【イ・ボミのスマイル日和】Vol.17 スウィング改造を決意させた”ある出来事”
イ・ボミのSmile日和
2年連続賞金女王など輝かしい実績を残し、2023年に惜しまれつつも日本ツアーを引退したイ・ボミ。これまであまり語られてこなかった生い立ちや現役時代の秘話など、あらいざらい語り尽くす!
TEXT/Kim Myung Wook PHOTO/Takanori Miki

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- 2年連続賞金女王など輝かしい実績を残し、2023年に惜しまれつつも日本ツアーを引退したイ・ボミ。これまであまり語られてこなかった生い立ちや現役時代の秘話など、あらいざらい語り尽くす! TEXT/Kim Myung Wook PHOTO/Takanori Miki イ・ボミ 1988年生まれ。15、16年賞金女王。日本ツアー21勝のレジェンド >>前回……
今、私がミスをしても、
がっかりしないでね(笑)
日本ツアーで通算21勝もできたのはなぜ? と聞かれることがありました。理由は様々ですが、一つには『ショットの精度の高さ』があったと思います。
当時は周囲でも再現性の高いスウィングを評価してくれる方がいたのを記憶していますが、私のスウィングはよく日本のファンの方から「ゆったりスウィング」と呼ばれていたそうですね。
実は私、その言葉を最近まで知らなかったんです(笑)。
自分ではそこまでゆったりでもないかなと思うのですが、リズムの良さには確かに自信がありました。当時は遠心力に身を任せて振るだけで、ボールが理想の放物線を描いて飛んでいく、そんな感覚でした。
ところが、その感覚が少しずつ変わり始めました。米ツアーにスポットで参戦した時のことです。
2016年のリオ五輪出場を目指して、ポイントを稼いでランキングを上げようと全米女子オープンにも出場しましたが、そこで見た世界トップクラスの選手たちは、私とはまったく違うゴルフをしていました。
みんなスウィングが力強くて、地面を蹴ってジャンプするように打つわけです。
もちろん飛距離もすごかった。当時の私は、正確性には自信があったけれど、飛距離はそこまでではありませんでした。
全米女子オープンのような過酷なセッティングを経験して、打ちのめされたんです。ピンがグリーンの端に切られているのに、飛距離が足りないから、難しい位置からユーティリティで狙わなきゃいけない。
常にギリギリのパーセーブを繰り返すゴルフに、心が苦しくなりました。「これからの時代、飛ばなきゃ戦えない」と痛感し、自分のスウィングを変えようと決意したんです。
私はもともと、テークバックでクラブを外側に上げるクセがありました。そのままにしておけばよかったのですが、アメリカの選手たちの動きに憧れ、理論的な“正解”に自分を当てはめようとしました。
でも、それが迷いの始まりでした。 それまでは試合中、「今日はこれだけ気をつけよう」とシンプルに考えていたのに、スウィング改造中は、考えなきゃいけないことが増えてしまったんです。
「独特なテークバック」こそが、私のゴルフを支えていた個性だったんですよね。それを無理に矯正しようとして、パズルのピースが噛み合わなくなってしまった。
今振り返れば、アメリカに行かなければスウィングを変えることはなかったかもしれない、とも思います。でも、後悔はしていません。
当時の私は、成長したくて必死に挑戦していた。その「変わりたい」という情熱自体は大切な財産です。
最近はテレビ番組やプライベートでゴルフをする機会も増えたのですが、実は現役時代より緊張することがあります。
引退しても、私の心の中には「皆さんが覚えている、完璧なイ・ボミ」であり続けたいという“プライド”がどうしても消えない(笑)。
練習ならどんなミスをしてもいいけれど、誰かが見ている前でミスをする自分がどうしても許せない。
「ボミちゃん、やっぱり変わっちゃったね」と思われるのが怖くて、たまに自分を「バカだなぁ」と思うこともあります。
昨年、「Lady Goカップ」に出場したときもそうでした。日本のファンの方がたくさんで、期待に応えられるようなプレーがしたいと強く思いました。
でも、それができないとファンの方の残念そうな顔が気になるし、また、自分が情けなくなってしまって。そんな気持ちから立ち直るのに、また数年かかっちゃうかも(笑)。
今はまだ、『みなさんの記憶の中にある私』と『今の自分』との間で少しもがいているけれど、それも私らしいのかな。
これからもゆっくりと、私なりの「新しいリズム」を見つけてゴルフができるようにしていきたいと思っています。

今年初めてのイベントでした!
「先日、本間ゴルフさんのイベントがあったんですが、ファンの方の前で話すのは今年初めて。とっても緊張しましたが、楽しい時間を過ごすことができました!」
月刊ゴルフダイジェスト2026年5月号より


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