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【名手の名言】ジョイス・ウェザード「私のルールは、相手を意識せず自分の正しいフォームに集中すること」

レジェンドと呼ばれるゴルフの名手たちは、その言葉にも重みがある。ゴルフに限らず、仕事や人生におけるヒントが詰まった「名手の名言」。今回は1920年代に活躍した女性ゴルファー、ジョイス・ウェザードの言葉を2つご紹介!


私が常に守っているルールは
相手を意識せず
自分の正しいフォームに
集中すること

ジョイス・ウェザード


1920年代に4度全英女子アマを制しているジョイス・ウェザードは、同時期に活躍した米国の伝説的アマチュア、ボビー・ジョーンズとそっくりなスウィングといわれたが、ゴルフに対する思考形態もほぼ同じであった。

ジョーンズはプレーヤーを相手にするのではなく、パーを相手にプレーするという「オールドマン・パー」の信条をつくりあげたが、冒頭のウェザードの言葉もそれに通じるものがある。

ウェザードはパットのとき、汽車が通り過ぎても気がつかなかったというくらい集中することで有名だった。これも冒頭の信条を持っていたからこそだろう。

1929年、ウェザードが4度目の全英女子アマを制したとき、ある批評家は次のように評した。

「彼女のノンシャラン(無関心)な態度は冷静というか、まるで神経がないごとくであった」


ゴルフのチャンピオンシップは
ベスト・プレーヤーが獲得するもので
これを国際的なマッチのように
考えるのはおかしい

ジョイス・ウェザード


例えば1934年の全英オープン。英国生まれのヘンリー・コットンが勝ち、12年ぶりに米国から栄冠を取り戻したとして、救国の英雄となった。

しかし、このようなナショナリズムを持ち込むと、スポーツとしての純粋性を損なうと嘆じた人が、100年近く前にいた。

ジョイス・ウェザードがその人で、時は1929年の全英女子オープン。米国のグレナ・コレットを破ったあとのインタビューで発したのが表題の言葉だ。

要するに、国別対抗のライダーカップのような団体戦ならともかく、個人戦でナショナリズムを前面に押し出すのは、偏狭さを生みゴルフゲームのピュアな精神をゆがめると警告したのだ。

自身、“愛国のヒロイン”扱いされるのが嫌だったようで、「私は愛国的精神から、アメリカの侵略を防いだのではない」とも言っている。ただただゴルフが好きで、誰よりも上手くなりたいという一心で戦っていたのだろう。

■ジョイス・ウェザード(1901~97)

イングランドの裕福な家庭に生まれ、夏はスコットランドの別荘で過ごし、ローヤルドーノックでゴルフ大好きの父親から兄ロジャーとともに手ほどきを受けた。現役を退く1930年までの間に全英女子アマ4勝、イングランド女子アマ5連勝。不世出の天才女子ゴルファーと謳われた。兄ロジャーも全英アマで優勝している名選手だった。