【通勤GD】迷ったとき、ユハラに帰れ! Vol.29 今の構えで四角い箱を真っすぐインパクトできますか? 湯原信光 ゴルフダイジェストWEB
“形ではなく打ちやすさ”でパットのスタイルを確立するべきと湯原信光。では、その自分流はどのように見つけるべきなのか。パッティングはタッチがすべて、ともいうが…。今週の通勤GDは「迷ったとき、ユハラに帰れ!」Vol.29
【通勤GD】
通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。
【湯原信光プロ】
ツアー7勝、シニアツアー1勝の日本を代表するショットメーカー。とくにアイアンショットの切れ味は、右に出るものはないと言われた。現在は東京国際大学ゴルフ部の監督も務め、後進の指導にも力を注いでいる。
前回のお話し
パターの芯で打つこと、フェースはラインに直角、大切なのはそれだけ
GD 前回は練習の中から自分なりのパッティングスタイルを作っていくという話でしたが、具体的にはどんな練習をすれば、自分流のスタイルが作れるのでしょうか?
湯原 パッティングに限らずスウィングも含めて、さまざまな練習方法やドリルがゴルフ雑誌やネットなどにあふれています。そのなかから、自分が納得できるものを選び、そこに自分なりの創意工夫を加えること。それがスタイルを作っていく上では大切です。
GD 肝心なのはパターフェースの芯でボールを打ち、そのときにフェースが想定しているラインに対して直角になっていることですよね。それを自宅の絨毯の上とか、パターマットで練習するとき、フェースがスクェアになっているかどうかは、どのようにチェックすればいいのでしょうか?
四角い箱をスクェアにインパクトできるかな?
湯原 30~40㌢くらいの短い距離に目標物を置いて、そこへ打ち出せていればフェースがスクェアになっていると考えられます。もっと厳密に練習したいのであれば、ゴルフボールケースなど角がある直方体をボールの代わりに打つといいでしょう。箱の大きさは、一面がパターフェースよりも短ければ何でも利用できますよ。
湯原 フェースが開いてインパクトすると、ヒールのほうが先に箱の角に当たって箱は右に回転するし、逆にフェースが閉じていると、トウが先に箱の角に当たって左に回転する。スクェアに当たれば箱が真っすぐに進むという原理です。
GD スクェアにインパクトするためには、やはりヘッドの軌道はストレート・トゥ・ストレートのほうが有利な気がするのですけど、どうなんでしょうか?
湯原 いや、インパクトでフェースがスクェアになっているなら、アウトサイドインでも、インサイドアウトでも、インサイドインでも、もちろんストレート・トゥ・ストレートでも、自分がしっくりするものであれば何でもOKです。パッティングはボールが潰れるほどのヘッドスピードは出ません。ヘッド軌道で回転が変化することはないのです。
GD 右に曲がるラインはアウトサイドインにカット気味に打ったほうがラインに乗りやすいというプロもいるし、インサイドインの扇型のストロークのほうがボールに強い力が与えられるというプロもいます。それについてはどうでしょうか?
湯原 それはそのプロが持っている感覚であって、物理的に考えるなら、インパクトでどれくらいの力をボールに与えるかだけの問題で、ヘッド軌道はボールの転がりに影響を与えません。
GD なるほど。100㍎以上の距離を打つならともかく、パターで打つ距離はせいぜい30㍎ぐらいまで。その距離を打つヘッドスピードを考えれば、インパクトでボールをつかまえるとか、逆にこするとかは、あまり意味がないということですね。
湯原 パッティングでいちばん大切なのは、タッチ、つまり距離感を作ることです。芯でスクェアに打つのは基本ですが、それができないと、タッチも合わせることが難しくなってしまいます。
GD ヘッド軌道は関係ないにしても、毎回トウやヒールに当たって打点がバラバラになっていたのでは、転がる距離が変わってしまうからですね。
湯原 芯でヒットすること。ラインに対してスクェアにヒットすること。この2点が揃うのがもっとも運動効率のいいインパクトですが、その効率がいい状態で打った感覚がタッチになるようにする。これが大切なんです。
GD 「速い下りのラインでは、わざと芯を外して打つといい」なんてことも聞きますが、そんなことはできるのでしょうか?
