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3年ぶり優勝のガルシアが実践“目閉じパット”。実は最強の上達法だった!

PHOTO/Atsushi Tomura THANKS /明治ゴルフセンター

先日、セルヒオ・ガルシアが試合中に目を閉じたままパットしていることが話題になった。果たしてなんのため? 我々も真似していいの? 「目閉じパット」の効用について考えてみた。

解説:伊丹大介
いたみだいすけ。東北福祉大ゴルフ部出身。スウィング理論に詳しいだけでなく、クラブやセッティングなどのギア知識からマネジメント、メンタルまで的確にアドバイスできる理論派プロ

目からの情報をなくすことで
ムダな動きが抑えられる

昨年10月の「サンダーソンファーマーズ選手権」で3年ぶりに優勝したセルヒオ・ガルシア。そのとき注目されたのが、「目を閉じたままのパット」だ。1月の「ソニーオープン」でも実践していたガルシアは、「目を閉じると本能に任せて打てるし、スムーズなストロークを維持できるんだ」と語っていた。

このガルシアの「目閉じパット」について、スウィング理論に詳しい伊丹大介プロに聞いてみた。「目から得られる情報はゴルフに限らず、あらゆるスポーツで不可欠なものです。グリーン上でラインを読むにも、距離感をつかむにも視覚情報は必須。ですが、情報が多すぎると、かえってムダな動作をしてしまうという側面もあるんです。ヘッドの動きに惑わされたり、ボールを打ちにいったり、体が突っ込んだり……。こういったエラー動作は、見えるからこそ起きてしまう。だからガルシアは目を閉じて打つのでしょう。本人も語っているように“本能に任せて打てる”というのが効用のひとつといえます」

目閉じパットを実践するガルシアは、アドレスを決めてから目を閉じ、バックスウィングをしてインパクト。その直後に目を開く。この流れについて伊丹プロは、「パットではインパクト時のフェースの向きが非常に重要な役割を果たします。そのため、ヘッド軌道(ストローク)やインパクトに意識が集中しやすい。その結果、パンチが入ったり、緩みや力みなどを生んでしまう。テークバックからインパクトまでを見ないようにすることで、そうしたミスを防ぐ効果が期待できます」

では、我々アマチュアも実践していいのだろうか?

「プロは結果がすべてです。ガルシアは何度も練習を重ね、試行錯誤した結果、目を閉じて打つほうがいいと判断したわけですが、一般ゴルファーがいきなり本番で『目閉じパット』を真似するのは危険。まずは練習で活用するのがおすすめです。目を閉じることでさまざまな“気づき”を得られるのは間違いないですから」

CHECK
目を閉じて片足で立ってみよう

身体能力測定で行われる「閉眼片足立ち」。目を閉じるだけで難度はグッと上がる。「バランスの悪い片足立ちで目を閉じると自分の重心がどこにあるか、どんな姿勢が安定するのかがリアルに感じられます。人間の本能が呼び起こされるからです」(伊丹)

「“インパクトのない”理想的な
ストロークが自然に身につく」

目を閉じる、というと真っ先に思い浮かぶのは、瞑想や座禅だろう。

「目を閉じるとさまざまな感覚が鋭くなります。視覚情報は全感覚の8割を占めると言われますから、目が開いた状態では、他の感覚が鈍くなってしまう。視覚を遮断することで視覚以外の感覚を取り戻す、これが目閉じパットの効果のベースになります。パットには“感性”が不可欠です。とくに距離感はレッスンにおいても難しいテーマで、どのくらいの力加減でどのくらい転がるのか? この感覚は人それぞれ異なります。ゴミ箱に紙クズを投げるとの同じで、距離感を磨くには感性が必要なのです」(伊丹)

練習に「目閉じパット」を取り入れることで、悪いクセを取り除く効果が期待できると伊丹プロは言う。

「パットの悪癖と呼ばれるものは大きく4つあります。そのすべてを目閉じパットで直すことができます。もっとも多いのが、ヘッドを真っすぐ引いて真っすぐ出そう、というストロークの過剰な意識です。パットの成否はフェースの向きが重要ですから、スクエアにインパクトしたいというのはわかります。ですが、ヘッド軌道にこだわりすぎると余計にストロークは乱れ、フェースの向きやインパクトが不安定になります」

パットの4大悪癖は
目閉じパットで解消できる!

目を開ける弊害1. ヘッド軌道にとらわれる

アマチュアに多いのが、ヘッドをどう動かすか(ストローク)にこだわりすぎることだ。ヘッドやボールが見えることが要因だが、目を閉じてしまえば、そんな意識もなくなる。真っすぐ出そう、上手く当てようという意識が、自然な動きを邪魔してしまうのだ

目を開ける弊害2. リズムが安定しない

リズムが狂うとパンチや緩みの原因になる。伊丹プロは「目を閉じるとリズムが崩れません。秒数をカウントするとき、目をつぶりますよね。それと同じです。目を閉じるだけで自分に最適なリズムで動けるんです。ですからパンチや緩みもすべて解消できます」

目を開ける弊害3. 軸がブレる

ボールに当てにいこうとすると、頭が動いて軸がブレやすい。閉眼片足立ちと同様、目を閉じることで重心位置に敏感になる。目を閉じていれば、体が突っ込むことも、頭が動くこともなくなり、軸が安定する

目を開ける弊害4. 体に力が入る

ボールが目に入ると、緊張から体が硬直してしまいやすく、スムーズなストロークもできなくなる。「目閉じパットは素振りと同じ感覚になる」と伊丹プロ。素振りで力む人がいないように目閉じパットをすれば、力みもすぐ解消できる

「パットで重要視してほしいのはストロークやインパクトではなく「ターゲット(カップ)への意識」です。よく生徒に『パットはボウリングと同じ』と教えますが、ボウリングは投げるとき、ボールも手元も見ません。ターゲットしか見ないはずです。つまりインパクトがなくなれば、理想的な動き(ストローク)ができるのです。目閉じパットをすれば、当然、ストロークの意識もインパクトへのこだわりもなくなります。あるのはターゲットに向かってボールを転がすイメージのみ。このイメージこそが、パッティング技術を高める肝になります」

目閉じパットで練習することで、ストロークの型にとらわれず、ターゲットに対して自分なりの自然な動きでボールを転がしていくことができるようになると伊丹プロ。さっそく試してみる価値はありそうだ。

目閉じパット応用ドリル1
方向性を磨く「ボール当て」

真っすぐなラインで50 cm~1m先にボールを1個置く。アドレスでラインを確認したら、目を閉じて、ボールに当てるつもりで打つ。自分の感性と実際の方向のズレを確認することができる

目閉じパット応用ドリル2
距離感を磨く「ちょいオーバー打ち」

1~3m先にターゲットを設定し、そこを通過させて20~30cm先で止めるイメージで打つ。ターゲットはカップではなく、マーカーやリングを使用。ターゲットの先の直径20~30cmの円内にボールが止まれば合格

週刊ゴルフダイジェスト2021年2月9日号より