【浦ゼミナール】Vol.33 練習場のようなショットがコースで出ない! それ、練習そのものに問題があるのでは?
身長171㎝で420Yという驚異の飛距離を誇る浦大輔が、スキルアップのコツを伝授する連載「解決! 浦ゼミナール」。第33回は、練習場ではうまく打てるのにコースではダメになってしまう“練習場シングル”の理由に厳しく迫る。
TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Hiroaki Arihara THANKS/√dゴルフアカデミー
浦大輔
うらだいすけ。身長171cmで420Y飛ばす飛ばし屋にして超理論派。東京・赤坂で√d golf academyを主宰
漠然と球数を打ってもコースでは役に立たない
――今回もアマチュアの素朴な悩みシリーズなんですが……どうして練習場ではうまく打てるのにコースではうまくいかないのでしょうか。
浦 これもツッコミどころ満載ですね(笑)。まず声を大にして言いたいのは「普段練習場で、コースを想定した練習をしていませんよね?」というところからでしょうか。
――普段の練習の質が低いということですか?
浦 大きくくくればそういうことですが、もっと根本的な部分です。アマチュアの練習風景でよく見かけるのが、1発打って、そのまま一歩も動かないでクラブでボールをチョイチョイって寄せて、次の球を打つヤツ。何ならグリップも両手で握りっぱなし。コースでこんなことします?
――絶対にしませんね。
浦 ここまでひどくなくても、自動ティーアップで出てきた球を、同じ場所に立ちっぱなしでバンバン打つのも同じです。それでナイスショットできたとしても、コースでうまく打てる根拠には一切ならない。結局、練習場でやっていることとコースでやることがあまりにも乖離しすぎているので、練習場でうまくできたとしてもそれがコースでのナイスショットにつながらないんです。本当にコースで結果を出したいなら、練習場での練習をどれだけコースでのショットに近づけられるかにもっとエネルギーを割くべきです。たとえばクラブにしても、練習場ではみんなドライバーを連続でバンバン打っていますが、ドライバーをティーアップして2発以上続けて打つのは、OBしたときか、ドライバーのティーショットがホールインワンしたときしかないでしょう? 本番を想定するなら、この2発目以降はあまり意味がないんです。
――なるほど。毎ショットクラブを変えなきゃダメってことですか。
浦 それが理想ですが、最低限、打ったら一度打席を外して、狙いを確認し、ルーティンの最初からきちんとやり直してリセットしてください。
1球1球必ず打席を外して構え直す!
コースと同じシューズでは高さが変わってしまう
練習場のマットとコースの芝では足の沈み具合も違うので、厳密にはボールと体の距離が変わってしまう。浦さんはそこまで考慮して、練習とコースでシューズを変えているという
練習場でのミスを記憶から消していませんか
浦 それともうひとつ言っておきたいのが、「練習場ではうまく打てている」っていうそもそもの土台が嘘なんじゃないですか? ってこと。
――えっ! そこですか?
浦 練習場で本当にナイスショットできているのかなというところは、顧みてほしいですね。
――練習場の人工芝マットは、ソールが滑ってミスがごまかされるというのは聞きますが……。
浦 それもそうですが、これももっと根本的な話。クラブを持ち替えて1発目をチョロッ! とかやっているのを「なかったこと」にして、次のショットでいい球が出たら「うん、うまく打ててるじゃん」とか思っていませんかということ。コースで出るのって、その1発目ですよ?
――あぁ、あるかもしれません。
浦 コースでこのチョロが出ると「右のOBが見えたせい」とか「ビトゥイーンの距離だったんで力んだ」とか言い訳しますけど、「それ、普段練習場で打っている1発目が出ただけでしょ」っていうケース、意外と多いと思いますよ。いずれにしても、こういう部分まで含め、コースを想定した実戦的な練習をしていない人がコースでいい球が打てるわけがないんです。繰り返しますが、本当にうまくなりたかったら、練習場での1発をどこまでコースでの1発に近づけられるか、もっと工夫してください。
――でもやっぱり練習場の打席はコースとは景色が違いますから、視覚的なプレッシャーの影響などは再現できませんよね。
浦 そんなことありませんよ。ロケーションは頭の中でイメージして作れるんです。「あのポールよりも左に行ったらOB」とか「あのグリーンの右には絶対外しちゃダメ」ときちんと設定し、一球一球ターゲットを決めてそこに正しく立ち、狙ったところに正確に打つ練習をすれば、それはコースで生きます。そういうの、やっていませんよね? 「150ヤードの看板付近に行けばナイスショット」という程度の練習では、コースで「グリーン右のバンカーを絶対避ける」ショットは打てないんです。まして連続して打って「いまよりちょっと左」というようなことをやっていたんじゃ話になりません。打ち出し方向にしても、ドライバーで「20ヤードのカゴの上を通して最後少しフェード」とか、普段そういう練習をしていれば、コースで左から木がせり出していても「あそこに打ち出してフェード」というショットが打てる。「コースでうまくいく」ことを期待するなら、最低でもこのくらいの練習はしてください。
――すごく時間がかかるし、球数が減りそうです。これではスウィングを作ったり距離感を磨いたりするところまで手が回らなさそうです。
浦 そういうことを身につける反復練習は、今回お話しした実戦練習とは別にする必要があります。反復練習は、動きや感覚を身につけたりするために必要な練習ですが、実戦的な1球に集中する練習とは似て非なるまったくの別物。上達するためにはどちらも不可欠です。大事なのはこの2つを混同しないこと。できれば同じ日にはやらずに、「今日は実戦練習の日」「今日は反復練習の日」と決めて、練習場も変えたりできればベターです。中途半端に本番を想定したまま反復練習をしているとイップスにもなりやすいので絶対にやめてください。
ときには反復練習も必要!
実戦練習と両輪の関係
月刊ゴルフダイジェスト2022年11月号より