スロープレーは百害あって一利なし!「プレーファスト」を実現する工夫あれこれ【ゴルフマナー百科】
紳士・淑女のスポーツたるゴルフでは、ルールも大事だがエチケットやマナーも非常に重要。ビギナーからベテランまで、誰もが押さえておきたい基本的なマナーをおさらい!
プレーファスト
ゴルフを始めたばかりの頃、「打ったら走る!」と先輩ゴルファーに教えられたことがある人も多いのではないだろうか。
ゴルフは1つのコースを、その日集まった人たち全員が順番にプレーするスポーツ。1人のプレーの遅れがその後のすべてのプレーヤーに影響を及ぼしてしまう。そのため、走るとまではいかなくても、前後の組の進行を見ながら、可能な範囲でスピーディーにプレーすること(=プレーファスト)が求められる。
プレーを早くするといっても、慌ててプレーする必要はない。プレーが雑になって打数が多くなると、かえって進行が遅くなってしまい本末転倒だ。
プレーを早くするために重要なのは、プレー前の準備。自分の番が来たらすぐにアドレスに入れるよう、使う番手、狙う場所、打ちたい球筋をあらかじめ決めておこう。
番手を選ぶうえで重要なのは残り距離と風。レーザー距離計があれば確実だが、カートからボールまでが離れている場合は、ヤード杭でおおよその目安をつけ、追い風なら小さめの、向かい風なら大きめの番手を含め2~3本のクラブを持ってボールに向かう。カートから遠い場合は、戻ってこなくても済むように、ウェッジやパターも持っていくとよい。また木の枝が邪魔になりそうなときは、低い球で転がしていけるUTやロングアイアンがあると便利だ。
ボールの場所に着いたら、同伴者のプレーを気にしつつ、狙う方向や球筋のイメージを作っておく。可能なら素振りも済ませておき、同伴者の球の行方を見届けたら、アドレスに入って打つだけ、という状況を整えておけば、スムーズに進行し、皆がリズムよくプレーできるはずだ。
これはショットのときだけでなくパットのときも同様。よく自分の番が来てからラインを読み始める人がいるが、ラインを読むのはグリーン上に移動するときや、同伴者がプレーしているときにもできる。同伴者の打った球の転がりを見ておくことも、打つ強さやラインを決めるうえで重要な材料となる。同伴者のプレーの邪魔にならない範囲で、あらかじめ準備しておこう。
遠球先打が基本だが…
基本は「遠球先打」、つまりピン(カップ)から遠い人から打つ決まりだが、時と場合によっては、自分のほうがピンに近い場所にあっても先に打ってしまって構わない。たとえば同伴者がクラブを間違えてカートに取りに戻ったときや、やっかいなライでクラブ選択に悩んでいるとき、バンカーから脱出したあとレーキでバンカーをならしているときなど、同伴者のプレーを待っていると時間がかかりそうな場合は、「先に打ちます」と周囲に知らせたうえで、先にプレーしてしまおう。
これはスロープレー防止の観点からも、「レディーゴルフ」(ready golf=準備ができた人から打つ)としてルール上も推奨されている(規則6.4)。
けっして慌てる必要はなく、上記のようなことをちょっと意識するだけで、1打あたりの時間は簡単に短縮できる。仮に1打につき5秒短縮できれば、100打で500秒=約8分。4人で32分も短縮できる計算になる。コースにいる全員が気持ちよくプレーできるように、1人1人がプレーファストの意識をもって行動することが大切だ。