湯原 それもプロ独特の感覚でしょう。アマチュアが真似をすると、むしろパッティングを難しくしてしまうかもしれませんよ。あくまでも芯で打ったときの感覚を大事にしたほうがいいでしょう。
GD 上りでも下りでも。あるいは右に曲がるラインでも左に曲がるラインでも、打ち方は変えないほうがシンプルということですね。
湯原 同じ距離でも上りのラインの打ち出しは転がるスピードが速く、下りのラインの打ち出しは遅く転がります。それに芝目の抵抗が加わります。簡単にいえば、打ち出されたボールの転がりは、地球の引力と芝の抵抗という物理的要素で決まってしまいます。それを読むのがライン読みなんです。もちろん、風が強いときはそれも考慮しなければなりません。
立っている場所よりもカップ近くの傾斜
GD ライン読みでは「セカンドショットを打ってグリーンに行くまでに、少し遠くから全体の傾斜を見ておくように」と言われました。ライン読みで大事なポイントはほかにどんなことがありますか。
湯原 打ち出された直後のボールはスピードがあるので引力や芝の抵抗をあまり受けずに直進性が高いですが、段々とスピードが落ちてくるに従って引力や芝の抵抗で方向を変えるようになります。つまり、ボールスピードが遅くなるカップ周りの読みが非常に大切になるのです。
GD カップ手前で急に止まったり、左右に切れたりして悔しい思いをしたときは、カップ周りを読み切れていないんですね。読むコツはありますか?
湯原 カップの縁を四方から観察して、どこがいちばん高くなっているのかを見極めます。それがわかればカップ周りでボールの曲がり具合やスピードの変化もある程度予想できるでしょう。その読みをふまえて、強いタッチでストレートに近いラインを打つのか、ジャストタッチで流し込むのか、その中間で打つのか、タッチによってラインは変わってきます。
GD そこに芝目の影響も加わりますよね。
湯原 もちろんです。しかし、いくら芝目が強くてもボールは引力に逆らうような動きはしないということを覚えておいてください。右から左へ順目になっている場所から右に曲がるラインを打った場合、芝目がない場所から打つのに比べて曲がり幅は小さくなりますが、引力に逆らって左に曲がるということはあり得ません。
GD しかし、「あれっ? 高いほうへ転がっていく」と感じるときもありますよ。
湯原 それはグリーン全体やコース全体が傾斜地に造られていたときに、その傾斜を水平だと錯覚してしまうから、微妙な高低差がわからなくなってしまうのでしょう。あくまでも錯覚なのです。
GD 高速道路で急な下り坂からゆるい下り坂になると、上り坂に感じてしまう錯覚と同じですね。
引力のとおりに立つクセをつけよう
湯原 ショットも同じですが、グリーン上を含めて、コースには平らな場所はありません。だから地面に対して直角に立つのではなく、あくまでも地球、つまり引力ですね、それに対して垂直に立つバランス感覚を大事にしましょう。それである程度そういう錯覚は防げると思います。
GD 右に曲がるラインだと読んだのに、アドレスに入ったらつま先のほうが高い気がして「やっぱり左曲がりなのかな?」と迷ってしまうことがあります。見た目と自分のバランス感覚が異なった場合、どちらを信じればいいのでしょうか。
湯原 立っている場所がつま先上がりだからといって、ボールのある位置も同じ傾斜だとは限りませんし、ボールとカップを結ぶラインも立っている位置と同じ傾斜というわけはありませんよ。打ち出してから曲がり始めるポイント、カップ手前で大きく曲がりだすポイント、少なくともラインの2カ所、長いラインなら3、4カ所、曲がりの頂点を見つけてライン取りを考えるようにすると、ある程度、迷いが払しょくされるようになるでしょう。
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