Myゴルフダイジェスト

  • ホーム
  • レッスン
  • 【江連忠のPROJECT E】Vol.230 ジャック・ニクラス「下半身の躍動感はアマチュアこそ見習うべき」

【江連忠のPROJECT E】Vol.230 ジャック・ニクラス「下半身の躍動感はアマチュアこそ見習うべき」

片山晋呉や上田桃子など、数多くのトッププロを世に送り出してきた江連忠が、自身の経験をもとに、レジェンドのスウィングに宿った“本質”を語る!

TEXT/Yumiko Shigetomi PHOTO/本誌写真部、Blue Sky Photos


●今月のレジェンド●

ジャック・ニクラス

1940年、米国出身。メジャー18勝(最多記録)、PGAツアー73勝。精悍な容姿と金髪から「ゴールデンベア」と呼ばれ、圧倒的な人気を誇った


脚を使うことを怖がらないでほしい

誰よりも高い弾道で圧倒的な飛距離を武器に歴史に名を刻んだニクラスは、大きなフットワークとアップライトなスウィングが特徴的でした。

当時の重くて短いドライバーではアップライトに振らないと球が高く上がらなかったので、ニクラスはヘッドの円弧が楕円ではなく真円になるように意識していたと言われています。ニクラスのように、頭をあまり動かさずにコックは少なめ、そして手を高く上げてアップライトに振れば真円になります。その円のなかで脚を大きく強く使ってパワーを出していました。

トップではヒールアップして強く右足に乗り、切り返しでインステップ(かかとを元の位置より外側に下ろす)して左に強く踏み込んでいます。インステップすることによって「左の壁」が強くなるので、より積極的に脚を使えるようになるメリットがあります。

現代はこれほどフットワークが大きい選手は少なくなりましたが、下半身を使えば使うほど上体の力みは取れるものなので、力みやすいアマチュアこそニクラスの下半身を参考にするといいと思います。とくに年齢とともに体が回りにくくなった人は、ヒールアップして脚でリズムを刻むような打ち方をすれば体も回って再現性が高くなります。

ニクラス’s Swing
下半身を使えば使うほど上体の力が抜けてくれる

飛ばないアマチュアは下半身が止まって上体の力に頼って打っている人が多い。フットワークを積極的に使うようにすれば、下半身リードで切り返せ、上体の力みが取れる

ニクラスの系譜を継ぐのはこの2人

スコッティ・シェフラー

現代では珍しいフットワークの大きさ。インパクトで右足が後ろに滑るのは、体の前後の重心バランスを取っているから。ニクラスより体を開いて打っている

グレッグ・ノーマン

ニクラスをお手本にゴルフを覚えたノーマンは、アップライトスウィングの継承者。上半身の動きはシンプルで、ヒールアップこそしないが下半身に躍動感があった

江連忠

1968年生まれ。東京都出身。高校を卒業して渡米し、ミニツアーを転戦しながらジム・マクリーンに師事したのち帰国。日本のプロコーチ第一人者となり、片山晋呉や上田桃子を賞金王に育て上げた

月刊ゴルフダイジェスト2022年12月号より