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【名手の名言】ビング・クロスビー「どうしても友達になれない奴がいる。小さな嘘をつく奴と、アイアンの飛距離を自慢する奴だ」

レジェンドと呼ばれるゴルフの名手たちは、その言葉にも重みがある。ゴルフに限らず、仕事や人生におけるヒントが詰まった「名手の名言」。今回は、ゴルフをこよなく愛したアメリカの国民的歌手、ビング・クロスビーの言葉をご紹介!

現在のAT&Tペブルビーチ プロアマは「ビング・クロスビー プロアマ」として1937年にスタートした


どうしても友達になれない奴がいる。
小さな嘘をつく奴と
アイアンの飛距離を自慢する奴だ

ビング・クロスビー


ビング・クロスビーは1930年代から1970年代にかけて活躍した、アメリカを代表する国民的歌手。生涯で売り上げたレコード枚数は4億枚とも言われ、ハリウッド映画でもスターとして君臨したが、同時に筋金入りのゴルフ愛好家でもあった。

彼の名を冠して創設されたプロアマトーナメントは、現在でもPGAツアーにおいて「AT&Tペブルビーチ・プロアマ」としてその伝統を受け継いでいる。この大会は、セレブとプロが一緒にラウンドする特別な空気感で知られ、クロスビーのゴルフへの情熱が今も息づいているといえる。

そんなクロスビーが残したこの一言。

「どうしても友達になれない奴がいる。小さな嘘をつく奴と、アイアンの飛距離を自慢する奴だ」

この言葉には、彼のユーモアとともに、ゴルフというゲームに対する深い哲学が垣間見える。ゴルフはスコアで勝負するゲームであるはずが、飛距離という一要素だけに執着する者は少なくない。

特にアイアンの番手で「〇番で180ヤード飛ぶ」と豪語するような人には、思わず眉をひそめたくなることもある。飛距離はスコアを良くするための手段にすぎないのに、それを目的にしてしまうのは、本末転倒だ。

日本のある作家も、そうした“番手自慢”に嫌気が差し、自分のアイアンに「5=150」「6=140」など、飛距離を明記していたという。番手を訊かれても「それは140のクラブです」と返せば、話は終わる。

ビング・クロスビーは、1977年、スペイン・マドリード郊外のゴルフコースで、17番ホールをプレー中に心臓麻痺で急逝した。まさにゴルフの最中に人生の幕を閉じたのだ。最後の瞬間まで好きなことに没頭できたその人生は、まさに「幸福な生涯」であったといえるだろう。

音楽で世界を魅了し、演技でも人々を楽しませ、そしてゴルフに人生の一部を捧げたクロスビー。彼の名言は、ゴルフを愛する者すべてに対する、ちょっとした皮肉と、深い愛情のこもった警句として、今もなお輝いている。

■ ビング・クロスビー(1903~1977)

世界で4億枚のレコードを売り、『ホワイト・クリスマス』は未だに世界中に流れ続けている。映画でもトップスターとして君臨し、アカデミー主演男優賞も受賞。趣味は競馬・馬主とゴルフ。ゴルフはプレーヤーとしてもだが、米ツアーで『ビング・クロスビー・プロアマ』を創設。現在も『AT&Tペブルビーチ・ナショナルプロアマ』として引き継がれている