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【今平周吾】マスターズ初出場の後輩へ谷口徹&藤田寛之が伝授「今平スタイルのオーガスタ攻略術」

今年マスターズに初出場する2018年の賞金王「今平周吾」。歴代の賞金王でともにマスターズ出場経験のある谷口徹と藤田寛之が、マスターズでの戦い方、気持ちの持ち方、そしてコース攻略をアドバイス。マスターズ観戦が楽しくなること請け合い。

タイガーとマキロイと一緒に回りたい(今平)

谷口 コースをDVDでチェックしてるんだって?

今平 はい。グリーン周りが難しいという印象ですが、どうなんでしょう?

谷口 たしかにグリーン周りの傾斜はすごい。オレはまず最初にハウスキャディに、どこからどう打ったらいいのか聞いたね。たとえば9番は、急傾斜の3段グリーンなんだけど、上の段から一番下に切ってあるピンに向かって打つとグリーンを出ちゃうのよ。そこで、左のエッジのほうに向かって打って、バンクを使って5メートルくらいに寄れば最高だって言うの。マウンドを使って寄せる方法とか、バンカーから寄せるルートも教えてもらったよ。

藤田 アップダウンもあるからね。これは映像ではなかなか伝わらなくて、言ってみて感じると思うよ。

谷口 思ったよりコースも狭いしね。ドローだけでもダメだし、フェードだけでもダメ。とにかく気が抜けるホールがない。ちょっとした油断がダブルボギーにつながるから。集中してプレーしていかないといけない。だから1ラウンド回ったら終わった瞬間にクタクタ。周吾は若いからわかんないけど。

今平 やっぱり全ホール難しいんですね。

「初ラウンドの前日は緊張して眠れなかった」(藤田)

藤田は2011年(写真)と13年、2度出場

藤田 でも難しさは人それぞれ感じ方が違う。セカンドショットで短いクラブで打てる人ほど、難しさって少なくなってくるからね。周吾のショットのクオリティからすると、楽しいと感じるかもしれない。

谷口 そう。飛距離がダスティン・ジョンソンと比べるともう少しというくらいで(笑)、周吾はウィークポイントがないから、オレらがマスターズを回ったときよりも、全然楽に回れると思うよ。自分の持っているものをすべて出していくしかない。下手に違うことをしようとせず、自分の持っている力で最大限で勝負して、そこで自分で判断したらいい。

藤田 確かに今は世界のトップと伍するためにはパワーが必要。飛距離が出ない選手でトップにいる選手って、以前はルーク・ドナルドとかいたけど、今はほとんどいないからね。

谷口 ジム・フューリックとかね。今はトップ20に入ってる選手でああいった選手はいないからね。やっぱり飛距離のアドバンテージって大きい。

藤田 彼らの飛び方は異常。飛ぶっていう範囲をはるかに超えている。それを一緒に回ると感じてしまって、「無理」と思ってしまう。

今平 以前、ジャスティン・トーマスに30ヤード置いていかれましたが、彼らって飛ぶのにショートゲームも上手い。

藤田 そう。よく「日本人は小技が上手い」と言われるけど、絶対に外国人のほうが上手い。テニスコートのサーフェスの違いと同じこと。

「オールラウンドの周吾は案外オーガスタが合うかも」(谷口)

2002年、03年、08年(写真)と3回出場している谷口

谷口 バミューダとかいろいろな芝があるからね。でも周吾は大丈夫でしょ? だってフロリダ育ち(フロリダのIMGアカデミーに2年間留学)だから。

今平 確かにあまり気にしないですね。

谷口 苦手意識がないのがいいね。緊張しているのか、していないのかわからないし。何を考えているかよくわからない(笑)

藤田 やっぱり将来は世界でと考えてる?

