【大人ゴルフの歩き方】Vol.13「比較! 金持ちコースVS大衆コース」
スコアだけがゴルフじゃない! コラムニスト・木村和久が独自の視点から現代の正しいゴルフの在り方を指南。
ILLUST/Shinichi Hoshi
第13講 比較! 金持ちコースVS大衆コース
①高額料金コースほど誰も来てくれない
②アットホームなのは大衆コースよね
金持ちコースの見栄張りは大変
とある会社の社長が、名門高額クラブの入会を試みました。総額700万円ほどを払い、厳しい面接や同伴プレーを経て、晴れて入会です。
早速、平日にふと空いたので「明日ひとりで行くから」と、電話をするや「うちは平日ひとりで来るメンバーが少ないんです」と言われる始末。それでもラウンドはできると言われ、コースに行くことにしました。
しばし待てど、“ひとりメンバー”は現れず。結局、メンバーのIT経営者夫婦に交ぜてもらうことに。表面上は和やかですがふたりの世界を築き、よそよそしい視線を浴びせます。思っていたメンバーライフとなんか違うな。結局、平日は仲間とひと組取ってラウンドすることに。ところが結構ビジターフィーが高いので、敬遠する人が続出です。「割引券を使って2万円でプレーできるし、朝食とランチはおごるから」と懐柔策を出して、なんとか2人確保。こんなに気を使わないと、友達は来てくれないのか?
しかもマウントを取りたがるメンバーが気になります。ゆえに土日のメンバータイムにひとりで行くのを断念しました。わざわざ高いお金を払って、名門コースを買った意義は、どこにあったのでしょうか?
●ふたりの世界
一番始末が悪いのが、おやじと若いコのカップルゴルフ。口もきいてくれないもんね
●マウント
冬はどのリゾートに行くか、夏は別荘ゴルフ、他のコース持ってる? とか、会話のなかに自慢が散りばめられている
●買った意義
名門高額コースで楽しく過ごすには、最初から有力幹部の仲間であること。さすればすぐに組織中枢と懇意になれる。ひとりで入会する落下傘メンバーはきつい
●平日ひとり
高額豪華コースは接待利用が多く、平日ひとりで来る人は少ない。コースの雰囲気や使われ方をチェックしないと、後悔することに
案外居心地が良い大衆コース
一方、会員権相場30万円以下のような大衆コースの皆さんは、どんなメンバーライフをお過ごしでしょうか。相場が安いということは、メンバーが多いということ。常に満員状態で、なかなか予約が取れない日もあります。
しかし、ひとりなら絶対回らせてくれる。これが大衆コースの良いところです。メンバーは庶民的な人ばっかりだし、ちょくちょく顔を出していると、すぐ顔を覚えられ、とても仲良しになります。
最初にクラブハウスに入って驚いたのがジャケットを着ている人が少ないこと。煩わずらわしい服装チェックなどもなく、冬はみんなジャンバーを羽織って、靴はスニーカー。喫煙室でタバコを吸い、スマホをいじりまくっていても、誰ひとり文句を言いません。いや~、自由っていいなあ。
では、競技に出てみましょうか。凄く混んでいるかと思いきや、実は競技予約枠に余裕がありました。何しろクラスが6つに別れており、毎週末どこかのクラスが競技をやっているのです。足繁く通い、ハンディを取得後、一番下のハンディ20以上クラスにエントリーし、初の月例参加です。
競技は物凄い展開でした。だって全員ハンディ20以上だから、叩く人が続出。お昼はみんなで、鍋焼きうどんを食べて、言い訳大会になり、大いに盛り上がりました。しかも、食事が安くて美味いときたもんだ。
最近まで満杯だったメンバーロッカーに空きが出て、速攻申し込みました。クラブ一式セットと靴をロッカーにしまい込み、着替えだけ持ってコースに参上。銭湯に行くような身軽さで、最近はもっぱら電車でぶらっと行き、昼から酒を飲んで楽しいゴルフを満喫しています。どうです、大衆コースも捨てたもんじゃないでしょう。マウントする人もおらず、人柄のみで評価されます。
一方、新人が肩身の狭い思いをする高額コースは、威張りたいならお供を連れてお大尽ゴルフをしないと。そういう豪快なゴルフをやるときは、是非呼んでください。馳せ参じますから。
●クラスが6つ
通常はAとBの2クラス。6クラスはマンモスコースで実際ある。競技に絶対出られると分かり、人気が高まった
●美味い
名門は食事が美味いは幻想。実は値段の問題。大衆コースでも、美味いうな重を出すところがある
●メンバーロッカー
キャディバッグ入れっぱなし派と、半分だけ入れて、半分はソフトカバーで持ってくる派もいる。ならば電車ゴルフも容易
●お大尽ゴルフ
名門高額のメンバーは連れ全員におごる、桃太郎ラウンド。プレー代を経費で落とせる人は、忠実な子分がたくさんついて来ますよ。
●ジャケット
大衆コースはホームページに「ジャケット着用」と書いてあることは少ない。単に「ゴルフにふさわしい服装で」とだけ。これいいね
今月のまとめ
名門コースは金持ちが集まり、
金持ち喧嘩せずの付き合いをするところ。
大衆コースはゴルフが凄く好きな人の集まり。
両者はなかなか相いれない世界かもしれない
教える人/木村和久
ゴルフ歴32年のコラムニスト。ベストスコア75、2001年鶴舞CCキャプテン杯優勝。『89ビジョン』など新しいゴルフの楽しみ方を様々提案する自称「ゴルフ生活評論家」
月刊ゴルフダイジェスト2022年月4号より