レジェンドと呼ばれるゴルフの名手たちは、その言葉にも重みがある。ゴルフに限らず、仕事や人生におけるヒントが詰まった「名手の名言」。今回は、クラブ製作者としても知られるレジェンド、トミー・アーマーの言葉をご紹介!

「スコアを金で買えるとしたら、それはクラブだけである」

トミー・アーマーというと、ジャンボ尾崎が愛用していたパター「トミーアーマーIMG5」を思い出す人も多いのではないだろうか。トミー・アーマーは1920年代～30年代に活躍したプレーヤーだが、クラブ製作者としての顔も持つ。そんなトミー・アーマーが残したのが、表題の言葉「スコアを金で買えるとしたら、それはクラブだけである」だ。

たしかにスコアは金では買えない。どんな金持ちであれそうでない人であれ、ひとたびゴルフコースへ出れば、コースと自分との戦い。スコアメークをするうえでは誰しもが平等である。

しかし、とアーマーは言う。金で買えるスコアがある、それはクラブだと。ただし、クラブといっても「その人にぴったりとフィットしたクラブである」という条件がついている。

アーマーは、道具にとことんこだわった。数々のタイトルを手にしたあとは、ティーチングプロとして高額のレッスンフィをとったが、アーマーのアドバイスのなかには、フィットするクラブを選択してやることも含まれていた。つまり今でいう「フィッター」の役割も果たしていたのだ。

その後、マグレガー社と組んで、クラブ製作・開発に力を注ぎ、自分の名を冠したパターは今も名器として、伝説になっている。

プロが使っている流行りのクラブや、テクノロジー満載の高額なクラブが必ずしも自分に合っているとは限らない。それよりも、いかに自分に「フィット」したクラブを手に入れるか。そこに投資することが、スコアアップへの近道ということだろう。

■トミー・アーマー（1896-1968年）

スコットランドのエジンバラ生まれ。高校時代から才能を発揮し、18戦17勝の記録が残っている。1920年フランスアマ優勝。1924年米国でプロ転向。1927年全米オープン、1930年全米プロ、1931年全英オープンを獲り、シルバー・スコット（いぶし銀のスコットランド人）と呼ばれた。アマ時代にウォーカーカップの英国代表、プロではライダーカップの米国代表に選ばれるという偉業もなしとげた。頭脳明晰でクラブ設計、製作にも情熱をそそぎ、ニックネームの「シルバースコット」の名で売り出され、伝説的名器として今に残っている