【イザワの法則】Vol.37 用途や球筋に応じてロフトを選んでいますか?
14本のクラブ選びで重要なのは、どの番手でどのくらいの距離を打つかということ。アイアンのロフトが立っていることで、ウェッジのロフト選びも難しくなっているが、伊澤プロはどのように考えているのだろうか?
TEXT/Daisei Sugawara ILLUST/Kenji Kitamura PHOTO/Shinji Osawa THANKS/福岡レイクサイドCC(PGM)
苦手なクラブでも
バッグに入っていると使いたくなってしまう
バッグに入れていいクラブの本数は「14」とルール上はなっていますが、実際に14本全部が必要かというと、時々もっと少なくていいんじゃないかと思うこともあります。自分も、ラウンドが終わって、クラブを拭いているときに、「あれ、今日は6番アイアン使わなかったな」と思うことがありますから、100くらいで回る人だったら、3、4本使わないクラブがあるのが普通なんじゃないでしょうか。
使わないクラブというのは、往々にして「使えないクラブ」であることが多いですから、思い切って抜いてみるのも、ひとつの手だと思います。バッグに入っているから、内心「使えない」とわかっていても、使ってみたくなるわけですし、最初から入っていなければ、迷わず自信のあるクラブで打っていけるので、スコアの面でもメリットが大きいかもしれません。
たとえば、ドライバーと5番ウッド、ウッドとミドルアイアンの中間のハイブリッド、7番アイアン、それにウェッジ2本(PWとSW)とパターの7本で、割と多くの人が問題なくプレーできるような気がします。スコアも普段と変わらないか、むしろよくなるかもしれませんので、興味があれば次のラウンドでぜひ試してみてはいかがでしょうか。とはいえ、どんな「14本」を揃えてバッグに入れるかというのもアマチュアゴルファーの楽しみのひとつではあると思うので、あまり実用面のことばかりを言うのも野暮かもしれませんが(笑)。
現代ゴルフの問題点は
アイアンのロフトが立ちすぎていること
アマチュアの14本の選び方でいうと、最近はアイアンのロフトが立ちすぎているケースが多いので、セットのPWの下が「スカスカ」になってしまうケースが増えているはずです。こうなったら、ショップでウェッジを1度刻みで売ったら、結構な需要があるんじゃないかと思いますが、製造コストを考えるとそれも難しそうですので、せめてウェッジ間のロフトピッチがなるべく均一になるように揃えたいところです。
私自身、以前は48度、52度、58度のウェッジ3本態勢でしたが、今は1本増やして、46度、50度、54度、58度と4度ピッチの4本態勢にしています。ロフトが4度増えるごとに、大体、キャリーが5ヤード増える感覚ですが、ロフトが多いほどスピンが利くので、実際の距離差は状況によって10~15ヤードくらいになります。そもそも、なぜウェッジをもう1本入れる発想になったかというと、58度のウェッジで昔ほど「飛ばせなく」なったからです。飛ばせたからこそ、以前はそこだけ6度ピッチで大丈夫だったんですが、それが難しくなったので、じゃあ間に1本入れるほうが簡単だろうということですね。
代わりに何を抜いたかというと、物理的にバッグから消えているのは5番ウッドと3番アイアンなんですが、最初は3番ウッドがいらないんじゃないかというのが発端でした。3番ウッドで年間、何回グリーンに乗るのか考えたときに、むしろこれを抜いてウェッジを足すほうがいいと。それで、3番ウッドのロフトを16.5度にして、元々の3~5番ウッドの距離を1本でまかなうようにして、ついでに5番ウッドと3番アイアンの距離は、ハイブリッド1本で代用することにしました。今のところまったく問題はないので、早くそうしておけばよかったと思っています(笑)。
必要のないクラブは抜いてみよう
伊澤プロは、46度から4度ピッチで4本のウェッジをバッグに入れている。4本ウェッジは、アマチュアにもメリットがあるが、注意しなければいけないのは、いわゆる「すくい打ち」になると(写真右)、ロフト通りの距離差が出せなくなってしまうこと
伊澤利光
1968年生まれ。神奈川県出身。学生時代から頭角を現し、プロ入りしてからは、プロも憧れる美しいスウィングの持ち主として活躍。2001年、2003年と2度の賞金王に輝く。また、2001年、マスターズで日本人最高位の4位入賞(当時)。現在はシニアツアーを中心に活躍中
月刊ゴルフダイジェスト2023年12月号より