【銀座・洋食】"ナポリタン" か "オムライス" 究極の選択。銀座でいただくデカ盛り洋食
今年で創業58年目を迎える老舗洋食店「はと屋」は、我々の心を子供時代に引きずり戻してくれると同時に大きくかき乱す。と言うのも、ハンバーグとオムライスから成る「オムライスセット」と、ハンバーグとナポリタンの「ナポリタンセット」という2枚看板、いわば“憎いお店”なのである。
ゴルフ場メシ向上委員会は「高くて」「マズい」と何かと不評の多いゴルフ場の「味改革」に役立つヒントを探しながら、誰もが食べて旨いと感じる味覚の標準値を探ります。「旨いの基準」は本家本元、本流の味を提供し続ける伝統店、人気店のメニューを考察し、多くの人に支持される味の秘密に迫るものです
スパイシーなハンバーグに、
こりゃまたどちらも合う
ハンバーグにオムライス、ナポリタンと言えば、洋食屋で扱ってない店はないだろう、いわば「三種の神器」。それと同時にこの3皿は流行に左右されず、いつも変わらぬ味で我々を迎え入れてくれる。
時代の流れに媚売らず、常に味方でいてくれる「永遠のヒーロー」だからこそ、子供時代に我々が憧れていた“お子さまランチ”の主力として、今も看板を張っていられるのだ。
今年で創業58年目を迎える老舗洋食店「はと屋」は、お店は新橋駅から歩いて2分ほど“銀座ナイン”地下1階にある。
買い物客賑わう路面から地下へと階段を降りると、まるでギャラリーのように小ざっぱりした通路を歩き、店内へ入った途端、数十年、時間を引き戻される感覚を覚える。
まるで新橋ガード下のようなレトロな店内はカウンター席のみで、サラリーマンや出勤前の“銀座の人”たちが、一心不乱にスプーンをカチャカチャと動かしている。
「入り口とは大違いでしょ。ここは全く変わってないんですよ」とは2代目シェフの萩山一夫さん。寡黙な雰囲気の端々に、柔らかな笑みが浮かぶ。
ひっきりなしに訪れる客を相手に2人で切り盛りするのだから、手の休まる暇はないだろう。
この勤勉な仕事ぶりを楽しみに来る常連も多いと聞く。静かな店内に、鉄鍋を振る音がリズミカルに響き渡る。ナポとオム、どっちにしよう…。
余談だが、はと屋の醸す不思議な雰囲気には由来がある。というのも、はと屋の入る銀座ナインは、1961年の開業より25年近く“新橋センター”という名前で営業していたが、「銀座に9丁目を作る」(※銀座は8丁目まで)というスローガンをもとに改名したのだそう。
50年代終盤のヒット曲“銀座九丁目は水の上”を地で行くわけではないが、銀座と新橋の間を何となく浮遊している感覚は、そんなところから来るのだろう。
いよいよどちらにするか決めないといけない。ちなみにナポリタンは、いかにも腹持ちの良さそうな極太麺タイプ。
オムライスは適度に黄身が固まり、適度にトロトロ感の残るオーソドックスなタイプだ。
デミグラスソースのかかったハンバーグは150㌘で、肉の味がしっかり残るスパイシーな風味が特徴。
この2セットが圧倒的に出るそうだが、どちらが多く出るか、優劣はつけがたいと言う。
ふたたび壁に並ぶメニューを見る。そう言えばエビフライという選択もあったな。いやいやポークソテー? チキンカツも鉄板焼きもあるぞ…もはや頭の中はカオスだ。
とは言え、一生に食べられるランチの数は決まっている。ここは意を決さないといけない。
と言うわけで、食べ切る覚悟とともに反則スレスレの“2皿頼み”をすることに。
巨大なトレーに乗ったハンバーグにナポリタン、そして別のトレイにはオムライス…これを1皿にまとめたら、まさに大人版“お子様ライス”だ。
60年間変わらず、はと屋には今日も、メニューと睨めっこしながら「“ナポ”か“オム”どっちにしよう…」と目をキラキラ光らせて悩む“お子様”であふれている。
銀座「はと屋」
東京都中央区銀座8-5
TEL.03-3572-1928
営業時間 11:30~14:00、17:00~20:15
土・祝日はランチ営業のみ
日曜定休
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