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【名手の名言】ピーター・トムソン「あの場所で素晴らしいライに恵まれるとは、 なんてラッキーなんだろう」

レジェンドと呼ばれるゴルフの名手たちは、その言葉にも重みがある。ゴルフに限らず、仕事や人生におけるヒントが詰まった「名手の名言」。今回は欧州、豪州、日本ツアー合わせて50勝以上を挙げ世界ゴルフ殿堂入りも果たしているピーター・トムソンの言葉を2つご紹介!


あの場所で
素晴らしいライに恵まれるとは
なんてラッキーなんだろう

ピーター・トムソン


ピーター・トムソンは全英オープンを5回勝っているが、そのうち初勝利を挙げた1954年(ローヤルバークデール)の全英オープンでのこと。

最終日、17番でのバンカーショットを振り返り「あのバンカーのライは美しかった。運がよかったのさ」。

そして最終18番。1打目、2打目ともにミスショットとなり、3打目はグリーンから100ヤードも離れていた。しかしこのショットがピン1メートルにピタリ。パーで勝利を決定づけた。このときのことを振り返って語ったのが表題の言葉――「あの場所で素晴らしいライに恵まれるとは、なんてラッキーなんだろう」。

「自己弁護は誰もが常に用意しているもの。いいショットは自分の手柄、悪いショットは何かに責任転嫁するのが常套手段。ところがトムソンは球史に残るほどのスーパーショットを放っても、いつだってライがよかった、幸運だったと言うだけで、ただの一度も不運を嘆いたことがない」

と、ゴルフジャーナリストのパット・トーマス。

トムソンは謙虚なチャンピオンといわれたが、それを端的に示すエピソードだ。


全英オープンがリンクスでのみ
行われている問題について
議論されたのを私は聞いたことがない。
内陸部のコースを推す声にも
R&Aは耳を貸さなかった

ピーター・トムソン


ピーター・トムソンは全英オープンに5回勝ち、英国から叙勲されている名手。しかし、プレーヤーとしてだけでなく、ゴルフ全般にわたって自分の意見をしっかりと表明する評論家・ジャーナリストの資質も持ち合わせていた。

1950年、ロンドン近くのウエントワースにコースを造った不動産会社が、「海浜コースのリンクスばかりでなく、内陸部でも全英オープンを開催してほしい」との希望をR&A(全英オープンを主催する世界のゴルフの総本山)に提出したときも、実現しなかったことに対して、カナダの月刊誌に表題の言葉で苦言を呈している。

全英オープンの開催地がスコットランドのリンクスばかりに偏重集約されるのは、内陸コースの発展を妨げると思ったのかもしれない。

権威にもおもねらないジャーナリスト、トムソンの真骨頂といったところだ。

■ピーター・トムソン(1929~2018)

豪州・メルボルン生まれ。19歳でビクトリア・アマ選手権をとり、20歳でプロになったが、本当はビクトリア工科大学で化学を専攻したかったという。日本などのアジアや、欧州、英国を主戦場に選ぶ渡り鳥人生で、5度の全英オープン制覇を含む欧州ツアー24勝、豪州ツアー20勝、日本ツアー7勝を挙げる。1988年に世界ゴルフ殿堂入り。米シニアツアーでは11勝。ゴルフ設計にも造詣が深く、170を超えるコースを設計。またゴルフジャーナリストとしても非凡な才能を発揮している

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