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【浅草・かき揚天丼】ワクワク、サクサク宝探し。次は何が出るのかな。浅草に続く江戸前の味

海老にイカ、貝柱や白身、玉ねぎに空豆、三つ葉など。かき揚げは、店によって季節に応じ多様な具材が入り、次なるひと口で「どの具が来るか分からない」楽しさがある。

ゴルフ場メシ向上委員会は「高くて」「マズい」と何かと不評の多いゴルフ場の「味改革」に役立つヒントを探しながら、誰もが食べて旨いと感じる味覚の標準値を探ります。「旨いの基準」は本家本元、本流の味を提供し続ける伝統店、人気店のメニューを考察し、多くの人に支持される味の秘密に迫るものです

”葵丸進”金龍かき揚天丼

何が出るかお楽しみ~

南蛮往来の天ぷらは、江戸時代初期、油の生産量が増えるとともに広まった経緯を持つ。

江戸市街の大半を焼失させた明暦の大火後、復興の過程でさまざまな屋台が江戸の街に立ち並ぶなか「寿司」「蕎麦」「天ぷら」の屋台は特に人気を集めた。今で言う〝江戸三味〞である。

江戸前の天ぷらやかき揚げと言えば”ごま油”が相場だが、これは当時、ごま畑の作付面積が拡大したことと、煤の出にくい菜種油の普及により、灯火用の油としての用途が薄れたことで入手が容易になったことが主因。

湾奥である江戸前で獲れた魚の臭みを取るという意味合いもあるようだが、なにより値段が安いとい うことが大きかったはずだ。

ちなみに天ぷら蕎麦が考案されたのは文政年間(1818〜1830年頃)とされるが、そのとき使用されたのは、芝海老のかき揚げだったそう。

同じ時期に天丼が浅草で生まれたという説もあることから、おおよそこの時代にかき揚げ丼も生まれたと考えられる。

実際、浅草には老舗の天ぷら屋が多く、どの店も種はちがえど一家言ある様子。

種の周りに衣をまとわせ、フワリと〝花を咲かせる〞揚げ方と、揚げたてをサッとつゆにくぐらせ、食感を残しつつ絶妙な濃さを出すといった技を、職人たちが競い合っている。

どの店に行こう。迷いつつ雷門からほど近い〝葵丸進(あおいまるしん)〞の暖簾をくぐることに。なにやらスゴい盛りのかき揚げ丼があるらしい…。

しっとり全部が馴染み合い、ひと口ごとに違う食感

葵丸進の金龍かき揚天丼

全7階388座席。雷門からほど近くにあるお店の暖簾をくぐると、まずはお店の広さと席数数に驚く。

創業当初からこの規模で天ぷら専門店を営んできたというところに、浅草という街自体が持つ引力の強さをうかがえる。

特別な許可をいただき厨房へ入ると、特注という巨大な天ぷら鍋がズラリ並び、20人以上の料理人が慌ただしく動き回る。

入り口近くには店内の各所を映し出すモニターがこれまた並ぶが、お客が店に入るタイミングやオーダーの具合を把握することで、ベストタイミングの料理を出しているとのこと。まるで管制室のようだ…。

席へつき、看板メニューでもある”金龍かき揚天丼”を頼む。

天ぷらは揚げたてに限る、と思いきや、蒸らすことで全体を馴染ませることが大事だそう。揚がりたてを丼つゆにくぐらせ、丼に仕上げて、客の待つ席へと運ぶ”150秒”という時間が、重要な仕上げの役割を担うのだそう。

数分後、ド迫力の丼が到着。

ちょこんと乗った蓋を外すと、ごま油の香りと、きりっとした醤油の香りが広がり、食欲が「これでもか!」と刺激される。

赤出汁の味噌汁がまたよく合うんです!

我慢できずひと口。全体に馴染んだ丼つゆがガツンと主張しつつ、ごま油の香りとプリプリしたエビの食感が追従する。

さらにひと口、今度は小柱の甘みが広がる。さらにひと口…今度はイカだ。

全体が調和しつつも、それぞれの種が主張し、箸をすすめるほどに楽しい。普段からなんの気なしに食べる料理の数々には、さまざまなストーリーが凝縮されている。

持ち帰りにも対応。プラス324円で天丼にもできる

そんなエピソードに思いを馳せれば、急いでかき込みがちなゴルフ場のランチも、楽しさを増すはずだ。

雷門から歩いて3分。浅草観光のメインストリートに面している

葵丸進
東京都台東区浅草1-4-4
TEL.03-3841-0110
営業時間:11時~21時(LO.20時)
無休

PHOTO/Takanori Miki

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