コロナ禍で「心を失った」43歳のケーシーが復活の15勝目。マスターズへ虎視眈々
欧州ツアーのオメガドバイデザートクラシックでポール・ケーシーがツアー通算15勝目を挙げた。43歳のベテランが見せた涙のワケとは?
若手との対決となった最終日、終始落ち着いたプレーでケーシーは後続に4打差をつけ圧勝。あふれる涙をこらえながら「辛い時期があっただけに本当に貴重な一勝。去年はゴルフがつまらなくて、まるで心を失ったみたいだった。感情もなくただゴルフをしていただけ。いまは違う。ゴルフを心から愛していると思える。本当にうれしい」と喜んだ。
ケーシーのスウィングコーチ、ピーター・コスティス氏によると「ロックダウンの前までゴルフの調子はすごくよかった」。ところがコロナの影響でツアーが中断。練習も満足にできず次第にモチベーションを失くし、激しく落ち込むこともあったという。
実際、19年はバルスパー選手権で優勝。出場18試合中トップ10が7回と好調だったのに、20年は全米プロの2位タイ(優勝はコリン・モリカワ)が唯一のトップ10。
コーチによると低迷の原因はコロナだけでなく長年ツアーで戦ってきたことの「勤続疲労」という。「オフになり、やっと本格的に練習を再開し長年着手できなかった基本の見直しを行いました。トレーニングも併用して足の使い方を修正しヘッドスピードを上げ、思いどおりの球を打つことができるようになった。パットも改善し心身ともに充実」。その結果、ケーシーいわく「若返った」というのだ。「いまは家族や周囲の人に感謝できる。自分がどれほど恵まれているかも理解できます。ここ数カ月信じられないくらい一生懸命ゴルフに取り組みました」。ツアー15勝目の涙のワケは戦うエネルギーが戻ったことへの感慨だった。
「マキロイやデシャンボーが最高のゴルフをすれば勝ち目はないけれど、自分のゴルフを貫けば僕にもチャンスはある」
ケーシーはマスターズに照準を合わせている。
週刊ゴルフダイジェスト2021年2月23日号より