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【ドライバー分析】20年目のゼクシオ、11代目はイレブンとエックスの二刀流。30代、40代、50代、60代、どんなゴルファーに合う? 堀越良和プロが試打

20年前の初代誕生から、日本のクラブマーケットを牽引してきたゼクシオ。11代目となるニューモデルが12月7日に発売される。その新作モデルを堀越良和プロが早速試打、実力をチェックした。

【試打・解説】堀越良和プロ
毎年発売される新製品を余さず試打するなどギアに精通。初代から歴代ゼクシオも試打してきた

11代目のゼクシオは「イレブン」「エックス」の2モデル

初代ゼクシオが発売されたのは、今からちょうど20年前の1999年10月。当時としては画期的だった、フェースの肉厚を変化させて反発力を向上させるという「デジタルインパクトテクノロジー」や、爽快な打球音などが多くのゴルファーの心をとらえ、大ヒットモデルとなった。

ダンロップスポーツが、販売権を失った「キャロウェイ」に替わるモデルとして登場、爆発的大ヒット

低重心化を進めつつヘッドを2代目より60cc大型化しサイズアップ

以来、モデルチェンジのたびに「飛距離」、「打ちやすさ」、「爽快な打球音」という基本コンセプトに「高反発」や「軽量化」、「長尺化」など、その時代における飛ばしのキーワードを取り込み進化を続け、20年目の現在においても人気が衰えていない、まさにモンスターブランドといえる。

ゼクシオ初のカップフェースを採用。飛距離とともに感覚的な面にもこだわった

ヘッドを重くするという新しいコンセプトで飛距離を追及。プロからも支持された

打点を芯に集める新開発のシャフトで「飛びの芯喰い体験」を謳った意欲作

その11代目となる新モデルからは、ゼクシオ史上初となるブランドロゴの刷新からもわかるように、メーカーの並々ならぬ意欲を感じる。

というのも、こちらもゼクシオ史上初となるコンセプトの異なる2つのモデルが同時にラインアップされたのだ。ひとつはこれまでのゼクシオの系譜を継ぐ正統派モデルと言うべき「ゼクシオ イレブン」。

もうひとつは、これまでのターゲット層よりも少し若い40代、50代のゴルファーに向けた、見た目にもスポーティな印象の「ゼクシオ エックス」だ。

2モデルに共通する最大の特徴は、グリップエンドに埋め込まれたウェート(イレブンは10グラム、エックスは6グラム)によって、手元側に重量を集中させ、テークバックをアシストし、クラブを理想的なトップポジションに導く「ウェイトプラステクノロジー」。

11代目の特徴のひとつがグリップエンド
埋め込んだウェートによってトップがピタリと決まり、軌道が安定しやすいという。いい位置にクラブが上がれば、切り返しがスムーズになり、自分のスウィングでボールを飛ばせる

打球だけでなく、いい意味でスウィングにも干渉するクラブというのが、新ゼクシオの開発コンセプトのひとつ、これはその真骨頂と言える。

手元側に重量があると、テークバックが安定するだけでなく、ダウンスウィング以降はカウンターバランス効果が働き、鋭いヘッドの加速が期待できる。それに加えイレブンは、ソール、クラウンを広範囲に薄肉化し、余剰重量をヘッド後方に配した深重心タイプ。

エックスはシリーズ初のカーボン複合ヘッドで、余剰重量により設計の自由度を高めた高慣性モーメントタイプ。では早速、ニューモデルの特徴と試打結果を見てみよう。

正統後継モデル
ゼクシオ イレブン

ヘッド最後部にウェート

丸型でシャローバックなヘッド形状

フェースセンター部分に白いスコアラインはなく、細かなミーリングが入っている

ゼクシオ イレブン
フェース:チタン(鍛造)
ボディ:チタン(真空精密鋳造)
ロフト:9.5・10.5・11.5
ヘッド体積:460cc
長さ:45.75インチ
ライ角:59度
シャフト:ゼクシオMP1100(S・SR・R・R2)
総重量:280g(R)

