【大人ゴルフの歩き方】Vol.43「ゴルフは“あんたが大将”!」
スコアだけがゴルフじゃない! コラムニスト・木村和久が独自の視点から現代の正しいゴルフの在り方を指南。
ILLUST/Shinichi Hoshi
第43講 ゴルフは“あんたが大将”!
①ゴルフは自分が輝いてなんぼよ
②下手でも目立てる方法がある
このままポチで終われるか!
皆さん、ゴルフは順調に叩いてますか? 年中叩いた言い訳をする人生もしんどいですよね。この先、自分はどれだけ上達するんだろうか? シニア世代となった今、ゴルフは上達するより、日々退化していく気がします。おやじの人生はゴルフを含め、全て現状維持で十分なのです。
というわけで、コンペの順位はいつも真ん中よりやや下の定位置で、目立たず、迷惑をかけず、飛び賞にもならず永遠のポチで良いと考えているあなた、一度ゴルフに対する考えを改めてはいかがでしょう。
中国の有名なことわざに「鶏口となるも牛後となるなかれ」というのがあります。これは大きな組織の下っ端でいるなら、例え小さな組織でもトップに立っているほうがマシという考えです。
大企業の契約社員でいるならベンチャー企業の創業者たれ。これをアマチュアゴルファーに例えるなら、大きなコンペに呼ばれて、その他大勢の中で埋もれるなら、例えひと組でもいいから、知り合いを呼んでラウンドを仕切り、自分の存在感をアピールしたほうが良いのです。
●叩いた言い訳
言い訳は練習不足、寝不足、占いが凶、腹痛、失恋、身内の不幸、前日風俗に行った、飼ってたネコが死んだ、インコが逃げた、などありますが、究極はこれでしょう
●現状維持
おやじになると現状維持は素晴らしいと気付きます。髪の毛、下半身の元気、血圧、血糖値、年収、肥満そしてゴルフのスコア。全て現状維持でオーケーです
●永遠のポチ
呼べばすぐに尻尾を振って来ると思いやがって~。プレー直前に誘われるのは、欠員の穴埋めだからね
●存在感
知り合いを呼んだとき、必ず相手が来る裏技。それはおごること。よく某社長や某大手出版社の編集長がおごってくれました。誰かタダで呼んでくれないかな、すぐポチになります
上級者の尻に付くならヘボの頭に
たとえば知らない業界の100人ほどのコンペに呼ばれたとします。パーティで誰と喋っていいかわからず、場違い感ハンパないっす。しかもそこで偶然上位入賞してみなさい、スピーチは滑りまくりで、誰も合いの手さえ入れてくれない。もはや公開処刑、牛の尻はつらいな~。
だったら、前途有望な若者をコースに呼び、かわいがりをしましょう。狙い目は10~20歳ぐらい年下で、ドライバーは飛ぶけど、コースマネジメントが下手で、平均スコアが90台半ばぐらいの人がベストです。
まずは相手が250ヤードを飛ばしたのを見て、こんな飛ぶ人は見たことないと褒め殺しをします。これで相手は自ずとドライバー縛りとなり、ティーショットは暴れ出すというあんばい。池越えやドッグレッグを目の前に「やっぱり飛ばし屋だから」とあおりまくり。設計者に敬意を表して、挑戦しますか、と言っておけば、相手は引くに引かれぬ状況に陥ります。
すでに前半で叩いているので、締めはグリーンで。パットはオーケー狙いで合わせにきますから、カップを越えないとボールは入らないとダメ押しすれば発奮し、強気のパットに切り替えて3パット出まくり。
上がってみれば10打ぐらい差をつけて、飛ばし屋の若者を駆逐。
そこで最後の仕上げとして、弱点を指摘しましょう。君はテークバックが早過ぎだよ。チャーシューメンのチャーシューなしだな。ただのラーメンで打っていると言えば、えらく尊敬されます。
ほかにも、ベタ足でスウェイ防止、グリップは短く。トラブルショットは渋谷のヘルス、その心は出すだけと冗談を交え、ダンドリとコースマネジメントを教えれば、若者は目からウロコ!
最後はぜひ弟子入り志願しますと来たもんだ。見事おじさんは鶏のクチバシとなり、従順なる仲間が増えたとさ。めでたし、めでたし。
●滑りまくり
知らないコンペで入賞し、スピーチしても周りは誰も話を聞こうとしない。東京の新人芸人が、大阪の舞台に立つ感じ。浮きまくりだ
●褒め殺し
嘘でも褒められると悪い気はしないよね。ただ話半分と理解しないと
●越えないと
ネバーアップネバーインね。これは完全ホールアウトの場合だけよ。オーケーパットのあるプレーは寄せ方が大事でしょ
●チャーシューメン
これはなかなか良くできた掛け声。チャーシューのシューあたりでトップの位置をキープできたら、いいショットできるよね
●出すだけ
説明すると墓穴を掘るので、読者の自由な想像と解釈に委ねます
今月のまとめ
ゴルフは自分より上手いやつには
教えられないという格言があります。
逆を言えば、自分より下手には
教えられるということ。
さあ自分より下手を見つけて、
コツコツ布教活動をしましょうか
教える人/木村和久
ゴルフ歴32年のコラムニスト。ベストスコア75、2001年鶴舞CCキャプテン杯優勝。『89ビジョン』など新しいゴルフの楽しみ方を様々提案する自称「ゴルフ生活評論家」
月刊ゴルフダイジェスト2024年10月号より