【名手の名言】中部銀次郎「飛ばしの欲求を抑えたときに、ゴルフゲームが見えてくる」
レジェンドと呼ばれるゴルフの名手たちは、その言葉にも重みがある。ゴルフに限らず、仕事や人生におけるヒントが詰まった「名手の名言」。今回は「プロより強いアマ」と称された伝説のゴルファー・中部銀次郎の言葉をご紹介!
飛ばしの欲求を抑えたときに
ゴルフゲームが見えてくる
中部 銀次郎
伝説のアマチュア・中部銀次郎は、ティーイングエリアで、飛ばしてやろうとか、パー5で2オンを狙うような仕草をしたことがないという。
なぜか? その理由を19番ホールで訊くと次のように語った。
「なぜできないことを望むの。望むからリキんで失敗する。ミスの原因のほとんどは見栄なんだ。見栄は〈自分を知ること〉を阻害する。飛距離は各人それぞれ。飛ばなければ他のクラブでカバーすれば事足りる」
そして最後に中部流アマゴルフとは何か? に答えた。
「14本クラブを使い切って、パーに近づく。これがアマチュアのゴルフの本質だと思う」
ミスショットをするのは
肉体の運動を
心の作用が阻害するためだ
中部 銀次郎
肉体運動は目に見えるもの。一方、心の作用は目に見えないもの。目に見えないものが目に見えるものに影響を与える。
これはゴルフに限らないことではあるだろうが、ゴルフではとくに自分だけの責任において、スウィングを始動し終えるものだから、自分の心の作用が100%影響するのだと、中部はいう。
その解決策は――
「どんな場面に遭遇しても、慌てず、騒がず、落胆せず、高揚せず、あるがままの現実を受け入れ、心を平らにしてプレーすれば自ずと自分の実力が反映されるものだ」
と中部はいうのだった。
■中部 銀次郎(1942~2001年)
なかべ・ぎんじろう。山口県下関市に大洋漁業を営む一族の御曹司として生まれる。虚弱な体質のため、幼少より父の手ほどきでゴルフを始める。長ずるにしたがって、腕をあげ天才の出現と騒がれた。甲南大卒。60年、18歳で日本アマに出場。62年、20歳で日本アマ初優勝。以後64、66、67、74、78年と17年にわたり、通算6勝の金字塔をうちたてた。67年には西日本オープンでプロを退けて優勝。プロより強いアマといわれた。しかし、プロ入りはせず、生涯アマチュアイズムを貫いた。01年、永眠。