【名手の名言】ドワイト・D・アイゼンハワー「スコアは聞くな!」
レジェンドと呼ばれるゴルフの名手たちは、その言葉にも重みがある。ゴルフに限らず、仕事や人生におけるヒントが詰まった「名手の名言」。今回は大のゴルフ好きで知られた第34代米大統領、ドワイト・D・アイゼンハワーの言葉を2つご紹介!
スコアは聞くな!
ドワイト・D・アイゼンハワー
米国の第34代大統領ドワイト・D・アイゼンハワー(愛称アイク)は、歴代大統領の中でも抜きん出てゴルフが好き、そして上手かった。
80台の後半から、時には70台で回ったという。それも“マリガン”などインチキなしでだ(※マリガン=朝一のティーショットをミスしたときに無罰でもう一度打ち直せるプライベートルール)。
ホワイトハウスでの8年の間に、800回のラウンドをこなした。ホワイトハウス地下に練習場、庭にはパッティンググリーンを造り、オーヴァルオフィス(執務室)には無数のスパイク跡が残ったほど。
米国ゴルフの興隆をうながしたのは間違いなく、このアイクであった。大統領就任の年から7年の間にゴルファーの数が倍になったのである。もっとも就任2期目にアーノルド・パーマーの人気とあいまったこともあるが。「それまでゴルフは金持ちのものだという偏見を、大統領が取り除いてくれた」とは、時のPGAの幹部の言葉。
大統領になってスコアが8つも落ちたと激務を嘆いたというが、あるトーナメントのプロアマで96のスコアを叩いたとき、アイクは「これ以上スコアが下がったら、私のスコアは聞くなという法案を提出するぞ」と宣言した。
このことを米国ゴルフダイジェスト誌が、半ばジョークでバッジにしたのだ。それが表題の言葉で、原文では「DON’T ASK WHAT I SHOT!」。 アイクはこのバッジがお気に入りで、しょっちゅう胸につけてラウンドしたという。
全米のゴルファーで
100を切るのはわずか15%というが
あとの85%がチャーリー・ボズウェルによって
発奮することを切に望む
ドワイト・D・アイゼンハワー
ボズウェルは第2次世界大戦で米軍の戦車隊長として、ドイツのリンデルンで戦い、両眼を失明し送還。傷痍軍人の社会復帰担当軍曹からゴルフの手ほどきを受け、瞬く間に上達。全米盲人ゴルフ選手権では15回優勝。1959年には194(36H)のスコアで盲人ゴルファーの新記録を樹立した。
その功績を讃え、ベン・ホーガン・トロフィーが授与されたが、その折に添えられたのが表題のメッセージである。
アイクは陸軍元帥、連合軍最高司令官と軍人あがり。ボズウェルを讃えることで傷痍軍人への敬意と感謝を表したのだろう。
■ ドワイト・デイビッド・アイゼンハワー(1890~1969)
アメリカ合衆国の第34代大統領および第二次世界大戦中のヨーロッパの連合軍最高司令官。愛称は「アイク」。米国歴代大統領の中でも大のゴルフ好きとして知られ、国民にゴルフのよさを喧伝し、ゴルフ界にとっては興隆の立役者となった。大統領任期の間に800回のラウンドをこなし、中でもオーガスタナショナルはお気に入りで、何度も訪れている。10番ホールの脇には記念として、夫人と休んだ白い「アイゼンハワーコテージ」が残されている。