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【名手の名言】ヘンリー・コットン「誰だってシングルプレーヤーになれる。ただし『教え魔』に会わなければ、だ」

レジェンドと呼ばれるゴルフの名手たちは、その言葉にも重みがある。ゴルフに限らず、仕事や人生におけるヒントが詰まった「名手の名言」。今回は、1930年代に活躍した英国のレジェンド、ヘンリー・コットンの言葉を2つご紹介!

1934年、37年、48年と全英オープンを3度制しているヘンリー・コットン


誰だってシングルプレーヤーになれる
ただし「教え魔」に会わなければ、だ

ヘンリー・コットン


昔、「ダンロップ65」という世界中でベストセラーになったボールがあったが、これはコットンが1934年に全英オープンで勝利した際、2日目に出した当時としては驚異的なスコア「65」を顕彰して、英国ダンロップ社が発売したもの。

1920年代、全英オープンはボビー・ジョーンズらの米国勢に席巻されていたが、34年、ついにコットンがそれを阻止し、故国に栄光を取り戻した英雄となったのだった。

そんなコットンが、若いときから言い続けていたのが表題の言葉だ。

コットンはスウィング理論についても探究心に富み、木に登って俯瞰からのスウィング軸を研究したり、他のプロたちの写真を比較分析したりした。タイヤを叩く練習法はあまりにも有名である。

そんなコットンだったから、無責任な「教え魔」を糾弾したのである。自分より下手だとみると、すり寄って偉そうに教える輩を「口を出すのなら、最後まで面倒見るべきだ」、そうしないのは自分が上手いことをアピールするだけの卑劣な行為だとまで断罪したという。

さらにはスコットランドの古い諺「ハンディ20の人に教わった者は19になれない」をひいて、教える人の資質を問うたのである。


ゴルフでは最も簡単なことが、最も難しい。
それは「脱力しろ」と「ゆっくり振れ」の
2つのセオリーだ

ヘンリー・コットン


1976年、スペイン・アンダルシア地方のゴルフ場取材のおり、あるコースから乞われ、メンバーたちにレッスンをしていたコットンがいた。

そのとき教えていたのが、“古タイヤ叩き”練習法だった。クラブのヘッドをカットして、シャフトだけのクラブで古タイヤを叩くのである。

そうすると、脱力、つまり力を抜いて打てばスウィングスピードは速くなるということが実感できるということだった。

「力を抜いて打ちなさいといっても、頭で理解しただけではできるものではありません。力を抜いて脱力すれば、シャフトを早く振ることができると、体が覚えるまでタイヤを叩きなさい」と、コットンは話した。

全英オープンに3回も勝った偉大なプロの言うことに皆、深くうなずいたものだった。

力を抜いて、ゆっくり振ったほうがヘッドは走るし、ナイスショットになるとは、頭でわかっていても、体はそうではない。考えていることと逆、逆になっていくのがゴルフの不可思議なところなのである。

力の入れ方ではなく力の抜き方、速く振るのではなくゆっくり振ってヘッドを走らせる方法。計測器など、技術が進化した現在でも、こればかりは反復練習によって体に覚え込ませるしかなさそうだ。

■ヘンリー・コットン(1907~1987年)

1907年英国生まれ。14歳で英国アマに優勝して、天才少年と呼ばれ、17歳でプロ転向。34年、全英オープンを制し、故国のヒーローに。37年、48年も優勝。晩年はスペインに住み、同国のゴルフ普及に貢献した。