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閉鎖した9ホールを観光スポットに。「丘の公園清里GC」の成功例

27ホールのうち9ホールを閉鎖し、そこを有効活用して、それが新たな観光スポットとなって話題を集めているゴルフ場がある。

山梨県にある「丘の公園清里GC」がそれだ。27ホールあった同GCが9ホール(八ケ岳コース)を閉鎖したのは19年3月のこと。同年4月より18ホールで営業を続け、旧コースは芝をそのまま残し、“八ケ岳芝生広場”として無料で開放された。

ちょっとしたブームのきっかけをつくったのは、「大型犬が散歩できる」との口コミだった。これが元となり、毎日20人ほどの大型犬オーナーが訪れるスポットになった。

これに気をよくしてか、跡地のさらなる活性化として、同広場のフラワーガーデン化の話が持ち上がった。

「日本で2番目に高い南アルプスの北岳、遠景には富士山も望み、池もある旧9番ホールを花で埋めつくそうということになったのです」(同GC支配人・伏見勝氏)

地元諏訪周辺のガーデニング専門家の協力もあって、20年8月に「ヒルズガーデン」がオープン。見どころは、左右対称に種類豊富な花が植えられた“ミラーボーダーガーデン”だ。全長80mは日本最大級という。また桜も昨年300本、今年は200本植え、1000本になるまで植え続けるそう。さらに秋には紅葉も映えるよう植樹も続けていくという。

管理は同GCで行うが、これだけ設備投資して入園料は取らないというから、採算はいったいどうなっているのだろうか。

「実はゴルフ場も含めた“丘の公園”自体(温泉施設、オートキャンプなども設置)が県有地で行政財産なんです。9ホール跡を活性化して地域貢献し、官と民が両者ともウィンウィンの関係になればと」(前出・伏見氏)

奮闘の甲斐は少しずつ表れているようだ。芝生広場を使ったシクロクロス(オフロード自転車)競技も行われたり、新たな観光スポットになりつつある。また、大型犬オーナーはゴルフを趣味にする層も意外に多く、彼らが初めてここを訪れたことでゴルフ場の存在に気付き、次はゴルフに来るというケースも少なくないようだ。近隣には犬同伴可能のホテルも多く、家族連れで訪れる人も増えた。

「27ホールより18ホールのほうが営業効率は高いし、時代の要請だと思います。閉鎖した9ホールも有効活用できていますし、相乗効果もあります。これで家族連れ囲い込みの条件は揃いましたね」(ゴルフ場経営コンサルタント・菊地英樹氏)

圏央道、中部自動車道利用でアクセスも便利になった。この秋は清里に足を運んでも良いかもしれない。

標高1000mの高原に位置する丘の公園清里GC(PHOTO/Takanori Miki)

週刊ゴルフダイジェスト2022年9月20日号より