【江連忠のPROJECT E】Vol.243 トム・カイト「重心の高さが一切変わらない! 曲がらないスウィングのお手本」
片山晋呉や上田桃子など、数多くのトッププロを世に送り出してきた江連忠が、自身の経験をもとに、レジェンドのスウィングに宿った“本質”を語る!
TEXT/Yumiko Shigetomi PHOTO/Hiroyuki Okazawa THANKS/オーシャンリンクス宮古島
●今月のレジェンド●
トム・カイト
1949年アメリカ生まれ。米ツアー19勝(メジャー1勝)、欧州ツアー3勝。89年から94年まで175週間にわたって世界ランク1位。ショートアイアンの名手
曲がらないスウィングを
とことん探求
学生時代はハービー・ペニックの指導を受け、その後もいろいろなコーチに教わって「パワーより精度」のスウィングを身につけたトム・カイト。
92年の全米オープンで優勝する前には僕の師匠のジム・マクリーンのレッスンを受けていましたが、それを間近で見ていた僕はコーチングの重要性を肌で感じてその後の人生に大きな影響を受けました。
カイトはそれまでの主流だった“逆Cの字”スウィングから“Iの字”スウィングに大きく改造しました。それにより、曲がらないショットを手に入れて、スランプも怪我もなく長く活躍する源になったのです。
ダイナミック感や柔軟性、リズム感はあまりないスウィングですが、重心の高さや軸が変わらずにフェースのコントロール性が高く、究極のレベルブローで球をとらえています。
体格に恵まれないなかで勝負するためにはどうすればいいかと研究して作り上げられたスウィングで、後に僕が(片山)晋呉を教えるときに参考にしていました。
パワーのないアマチュアも見習うべき部分がたくさんあります。
重心の高さがずっと変わらない
現代の選手はタテに踏み込むため頭が下がったりして重心が上下動するが、アマチュアは頭の高さは変えずに振ったほうがいい。体の負担が少なくミート率を上げられる
カイトの系譜を継ぐのはこの選手
(若い頃の) 片山晋呉
フェースをねじらず方向性を上げる
プロ入り後にとにかく球が曲がる要素をすべてなくすためのスウィング改造をした片山晋呉は、トム・カイトのスウィングを参考にした。飛ばし屋じゃなくても強くなれるお手本
江連忠
1968年生まれ。東京都出身。高校を卒業して渡米し、ミニツアーを転戦しながらジム・マクリーンに師事したのち帰国。日本のプロコーチ第一人者となり、片山晋呉や上田桃子を賞金王に育て上げた
月刊ゴルフダイジェスト2024年1月号より