今平 世界でやるのは夢だったので。今年はちょっと厳しいと思うので国内でワールドランキングを上げて、チャンスがあれば海外に出ていきたいですね。その第一歩が今回のマスターズ。ワクワクしてますね。オーガスタの雰囲気を楽しみたいなと思っています。

「予選は通過したいと思っています」(今平)

オーガスタは風が難しい。よく考えてから打つこと(谷口)

谷口 オーガスタは風が難しいから、淡泊でなく、考えて打たないとダメ。とくに11番、12番あたりは地形で風が回るので、そういうところで流れが変わったりする。風でいうと6番も難しい。

藤田 打ち下ろしのパー3ですね。

谷口 急にアゲンストになってショートして寄らずにスコアを崩しやすい。

藤田 でも風の読みは方は人それぞれだし、自分の判断とか肌で感じたことを結果を気にせずやったほうがいいと思うよ。マスターズに向けて何かやったの?

今平 トレーニングを見直して体を作りました。それと新しいドライバーを持っていきます。

ヘッドが大きく慣性モーメントが高くなった「RMXプロトタイプ」を使用する。「いくらでも叩けるし、安心して打っていける。置きに行く打ち方もできるし、ガンと強く打った時でも曲がらない」(今平)

谷口 あの大きいやつでしょ? オレも新しいドライバーを打って、翌日に前のを構えたら小さすぎて当たる気がしなかった(笑)

藤田 だいぶ大きくなったよね。以前のモデル持つと本当に小さく感じて不安になるくらい。

今平 小ぶりのヘッドは操作性がいいんですけど、ヘッドが動くぶん、プレッシャーがかかったときに曲がってしまうんです。でも新しいドライバーはオートマチックな感じなので、どんなときでも、同じような球が出てくれる。前のモデルよりつかまりもよくなったので、ドローもフェードも両方打てるからマスターズにはいいのかなと思っています。

谷口 オーガスタはパー5を獲っていかないと厳しいからね。正確なティショットでしっかり稼いでいければいい。5番もパー4なのに40ヤードも伸びたから難易度はトップクラスになると思うよ。

「ただでさえ難しい5番が40ヤードも伸びた。グリーン面も見えなくなるし、今のトップ選手が何番で打つかわからないけど、手前に乗せても3パットがあるし、奥からは寄らないし、ここは本当に難しい」(谷口)

藤田 当然なりますね。自分は2打目をミドルアイアンで打っていて、それでもグリーンの奥からの傾斜で上の段は止まらないイメージしかなかった。

谷口 あのグリーンは手前に乗せても3パットがあるし、オーバーしたら寄らない。

藤田 4番のパー3もメッチャ長くて難しい。

「7番は幅20ヤードのフェアウェイが両サイドの木でさらに狭く感じられる。左足下がりからの砲台グリーンで、手前にバンカーが3つ。特にに左側の段が難しい」(藤田)

今平 止まらなそうですね。

藤田 みんなアイアンなのに自分はスプーンかクリークで、どうやって止めようかって感じだったからね。

谷口 あと意外と7番も難しい。

藤田 短いけど、2打目が左足下がりからの砲台グリーンで、しかも奥行がたった19ヤード。

今平 19ヤードって、狭いですね。

谷口 セカンド地点から見たら10ヤードくらいに見えるよ。

藤田 ピンが右サイドの場合は傾斜で戻ってくる感じだけど、左サイドだったらかなり難しい。とにかく難しいホールばかり。

谷口 それに人の数がヤバい。月曜日の練習ラウンドから最終日じゃないの? って思うくらいの人、人、人。1番でリラックスして打ちたいのに、なんで最初からこんなに一生懸命打たないといけないんだろうと思ったね。

今平 でも、たくさんのギャラリーの前でプレーできるのは逆に楽しみです。

藤田 あの舞台にいること自体が楽しみなんだよね。

谷口 マスターズの一週間はあっという間。月、火、水が終わったら、もう試合が始まるから。あと水曜日のためにスキップ(水切り)ショットを練習しておいたほうがいいよ。失敗するとブーイングが来るから。

藤田 これから何回も出るチャンスがあると思うから、1回目はマスターズを観に行ったという感覚でがんばってね。

谷口 岐阜オープンに出ているから生中継は見ないけどね。

「周吾なら大丈夫でしょ」(藤田)
「緊張してるの見たことないしね」(谷口)
「ワクワクしています!」(今平)

週刊GD2019年4月19日号より