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【名手の名言】「ゴルフはある程度の上品さがなければゲームが成立しない」

レジェンドと呼ばれるゴルフの名手たちは、その言葉にも重みがある。ゴルフに限らず、仕事や人生におけるヒントが詰まった「名手の名言」。今回は20世紀初頭のプロゴルファーで全米オープン覇者でもあるビリー・バークの言葉をご紹介!


ゴルフは
ある程度の上品さがなければ
ゲームが成立しない

ビリー・バーク


ゴルフは、他のスポーツとは一線を画す、独特の競技スタイルを持つスポーツだ。たとえば野球には併殺とか、盗塁とか、牽制球とか、物騒だったり意味深な表現が多いが、これは相手の弱点を衝いたり、駆け引きしたりというのを愉しむ要素をもつスポーツだからであろう。バスケットボールやサッカーでも、相手のミスを誘い、心理戦を繰り広げることが勝利への鍵となる。

ところが、ゴルフには相手を痛めつけたり、弱みにつけこんだりという要素は、ない。自分が持っている技術や、重圧に打ち勝つ克己心をもって自由にコースに相対する。この自由さは競技者全員に与えられる。またこの自由さは完全でなければならず、相手がプレー中は静粛にして邪魔をせず、いらだたしさをそそるような行為は絶対に避けなければならない。ティーショットからグリーン上のパットに至るまで、各プレーヤーは自身のリズムでプレーし、邪魔をされることなく最大限のパフォーマンスを発揮できるようになっている。

そのうえ、ゴルフには基本的に審判が存在しない。自分が唯一の審判、裁定者なのである。競技においては競技委員がルールの適用を助けることはあるが、同伴競技者のマーカー制でお互い審判の役目をし合い、また自分が見える競技者に反則があった場合は競技委員に報告する義務も負っている。

ゴルフは他のスポーツとは異なる特性を持ち、プレーヤーには高い品格が求められる。単にスコアを競うだけでなく、自らのマナーや誠実さ、そして他者を敬う姿勢が、ゴルフの本質を形作っているのだ。

コース上での立ち居振る舞い、プレー中の態度、ルールやマナーの遵守――すべてがゴルフの「品位」を支える。そして、その品位が保たれてこそ、ゴルフは正しく、美しい競技として成立するのだ。

■ビリー・バーク(1902~72年)

米国コネチカット州出身。20世紀初頭のプロゴルファー。インバネスクラブ所属。1931年全米オープン優勝。ジョージ・フォン・エルムとの36ホールのプレーオフでも決着がつかず、次の日も36ホールをプレーして優勝を勝ち取った。同年の全米プロでは準決勝まで進む。ライダーカップ2回出場。