あなたは「ツアーレスポンス」? それとも「TP5」シリーズ? テーラーメイドの高性能ボールを徹底検証!【ギアラボ】
腕前が上がってくるにつれギア選びにもこだわりたくなるが、忘れてはいけないのがボール選び。今回は、飛びよし・スピンよし・打感よしと3拍子揃った「ツアーレスポンス」、R・マキロイをはじめ世界のトップが選んだ「TP5」シリーズの2つのモデルを徹底検証!
PHOTO/Yasuo Takao、Takanori Miki、Blue Sky Photos THANKS/ゴールデンクロスCC、クラブハウス
試打&解説/横田英治
プロ、アマ問わず、本質を突いた効果的なレッスンに定評がある。本誌「D-1グランプリ」の試打隊長を長年務め、ギアにも精通している。ゴルファーが集うサロン「クラブハウス」代表
ツアーレスポンス
ロングショットでは弾きがよくかつ低スピン、アイアンでは高弾道、アプローチで技を使えるスピン性能…「ツアーレスポンス」はそのいずれも高水準で味わえると密かに話題だ。
テーラーメイド
ツアーレスポンス
ツアーモデルと同じウレタンカバーを採用
カバーは軟らかくすればするほど耐久性が上がる性質を持つ「キャストウレタン」を採用。コストも時間もかかるこの技術は、テーラーメイドのほか、一部のメーカーしか使用できない高精度なものだ
僕らにちょうどいい“ツアー系”ボール
プレー中、全ストロークに関わるギアが“ボール“だ。ゆえにプロや上級者のこだわりは強く、一度決まればクラブ以上に替えないケースが多い。イメージ通りの飛距離や弾道、またフィーリングなど、違和感があってはならない部分への影響が大きいからだ。では我々一般ゴルファーはどうか。バッグに多彩なボールを忍ばせ、その違いを楽しむ。アマチュアの特権ではあるが、スコアを重視するならボールを統一し、感覚の変化をなくすべきだろう。
大きな飛距離、弾道の安定性、アプローチのスピン性能、打感の良さ…など、そのいずれも備えているボールがスコアアップには欠かせない。その最高峰はトッププレーヤーが使うツアーボールだが、最近、熱意ある発展途上のゴルファーたちから支持を集めているのが、コストパフォーマンスに優れるテーラーメイドの『ツアーレスポンス』というボール。高精度のウレタンカバーをまとった3ピース構造で、その性能はツアーボールと遜色ないと噂だ。横田英治プロもその完成度に驚きを隠せない。
「フェースに乗る重めの打感で、風にも強そうな安心感があります。食いつく打感ながらボール初速は速く、また高打ち出し。ヘッド速度40m/s前半だとさらに最適スピンになり効率よく飛ばせそう。アイアンでも高弾道でピタッと止まる。TP5などツアーボールとの差は、短いアプローチに出ます。ツアーレスポンスのほうが打ち出しが高くややスピンが少ないですが、そこは好みの部分ですし、アマチュアが扱いやすいのは高さとスピンで止めるツアーレスポンスのようなオートマ感のあるボールの場合も多い。想像以上に完成度の高いボールです」
ドライバーで飛ぶ理由
ソフトなコアが最適なスピン量を生み出す
「フェースに食いつく感じがある」と横田プロ。その一因はソフトなコア。打感が軟らかくなると同時にロングショットではスピン量を減らす効果も。スピン量が多く飛距離をロスしている人には恩恵が大きい
アイアンで止まる理由
最高到達点が高く大きな落下角度を得られる
「ドライバーと同じく、アイアンも打ち出し角が高い。スピン量は程よい感じで入るので、結果的に最高到達点も上がります。大きな落下角度が確保されるので、シビアなピン位置でも積極的に攻められます」(横田)
アプローチで止まる理由
高精度ウレタンカバーのスピン性能と高さで止める
「打ち出しがやや高く、適度にスピンも入ります。キャリーとランで素直に寄せる感じ。アマチュアにとっては、このオートマチックな感じが扱いやすさにつながるはず。フェースを開かずスクエアに構えて、小細工なく寄せていきたいプレーヤーによりお薦めです」
パットで打感がいい理由
低くソフトな打音が感触のよさを際立たせる
「パットの打感も非常にソフト。ショット同様フェースに食いつく感じで球が“重く”転がるので、狙ったラインから外れない雰囲気がある。樹脂とアルミの複合インサートのパター(スパイダーGTx TRUSS)で打ちましたが、球の軟らかさが生きて相性がいいです」
ドライバーとアイアン(7I)での試打データ
TP5シリーズ
マキロイはじめ、世界のトップランカーが手放さない「TP5」シリーズボール。最近ではボールの性能に惚れ込んで契約に至るケースもみられる。その原動力となっている“5ピース構造”の性能に迫る。
テーラーメイド
TP5
よりソフトな打感が好みのゴルファーは『TP5』。大きな飛距離、アイアンの弾道安定性、グリーン周りでのスピン性能など総合力に優れる。1ダース6930円(TP5xも同価格)
テーラーメイド
TP5x
pixの本領は打った後。オレンジと黒のラインが浮かび上がり、イメージと実際のラインが合っていたかの答え合わせが毎回できるのだ
ツアーが求める満点の性能