試打は、歴代10モデルをすべて打ち比べてきた堀越良和プロ。

堀越 イレブンは少し先に当たっても、どこに当たったかわからない、いい意味の鈍感さが際立ちます。つまりそれだけスウィートスポットが広いということで、単に飛距離ロスが少ないだけでなく、ゼクシオ特有の気持ちのいい音が出るエリアが広がっている印象です。

堀越 グリップエンドのウェートのおかげで、先が走ってフェースが閉じるから「つかまる」、「上がる」というビッグキャリーを生む要素が詰まっています。手元が先行しヘッドを走らせられない人には効果抜群でしょうね。

ポイント① 打感
ゼクシオらしい爽快な打球音

初代ゼクシオから、開発チームがこだわってきた、甲高くていかにも飛んだと感じられる打球音はイレブンでも健在。いい音がでるエリアも広がった。

ポイント② シャフト
ヘッドが自然にターンする

グリップ側が多いことによるカウンターバランス効果で、ダウンスウィング後半のヘッドの走りが鋭い。その際にフェースが自然にターンしてくれるので、ボールがしっかりつかまる。

ポイント③ やさしさ
つかまりがよくビックキャリーが楽に打てる

前モデルより深重心化されたことでボールが上がりやすくなっている。アップライトなことと、シャフトのトルクが多いことも含めキャリーを伸ばす要素が満載。

セミアスリート系
ゼクシオ エックス

チタンとカーボンの複合ヘッド

クラウンの後部に新たなデザインが入ったゼクシオエックス

スコアラインの入り方はゼクシオイレブンと同じだが、フェース面の色がダーク

ゼクシオ エックス
フェース:チタン(鍛造)
ボディ:チタン+カーボン(真空精密鋳造)
ロフト:8.5・9.5・10.5
ヘッド体積:460cc
長さ:45.5インチ
ライ角:59度
シャフト:Miyazaki AX-1(S・SR・R)
総重量:299g(S)

堀越 エックスは、これまでのゼクシオとは明らかに違う見た目のスポーティさがあって、打つ前からワクワク感が高まります。初のカーボン複合ですが、打ってみると音がこもった感じもなく、こちらもゼクシオらしい気持ちのいい打球音。幅広い人に受け入れられそうです。

堀越 「Miyazaki」シャフトの特性もあり、しなり戻りはゆるやかですが、それでも先走り感はあり、自信をもって振り抜けるバランスです。ただイレブンより20gほど重いので、HS40m/s以上ならエックス、30m/s台ならイレブンを選ぶと良いと思います。

ポイント① 打感
コンポジットなのに打音がいい

ソール部にカーボンを採用し、軽量化した分をヘッド内部で効果的に使用。複合特有のこもった感じはなく、従来のゼクシオサウンドを少しマイルドにした気持ちいい音。

ポイント② シャフト
テークバックがすごく取りやすい

手元側の重量が増えたことに加え、アップライトな見た目からも心理的に手元側の安定感が強調されている。テークバックでグリップ側が揺れずにスムーズに上がる。

ポイント③ 操作性
バルジがあるのでコントロールしやすい

イレブンはフェースがフラットに感じるが、エックスはバルジ(トウ~ヒール方向の丸み)を感じやすく、トウ寄りでヒットしてドローを打つなど弾道をコントロールしやすい

進化を裏付けるトラックマンでの計測結果

10代目は強弾道を求め、重心がやや浅め。11代目は重心が深くなり、「上がりやすさ」、「スウィートエリアの広さ」といった、ゼクシオの得意分野が強化された形。堀越プロがHS40m/s想定で各5球を試打した平均値を見ると、HS40m/s以上はエックスのほうが相性が良さそうだ

ヘッドデータも計測。
11代目は重心深度を深くし、慣性モーメントがアップ

10代目と比較すると、イレブン、エックス、ともに重心深度が深くなり、重心距離とヘッド左右慣性モーメントがアップしているのが分かる。これは「スウィートエリア拡大」が主目的。重心の高さは低くはないので、適度なスピン量で弾道の安定を図っていることが分かる

週刊GD2019年10月29日号より