【大人ゴルフの歩き方】最終回「ゴルフエンディングノート」
スコアだけがゴルフじゃない! コラムニスト・木村和久が独自の視点から現代の正しいゴルフの在り方を指南。
ILLUST/Shinichi Hoshi
最終講 ゴルフエンディングノート
①ゴルフはいつ引退すべきか?
②ゴルフの腕前下り坂最高!
聞こえてきたゴルフ引退の足音
最近、歳のせいかレギュラーティーで打つのがつらくないですか? あるいは簡単なショットをミスするとか。そして友達が、ゴルフ場で怪我をし、そのまま引退した話を聞いて、ショックを受けていませんか?
60歳を過ぎると、ゴルフ引退の足音がヒシヒシと聞こえてきます。自分はいくつまでゴルフができるんだろうかって。シニアゴルフを維持するには、お金、健康、仲間の俗に言う3大要素が必要と言われています。そのバランスが崩れると、ゴルフ引退が身近なものとなります。
具体的な引退年齢を考えると、日本人男性の平均寿命が81歳で、健康寿命が73歳ほどなので、当面75歳あたりを目標に、ゴルフ引退を想定すればよろしいかと思います。
あまりピンとこない人は、75歳にゴルフ引退コンペを開くのを目標にするのはありです。生前葬だと本人しか楽しくないし辛気臭いでしょ。別に引退後もプライベートラウンドしていいんです。あくまでひとつのマイルストーンとしてやれば、楽しい思い出になるはずです。
●引退した話
義父がゴルフの動作が遅いと周りからクレームが来て、70代でやめています。わりとショックでした。スロープレーはダメなんだ
●足音
いつも110オーバーとかやっていると、ゴルフはしんどいし、つまんない。そろそろやめようかなって思いますよね
●3大要素
金、健康、仲間があるからゴルフができるんじゃない。ゴルフをしたいがためにお金を稼ぎ、健康でいて、友達を作るというポジティブな考えが大事
●ゴルフ引退コンペ
実際行ったことがあるけど、本人はすごく楽しそうでした。参加者も旧友に会えて良い同窓会ができたと好評。わりといいかも
ゴルフ人生の終わらせ方
さて75歳の引退コンペをゴルフ人生の節目にしました。その時までにやることは、余計なものの処分です。もういい歳なんだから、ラウンド中に何が起きるか分かりません。ピンピンコロリの可能性もなきにしもあらず。持っているもので、末代の恥になるものは捨てましょう。
たとえば秘密のエロ写真は速攻捨て、さらに女性と行ったお泊まりゴルフ写真、北海道遠征で立ち寄ったエッチな店の会員証。あと後生大事に飾っている優勝トロフィとか、使わないクラブも処分しましょう。
ゴルフ会員権ですが、高く売れるなら売ったほうが良いです。年会費は無駄だし、そもそも競技に出ないで予約をするだけなら、ビジターでもできます。友達にはやめたのを内緒にしてればバレませんから。
引退の道筋としては、レギュラーティーから、ときどきシニアティーを使いだす。雨の日、暑い夏、寒い冬はゴルフをしない。いつも110叩きをする。怒りっぽくなる、簡単なミスが多い、ラウンドが疲れる。そして仲間から、プレーが遅い、キレやすいなどのクレームが入り、あまりゴルフに呼ばれなくなる。このとき、意地を張ってゴルフを続けますか?
自動車免許証の返納のように、家族がそろそろ潮時よと言ってあげれば、名誉を保ったままゴルフからの勇退ができます。
理想を言えば有能な後輩や部下がいて、彼らに慕われて、サポートされながらコンペを開いてもらい、みんなに見守られながらラウンドをするのが、幸せな老後のゴルフといえましょう。そう考えるとゴルフを引退しても、社会と接点があればオーケー。だからラウンドせずに2次会のみの参加もまた楽しいです。我がゴルフ人生、一片の悔いもなし。けど本当の人生は悔いだらけってなんだんねん。まあそれも善きこと哉。
●ピンピンコロリ
夏のゴルフ場でプレー中、高齢のゲストが倒れ、救急車が来たことがありました。その時、キャディさんが「あのお客さん心臓悪かったから覚悟していたと思う。好きな場所で死ねるなら本望かも」と言っていたのが印象的でした
●優勝トロフィ
持ってるトロフィの大半はすでに解散しているコンペのもの。主催者は消息不明、持ってても意味がない。クラブのコレクションも中古屋に持って行くと恐ろしく安く買い叩かれるし
●バレません
メンバーのメリットは土日祝日安い、メンバーロッカーが使える、競技に出られる、そしてメンバータグが持てる。この4つが大きい。平日プレーなら、ビジターで十分
●返納
ゴルフ場の乗用カートで事故ったら、ゴルフもクルマの運転も引退ですねん
●2次会のみ
大御所漫画家でコンペはラウンドせず、2次会から参加する先生がいます。やっぱり仲間との付き合いが大事だよね
今月のまとめ
雨にもマケテ風にもマケテ
夏の暑さ冬の寒さで休み、決して歩かず
オーケーは甘く、ボールは捜さず
スコアは忘れ、2次会だけが楽しみ
行き帰りは送ってもらい
後輩に慕われ、わがままは全部通る
晩年はベタな俗物ゴルフでいいよね
教える人/木村和久
ゴルフ歴32年のコラムニスト。ベストスコア75、2001年鶴舞CCキャプテン杯優勝。『89ビジョン』など新しいゴルフの楽しみ方を様々提案する自称「ゴルフ生活評論家」
月刊ゴルフダイジェスト2025年2月号より