【名手の名言】ジョン・ロー「ゴルフで大切なことは、勝敗よりも、いかにプレーされたか、ということだ」

レジェンドと呼ばれるゴルフの名手たちは、その言葉にも重みがある。ゴルフに限らず、仕事や人生におけるヒントが詰まった「名手の名言」。今回はR&Aの規則委員長を20年務めた「ゴルフのロー・メーカー」ことジョン・ローの含蓄のある言葉をご紹介!

ゴルフで大切なことは
勝敗よりも、いかにプレーされたか
ということだ
ジョン・ロー
この言葉は、ゴルフのルールを支えた人物として知られるジョン・ローの言葉である。彼がこの言葉を残した当時、ゴルフはマッチプレー形式が主流だった。相手との一騎打ちの構図ゆえ、勝利に執着するあまり、汚いプレーをしてしまう場面も少なくなかった。ズルをしたり、相手の集中を削ぐような言動、さらにはルールを誤魔化してまで勝ちにいく者も現れた。
だが、そうして得た勝利は真の価値を持たない。勝つこと自体は否定しないが、それが不正や駆け引きの末に得られたものであれば、ゴルフの本質から逸脱している。ゴルフは技術だけでなく、「どうプレーするか」という姿勢が最も問われる競技だ。
フェアで正直であること、ミスや不運にも誠実に向き合うこと。たとえスコアが振るわなくとも、正々堂々としたプレーは、プレーヤーの品格を映し出す。
ジョン・ローは、英国の名門オックスフォードとケンブリッジのゴルフ愛好家たちによって創設された「オックスフォード・アンド・ケンブリッジ・ゴルフィング・ソサエティ」の創設者であり、R&A(ロイヤル・アンド・エーシェント・ゴルフクラブ)では長年にわたり規則委員長を務めた。その見識と倫理観は高く評価され、「ゴルフのロー・メーカー(立法者)」とまで称された。
現代のゴルフでも、この精神は生きている。誰かが見ていなくても、バンカーをきちんとならす。スコアを正しく自己申告する。ショットミスを誰かや何かのせいにせず、己のミスと受け止める。そうした行為の積み重ねこそが、プレーの美しさをつくる。競技であっても、アマチュア同士のラウンドであっても、ゴルフに求められるのは「勝者としての品格」だ。
たとえスコアカードに書かれた数字が振るわなくても、最後までフェアに戦い抜いたプレーは、同伴者の心に残る。結果にとらわれず、自分の信じる正しさを貫いたプレーヤーこそが、ゴルフの精神を体現する者である。ジョン・ローの言葉は、時代を超えてなお、すべてのゴルファーに問いかけ続けている。ゴルフの本質とは何か、そして、自分はどうプレーするのか。答えは、スコアの外側にある。
■ジョン・ロー(1869年~1929年)
英国の名門校、オックスフォードとケンブリッジ両校の卒業生、在校生からなる「オックスフォード・アンド・ケンブリッジ・ゴルフィング・ソサエティ」の創設者。世界のゴルフルールの総本山、R&Aの規則委員長を20年務めた。当時、最も高邁な見識の持ち主と称えられた。ゴルフのロー・メーカー(立法者)といわれるゆえんだ。