【私の「とんぼ」愛】成田美寿々<後編>「逃げて失敗するより、チャレンジして失敗したほうがいい」
4月からのテレビアニメ放送を前に「オーイ! とんぼ」好きを自認する著名人の皆さんに“とんぼ愛”を語ってもらうリレー連載。今回は前回に引き続き、プロゴルファーの成田美寿々に話を聞いた。
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- 4月からのテレビアニメ放送を前に「オーイ! とんぼ」好きを自認する著名人の皆さんに“とんぼ愛”を語ってもらうリレー連載。今回の語り手は、プロゴルファー成田美寿々。この連載初の“ご本人”登場です! 漫画と現実のダブル優勝 ――成田プロは、プロゴルフ界で早くから“とんぼ推し宣言”をしていただいた恩人です。だから、私もうれしいです。ゴルフ雑誌から生まれた漫画がアニメ……
イガイガ、二子女…
人間くさいところがいい
――好きなキャラクターはいますか? 自分以外で(笑)。
もちろん、とんぼは大好きですよ。あとは(有働)二子女も好きですね。彼女は“人間らしさ”がありますよね。プロゴルファーとしての苦悩もちゃんと描かれていて共感しました。
――男性キャラクターはどうですか?
それはもうイガイガになりますね。二子女以上に人間くさいから。そもそも清廉潔白じゃ面白くないですよね(笑)。
――特に気になったとんぼの技と言えば?
うーん、「ゴンじいの舟打法」かな。
――1巻で、イガイガととんぼが出会ってまだ間もないころ。深いラフに入ったボールを3鉄で出す時の技ですね。舟の舳先が水面を切り裂くように……。
尖ったクラブの先端から入れれば、ラフが深くてもへっちゃらだという……物理的にはできそうですね。理には適っている。これをとんぼは感覚でやっているんですけど、イガイガが説明してくれるから読者にも理解できる。その解説がもう「なるほど」なんですよ。私たちプロが見ても、難しいけど実現不可能ではない、という感じ。
――しかも、成田プロは実際に遊びながらゴルフを覚えてきたプロ。とんぼの奇想天外な技術にワクワクしたのでは?
試合でも、うんと曲げなければいけない、すごく低い球で出さなければいけない……そんな場面って間々あるんですよ。そういうとき、私はわりと躊躇や恐れなくトライできていました。“とんぼ流”かな? 林からチョンと出してボギーで上がれるのに、あえて狙ってキャディさんが「やめてー」と言ったり(笑)。でも、出すだけじゃ“魅せるプロ”じゃなくないですか。「プロってこんなことできるんだ、すごい」と思ってもらいたいから。狙って失敗して、ボギーになったらそれはいいんです。ダボはダメだけど。逃げて失敗するよりチャレンジして失敗したほうがいい。どれだけ赤点取らないか、それも大事だけど、時には「エイヤッ」と、かっこいいところを見せたいじゃないですか。
――でも、勇気はいりますね。
最近だと、(岩井)明愛ちゃんとか、やったことのない技を試合で「エイヤッ」とやったりするじゃないですか。「スターだな」と思いますよ。しかも優勝争いをしているような場面で、さらにそれがいい形で実を結ぶというね。ああいう選手を見ていると私もうれしくなります。
――とんぼには、どんなゴルファーになってほしいですか?
難しい質問ですね。でも、いろんな楽しいこと、苦しいこと、いっぱい経験をして、最後の最後は島に帰ってほしいんですよ。で、また3鉄1本で島のコースを回って「私の原点はここだ」みたいな感じになって。で、そのうちとんぼに子どもができて、その子がとんぼから受け継いだ3鉄でゴルフをしたりして……あれ、この話、一生終わらない(笑)。でもね、とんぼが島でゴルフをしないという姿だってありだと思うんです。いろんな人生があっていいと思うので……。でも、ラストを考えるのはまだ早い(笑)。4月6日が楽しみです。
成田美寿々
1992年生まれ。千葉県出身。JLPGAツアー13勝。生涯獲得賞金は5億5210万2462円で、同賞金の5億円突破はJLPGAで30人目。プレーオフに強く5戦4勝、勝率80%