カーボンウッドなど、クラブで話題をさらうことの多いテーラーメイド。世界のトップランカーも多く契約しているが、見逃してはならないのが、彼らが同社のボール(TP5シリーズ) を使用していること。世界最高峰の舞台でスコアメイクするうえでは、ボール選びに妥協は許されない。彼らが寄せる信頼こそが、その性能の高さを何より証明している。
TP5シリーズは、現行の3代目に至るまで“5ピース”を貫いている。その理由は、ドライバーでの高初速、アイアンでの最適な打ち出し角やスピン量、アプローチでの高いスピン性能など、すべての局面において他の構造では実現できない“究極の”パフォーマンスを得るためにある。
一つの特徴として、中心のコアをより大きく、かつソフトに仕上げていることが挙げられる。これによりヘッド速度に関係なく、ロングショット時にしっかりと中心部までつぶせることで大きな反発を得るとともに、その中心のコアを含め内側から3層目までのコア、および4層目のインナーカバーがボール初速を上げるという。一般的にゴルフボールは“内柔外剛”( 内側が軟らかく外に向けて硬くなる構造) であることが、ロングショットにおいて反発を上げスピン量を抑えるとされるが、5層構造はこの硬度の傾斜をつけやすく、飛距離面で優位性を得られる。
「TP5もTP5xも、ドライバーショットでの初速が、ツアーレスポンスに比べてわずかに速くなります。このあたりにテーラーメイドの頂点のボールであることが表れますね。かといってプロや上級者向きかというと必ずしもそうではない。ヘッド速度を落としてもしっかりとキャリーが出せて大きく飛ばせるので、幅広いプレーヤーが使えるボールです」(横田)
また、スコアメイクで重要なアプローチでは、テーラーメイド自慢のウレタンカバーが効果を発揮する。「フェースに乗り、低い出球でギュッとブレーキがかかる上級者好みのリアクション。テクニックを駆使して寄せたい、今後技術を磨いていきたい人には欠かせない性能です」(横田)
マキロイはじめ、世界のトップランカー愛用のボール。一度試してみてもきっと損はない。
「TP5」と「TP5x」を打ち比べ
●ドライバー
「TP5xのほうがやや高打ち出し、低スピンですが、飛距離性能は同等と見ていい。一番違いがわかるのは打感(打音)です。ソフトな打感が好みならTP5、やや弾く感じが好きならTP5xがお薦め」
●アイアン(7番)
「ドライバー同様、打感の差が一番わかりやすいですが、弾道的にはTP5xのほうがわずかに高弾道で高スピン。個人的にはTP5のモチッとした打感がよりコントロールできそうで好みです」
●アプローチ(15Yキャリー)
「同じツアーボールカテゴリーのなかで、TP5はスピン系、TP5xは飛距離系と思われがちですが、アプローチのスピン性能は高次元でほぼ一緒。低い出球、かつ安定したスピン量で、いずれも非常に距離感をつかみやすいボールです」
●パッティング
「パッティングでもTP5のほうが軟らかさを感じます。一方TP5xはややしっかり感があるので、弾きがよく距離が出てくれそう。どちらか迷ったら、ショートゲームのフィーリングで決めるのもありだと思います」
ツアーレスポンス ストライプ & TP5x pix
入れごろ外しごろを確実に決められるか、これはプロ、アマ問わずスコアに直結する重要課題。そこで登場したのがビジュアル系ボール。一見奇抜だがそのアライメント効果は絶大だった。
スコアアップに効く
ビジュアル系ボール
ツアーレスポンス、TP5シリーズともに“攻めた”ビジュアルテクノロジーのバリエーションがある。
ツアーレスポンスのグリーンの「ストライプ」は、パットの際に正しくセットアップしやすくするためのテクノロジー。360度、しかも帯状にすることで、線状のものよりもアライメントの誤差が少なくなる効果が期待できる。
TP5シリーズにはサッカーボールのようなデザインの「pix」がある。こちらもアライメントを助けてくれることに加え、転がるとオレンジと黒の部分が残像により帯のように見え、それがゆがまないかどうかでストロークの良し悪しのフィードバックが得られる。
「ストライプを打つと、線に比べて残像のゆがみがあまり気にならないので、上手くなった気がします(笑)。pixはストロークの状態がよりシビアに出ます。パット練習でもpixの効果は高いと思います」(横田)
ツアーレスポンス ストライプ
グリーンのストライプは、スパイダーパターのトゥルーパスアライメントという白い帯と同じ幅。この組み合わせは正しいセットアップを強力にサポートしてくれる。
浦大輔プロもツアーレスポンスの高性能を認める一人。ストライプボールの新たな使い方を教えてくれた。「打ち出し角に傾けてティーアップ。自ずとアッパー軌道が意識できて効率よく飛ばせます」
TP5x pix
pixの本領は打った後。オレンジと黒のラインが浮かび上がり、イメージと実際のラインが合っていたかの答え合わせが毎回できるのだ。
回転時にオレンジと黒のラインが帯に見える
リッキー・ファウラー監修のpix。残像効果によりストロークの状態を確認でき、また返しのパットでもラインのイメージが湧きやすく3パットを防ぐ効果も期待できる。
まだあるぞ! コスパも最強なテーラーメイドボール
月刊ゴルフダイジェスト2023年7月号より
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