なぜ「PW」だけ錆びている? 宮里優作が明かした理由が深かった
男子プロのアイアンセットをよく見ると、PWだけ錆びている選手が何人かいた。そのひとり、宮里優作に理由を聞いてみると……。
PHOTO/Hiroaki Arihara ILLUST/Takanori Ogura
ノーメッキPWの元祖は平塚哲二
最近の男子プロは、アイアンセットのPWを外し、単品ウェッジを4本入れる選手も少なくない。そんななか、宮里優作のバッグを覗くと、アイアンセットのPWが入っていた。しかしよく見ると、PWだけ錆びている。その理由を聞くと、
「PWだけノーメッキ仕様にして、飛距離は確保しつつも打感をウェッジのような柔らかさにしたかったんです」と宮里。
そのきっかけは平塚哲二だという。そこでノーメッキのいいところを平塚に聞いてみた。
「PWの距離はただ乗せればいいわけではなく、バーディを狙える位置につけたいんです。通常のPWではラフや濡れたライではスピンがかかりにくく、飛びすぎなどのミスが出てしまう。対してウェッジだとスピンが入りすぎて飛距離が出なさすぎるという問題があります。PWのノーメッキであればスピンも入って飛距離も出る。言うことなしのクラブなんです」
「柔らかい打感にしたかったんです」(宮里)
4I~PWをブリヂストンの221CBで揃えている宮里。そのうちPWだけをノーメッキにすることで、ウェッジのような打感で打てるようにしていた。
ノーメッキPWはウェッジと同じで操作性が高い
ノーメッキにすることで溝にボールが食いつきやすく、スピンも入りやすいので高さや左右への打ち分けもしやすくなると宮里
5~9Iはしっかり距離も出していきたい
「ノーメッキに比べてメッキのモデルはスピンが入りにくい」と宮里。ただ輪郭がクッキリと出るためターゲットに合わせやすい
「バーディが欲しいPWは操作性も重要なんです」(平塚哲二)
約20年前からノーメッキのPWを使用。現在は京都で「クラブT‘sゴルフスクール」を主宰
●ノーメッキPWのメリット1
打感がソフトでスピンが入る
ラフや地面が濡れている場面でもしっかりフェースに食いつく。スピンが入りグリーンでギュギュッと止まる、と平塚プロ
●ノーメッキPWのメリット2
操作性が抜群にいい
平塚いわく、フェースにボールが乗る時間が長くなり、球の高さや左右への曲げなどもしやすく操作性が高いという
●ノーメッキPWのメリット3
距離感が合いやすい
スピンが入りやすくなり飛びすぎを防げる。加えてPWの下の番手との距離のギャップが小さくなり距離感を作りやすい
宮里、平塚だけじゃない!
ノーメッキを使用する男子プロが増殖中
「下の番手との距離の感覚を整えたい」(坂本雄介)
ウェッジとPWの距離の差が大きくなりすぎていた坂本。「ノーメッキにすることでPWの飛距離が落ちて、番手間の飛距離差が小さくなりました」(坂本)
「球の上がり方も止まり方もノーメッキがいい」(大槻智春)
PWの距離はピンに絡めたいという大槻。「スピンも入りやすくて球もしっかり上がるんでバーディチャンスにつけやすいんです」(大槻)
実は松山英樹もノーメッキを使っていた
日本人No.1 の実力を誇る松山英樹もPWをノーメッキ仕様にしている。日本でもっと流行る可能性もある?
デメリットもあるので要注意
「ノーメッキにするだけではバランスが崩れます」
クラブデザイナーの松吉宗之さんによると、ノーメッキにするとヘッド重量が軽くなり、バランスが崩れるので注意だという。加えてプロのように年に何度も新しいウェッジに替えられない人は、溝が摩耗してしまうため、メッキ仕様のほうが安定感をキープできるとのこと。
月刊ゴルフダイジェスト2023年7月号より
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