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【大人ゴルフの歩き方】Vol.44「“オーケーゴルフ”の悦楽」

KEYWORD 木村和久

スコアだけがゴルフじゃない! コラムニスト・木村和久が独自の視点から現代の正しいゴルフの在り方を指南。

ILLUST/Shinichi Hoshi

前回のお話はこちら


第44講 “オーケーゴルフ”の悦楽

①カップインよりオーケー狙いよ
②オーケーは1打分数えてね


オーケーパットは風習だった?

朝スタート前のパター練習場で、1メートルのパットをカランと入れている諸兄、お疲れさまです。けれど冷静に考えてみてください、プライベートラウンドの場合、ほぼ100%、「オーケーあり」のゴルフをしますよね。

だから短いパットの練習をしても、実際に打つ機会は少ないでしょう。だったら10メートルほどを寄せてオーケー狙いの練習をしたほうが効率的じゃないですか? というわけで、今回はオーケーゴルフの謎を解明します。

オーケーって実は明文化されておらず、ルールでもマナーでもないローカルルールで、いわば風習です。一般的にカップ周り60~70センチがオーケーの距離とされていますが、人によっては結構な差が出ます。


たとえば以前、トランプ前大統領と安倍元首相がゴルフをした時、トランプさんがファーストパット後、ボールを拾いオーケーにしました。オーケーの距離は無限大か? 松山選手も苦笑い、ほんとわがままなオヤジよね。

つまりオーケーは、最初のホールでパーティを仕切る一番偉い人が距離を決め、ゲストはそれに倣うのが一般的です。

●オーケー狙い

カップ狙いはマジで厳しい。けれどオーケー狙いはドラム缶ぐらいの輪に入れる感じ。すげえ楽やん

●明文化

ルールブックのどこを探しても、オーケーに関する記述はないのです。オーケーはローカルルールという扱いで、そのパーティ内で自由に決められます

●無限大

アイゼンハワー大統領は、パットが心臓に悪影響を及ぼすと医者に言われ、グリーンに乗ったら全部2パットにした。これが有名な究極のオーケーのアイゼンハワールール。実際やったらつまんないかもね

●一番偉い人

偉いのは、ゴルフをオゴってくれる人、メンバー、上司 、先輩、ゴルフが上手い人の順かな

オーケー狙いのコツとは

さあ狙いは定まりました。オーケーゴルフを実践しましょう。まずやるべきことは、その日のオーケーの距離を決めることです。それはスタートホールのグリーンにいる気難しいゲストのパットいかんによります。

その強面のゲストが1メートルのパットを残し、物欲しそうな眼ざしを向けてきました。あ~、オーケーが欲しいんだなと。嫌なやつに恩を売る千載一遇のチャンス到来。観音菩薩のような慈悲の心でオーケーを言ってあげたとさ。言われたおじさんは朝から上機嫌、すべてがうまく進行しました。

結局その日は、大甘ルールで1メートルがオーケーとなりました。後半、今度はこちらが1.2メートルくらいの、さすがにオーケーは無理という距離が残ったとき、いかついおじさんは「オーケー! 下にあるので」とオーケー返しの術で応戦。やっぱり人には優しくしておくものですね。こんなあんばいなのでカップをオーバーさせる、『ネバーアップ・ネバーイン』の思想でパットを打つ必要がなくなりました。従来のパット理論は競技用です。カップオーバーのパットを打っていると、今度は返しのパットが大変になるときがありますからね。

というわけで朝やるべきことは1メートルのカップインより、自分の得意な距離、8~10メートルをひたすら寄せるのみです。オーケー狙いのパットの極意は迷ったら真っすぐです。どっちに切れても、ちゃんとオーケーを取れますからね。

アマチュアの場合2メートルのパットが入る確率は5割以下と言われています。だから入れにいくならジャストタッチで打つべし、強気の壁ドン&ピンドンはしないほうが無難です。結局、我々はオーケーゴルフで育ってきたからこのままでいいんです。年を取ったらもう少し長めのオーケーもありと思いますね。

●気難しいゲスト

顔が怖い人はオーケーすべきか判断が難しい。甘いオーケーをすると「それはオーケーじゃない、俺をナメんなよ」という人がいるから

●慈悲の心

甘いオーケーは朝イチ、18番の最終パット、叩いた時、女性に対して、など緩急をつけて、やったほうがいい

●オーケー返しの術

人に優しくされると、自分も優しくなる。社交や親睦なら甘いオーケーはあり。競技に向けての練習のほうは、自ら申告して厳しくすればいい

カップをオーバー

カップを越えなければ、カップに入らない。これに今まで騙されてきたわ。こっちはオーケー狙いの“寸止め先生”だから、穴には入れないの

●迷ったら真っすぐ

ボールの切れ方で迷ったら真っすぐ打てばオーケー。距離と方向性を同時に考えるから失敗するんだよね


今月のまとめ

結局、オーケーって自分は厳しくやるから、
お前も厳しいオーケーにしろという
パワハラみたいなもの。
だったら甘いオーケーでやるから、
お前も甘いオーケーに付き合えとなる。
どっちもどっちだよね。


教える人/木村和久

ゴルフ歴32年のコラムニスト。ベストスコア75、2001年鶴舞CCキャプテン杯優勝。『89ビジョン』など新しいゴルフの楽しみ方を様々提案する自称「ゴルフ生活評論家」

月刊ゴルフダイジェスト2024年11月号より