頑固おやじのクラブ工房Vol.15 流行りのハイトウ型ウェッジ、どんなメリットがある?
世界のトッププロたちが愛用する、最近流行の『ハイトウ』型ウェッジ。オヤジさんのウェッジ論を聞いてみよう。通勤GD「頑固おやじのクラブ工房」 Vol.15
Q、ハイトウウェッジの打ち方は?
トウが高く、フェース全面にスコアラインが入っているウェッジがUSツアーで流行っているようですが、イマイチどんなメリットがあるのかわかりません。打ち方の相性とか、ありますか? (41歳・HC8 ・会社員)
A、元をたどればピン『アイ2』
「オヤジさん、そろそろウェッジを買い替えようかと思うんですけど、キャロウェイの『PMグライ
ンド』とか、テーラーメイドの『ハイトウ』みたいなのって、どんなメリットがあるんですか? 形が独特なんで、気になっているんですけど」
この常連さん、ずっとクリーブランドかボーケイのウェッジを選んでたんだが、最近目立ってきたハイトウ型のウェッジを試しに使ってみたくなったんだと。
「まあ、ある意味、スウィートエリアが広いんだよ。トウ側の上のほうまで重量があるから、重心距
離が少し長くなって、重心高さも少し高くなるからな」
「えーと……? それで、なんでスウィートエリアが広くなるんですか?」
ウェッジはロフトが大きいから、スウィートスポットより下に打点が広がる。芯下で打つから、ボールもフェースに食いつくし、スピンも安定してかかるようになる。
「中途半端に重心が低いと、芯とか芯上に当たってフライヤーもどきのショットが出たりする。これじゃダメだよな」
「でも、普通の形状のウェッジでも、そこそこ高重心だ、てオヤジさん、教えてくれたじゃないですか。別にハイトウ型でなくてもいいんですよね?」
「まあ、そう焦んなさんな。重心距離が長め、ていうのが効いてくるんだな、フェースを開くと」
ハイトウ型の元祖はピンの往年の名器『アイ2』。ロングセラーになったのには、理由があるんだ。
長い重心距離で当たり負けない
ピン『アイ2』の良さは、重心距離が適度に長めで、結果的に芯の周辺の打点を利用した時に、ヘ
ッドの挙動、打ち出し角、スピン量が安定しやすかったことなんだ。
「重心がヒール寄りだと、フェースを開くと芯よりトウ側の打点に当たりやすくなる。打球の勢いを殺すのにはいいんだけど、安定させるのが難しい。その点『アイ2』は、フェースセンターの下から入れて、ボールをトウ上に逃がすように抜いても、当たり負けないから打球が安定したのさ」
クリーブランドとかのティアドロップ型も、考え方はほほ同じ。
「でも、今どきのハイトウ型ぐらいトウ上にボリュームを置いたほうが、ラフとかで使い勝手はいい
だろうな」
「と言いますと?」
「ラフで草の抵抗を減らすようにフェースを開くと、ボールの下をくぐりやすくなって打点がトウ上
方向にズレた場合の大ショートが防げる。それに、重心距離が長いとフェースターンが緩やかになるだろ。引っかかりにくくなるんだ」
どんなアプローチでも、フェースターンが入らないとフェースの食いつきがバラついて、打球は安
定しない。だからって、急にひっくり返るようでもダメ。
「グッと返そうとして、適度にジワッと回るのが、重心距離が長めのウェッジのイイところさ。あ、
フェースを無理に開かなくていいけどね、ロフトが大きいヤツなら。テーラーメイドのはリーディ
ングエッジに丸みがないから、スクェアに構えやすいだろ」
「『PMグラインド」は『アイ2』みたいに刃が丸いですね」
「そういやピンの新しい『グライド3.0」にも似たような形があったな。刃が丸かったり、スコアラインが全面に入っていたりとかだと、見た目の構えやすさも変わってくるから、実際に見比べたり、
試打してから決めるといいよ」
『アイ2』はソール形状も秀逸だったんだが、新しいハイトウ型はどうかな。まあ、いろいろ試して
みることだね。
月刊GDより(イラスト/コーチはじめ)