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「愚者はまぐれ当たりを自慢し、賢者はミスショットから多くを学ぶ」(スコットランドの諺)

レジェンドと呼ばれるゴルフの名手たちは、その言葉にも重みがある。ゴルフに限らず、仕事や人生におけるヒントが詰まった「名手の名言」。今回は趣向を変えて、ゴルフ発祥の地と言われているスコットランドの諺を2つ紹介しよう。


愚者はまぐれ当たりを自慢し
賢者はミスショットから多くを学ぶ

スコットランドの諺


ゴルフは本来的に偶然の当たりの積み重ね。もちろん上級者、ダッファーでの次元の違いはあるが。そうでなければ一流プロなら毎日59が出せるはずである。それが60台が出て、一晩寝たら80台なんていうのは日常茶飯事。

倉本昌弘が59を出したとき、その偶然の積み重なりに「これは人間の領域ではなく、神様の、何人も冒せない領域、じっと待っているしか方法はない」という意味のことをつぶやいたことがある。

だからよくいわれるのは「いかにミスを少なくするか」であって、これはゴルフのゲームの要素での名言だろう。

このことをスコットランドの諺は諭しているのだろうが、それにしても、いかに用具、人間のフィジカル要素が進化しようとも、ゴルフでの要諦は最古の昔から変わらないのだと驚く。


ウィンズ・アンド・ウィンズ
(Winds and Whins)

スコットランドの諺


翻訳家で、ゴルフ愛好家である永井淳氏が、スコットランドのリンクスに淫し、10年もの間、仲間達とリンクス詣でをしていた頃の話である。

リンクス詣でを始めた最初の年の1991年、とびっきり風の強い日に、ロイヤルカウンティダウンというコースでのラウンドを終えた氏は、地元ゴルファーから話しかけられた。そのときの言葉が表題のそれだ。

風のことを言っているとは分かったが、英語に堪能な氏でも、真の意味が理解できたのは後からであったという。

「ウィンズ・アンド・ウィンズ」、これを英語で綴ると「Winds and Whins」。つまり、風とハリエニシダの意味になるという。

ハリエニシダはリンクスの至るところに群生し、自然のハザードと化している。黄色い花をつけ、それはそれで綺麗なのだが、葉は羊に食われないようにと、自己防衛のためか鋭い針になっていて、ジーンズの固い布さえ通してしまう。ボールがそのハリエニシダのブッシュに入ってしまうと、アンプレヤブルにせざるを得ない。

「ウィンズ・アンド・ウィンズ」、その二大要素がリンクスの真髄だと土地っ子の間では言わずもがな、だったのだが、その日はあまりに風とハリエニシダの“被害”が大きかったのだろう。思わず永井氏にもらしたのだ。

永井氏はその後も、リンクス詣でをしてきた。行ったその日から、ひたすらリンクス(後年はスコットランドからウェールズ)を巡り、名所旧跡など見向きもせず、滞在期間中はすべてラウンドに使い切るほどだった。

そして、その「ウィンズ・アンド・ウィンズ」に苦闘を強いられながら、それがまた挑戦欲を掻きたてるという愉しみも味わうことになるのである。