“マッスル男子”は昔の話? 今やツアーでもキャビティ派が主流に
男子のハードヒッターが使うアイアンといえば、シャープな形状の「マッスルバック」という印象だが、近年は男子プロでもキャビティタイプが主流となっている。その理由は?
PHOTO/Blue Sky Photos、Hiroaki Arihara ILLUST/Takanori Ogura
今年の全米プロで5度目のメジャー制覇を果たしたブルックス・ケプカ。アイアンは操作性を重視してブレードタイプのマッスルバックを使っていると思いきや、スリクソンのキャビティタイプ「ZX7 MkⅡ」を使用中。ケプカだけでなく、国内男子ツアーでもキャビティに移行する選手が増えているという。
PGAツアー選手並みの飛距離を誇る幡地隆寛は「昨年の秋からキャビティタイプに替えました。もともと上から入れるタイプということもあって、マッスルだとスピン量が増えてうまくいかなかった。そんなときにキャビティを試したら、球の高さもスピン量も安定したんです」という。
なぜ、いまスイッチする人が多いのか。クラブデザイナーの松吉宗之氏によると
「弾道計測器の普及が大きいですね。キャビティのほうが効率よく飛ばせるのがデータとしてわかるようになったんです。また、昔はフェース面で球筋をコントロールしていましたが、今はクラブパスとフェース向きでするようになった。なので、フェース向きを維持しやすいキャビティのほうが扱いやすいんです」
ブルックス・ケプカ
スリクソン「ZX7 MkⅡ」
もともとナイキ契約だったケプカは2015年はナイキのブレードアイアン「ヴェイパープロ」を使用。その後ミズノのキャビティなどを使用し現在のスリクソン「ZX7 MkⅡ アイアン」に至る
金谷拓実
ピン「i230」
「プロのセッティングでは、グリーンにボールが止めにくくなって、キャビティに替えました」
幡地隆寛
タイトリスト「T100」
「J・スピースなど米ツアーのトップ選手がT100を使ってるんだからボクが難しいクラブ使う必要ないなって。替えてからは、スピン量や距離感が安定しました」
なかにはこんなケースも!
「メーカーの手違いで届いたやさしいモデルを愛用しています」(稲森佑貴)
「手違いが功を奏した」
5年ほど前、メーカーからスリクソン「Z785」が稲森のもとに送られてきた……はずだった。
開封してみると、入っていたのはやさしめの「Z585」だった!
次の日に友人とのラウンドがあったので送られてきたアイアンを使用してみたところ、まさかの好感触!
「これでいいじゃん!」となり、現在もZ585の後継モデル「スリクソンZX5Mk Ⅱ」を使用中
月刊ゴルフダイジェスト2023年8月号より
こちらもチェック!
- かつてはアイアンのほとんどがマッスルバック、あるいはフラットバックと呼ばれるタイプだったが、80年代半ば頃からキャビティバックが登場してきた。 キャビティバックを採用したアイアンの最大のメリットは、ヘッド周辺に重量が配分されるため慣性モーメントが大きくなること。そのためスイートエリアが大きくなり、多少、芯を外してもミスに強く、方向安定性も高い。だが、当時のキャビティ……