしっかり打ち込んだときに気持ちよく抜けて、フェースに球が乗ってくれます」
「S159」の「H」や「T」、「ボーケイSM10」の「T」や「M」がこのタイプだ。小技を使うならこの4タイプがおすすめ。
「ピンの『W』は超ハイバウンスの、いわゆる“お助けウェッジ”。バンカーが苦手な人は専用で入れてもいいかもしれません。『E』はかつての『アイ2』そのもの。昔愛用していた人は試してみてください」
普段からフェースを開いてアプローチをする人はこの「三日月形」のソールを持ったタイプが使いやすい。ハンドダウン・ハンドファーストに打ち込んだときにバウンスがもっとも効果を発揮し、スムーズに抜けてフェースに球が乗る
S159
Hグラインド
中・上級者向けのスタンダード
バウンス角表記は8度しかないが打ち込んでも刺さらずに抜け、程よくソールが滑ってくれる。フェースも開きやすく、中・上級者向けウェッジのスタンダードといっていい完成度の高いグラインド。
S159
Tグラインド
繊細に扱えるがお助け効果は小
バウンス角も実際の量も少なめで、多彩なテクニックを使いやすくバウンスがジャマをすることもないが、お助け効果も小さい。バンカーショットは少しシビアに感じる。
ボーケイSM10
Tグラインド
4度に見えないバウンスの利き
バウンス表記は4度で削りは三日月形だが、打ってみるとしっかりバウンスは利いていて、意外にもハイバウンスの狭いソールに近い使用感。構えた顔もスクエア感がある。
ボーケイSM10
Mグラインド
開きやすい万能ソール
フェースを開いてもヒール側がジャマにならず、開いて使いやすいスタンダードな三日月ソール。バウンス角は8度表記だが、打つとそれ以上に感じるやさしさもある。
名器「アイ2」が好きな人へ!
S159
Eグラインド
ピンの往年の名器「アイ2」の復刻版といえるモデル。個性的な顔なので初めて使う人は違和感があるかもしれないが、慣れ親しんだ人には使いやすく、操作性も高くてソール形状も万能。開けるしスピンもかけられ、現在でも通用する完成度の高いソール。
バンカーが苦手な人のお助けグラインド
S159 Wグラインド
超ワイドソール・ハイバウンスで、とにかくバウンスが利くお助けウェッジ。そのぶんフェースは開きにくいので、スクエアに使う人向け。バンカーでもスクエアに打ってやさしく脱出できるので、バンカーが苦手な人はバンカー専用に入れるのもアリ。
フェースに球が乗ると
低く出てスピンが利く
日下部プロに12種類のソールグラインドを打って解説してもらったが、実際に自分にどれが合うかの判断は難しい。理想は芝の上で実際に打ってチェックすることだと日下部プロ。
「こればかりは実際に芝の上やバンカーで打ってみないとわからないんです。でも実際に芝から打ち比べると、ソールごとに想像以上に差があるので、ぜひ機会を作って試してみてください。判断基準は打ち出し角。低く出てスピンの利いた球が出れば、スウィングタイプと合っている証拠です。これは練習場でもある程度見分けられますよ」
なお、練習場で打ち比べる場合は、ボールの表面にワックスが塗られた2ピースボールよりも、ノンワックスの1ピースボール、いわゆる「ダンゴボール」のほうが判断しやすいという。打ったあとフェースにワックスの跡がつかないボールの練習場で試してみよう。
「うまく打てたとき出球が低いソールが相性◎! 低打ち出し・高スピンなら買いです」
週刊ゴルフダイジェスト2024年3月26日号より