【今平周吾・鈴木愛】賞金王と賞金女王のスウィングづくり。1年前、2年前とどこが変化しているのか
東京五輪出場とともに3度目の賞金ランキングトップを狙う今平周吾と鈴木愛。年々、研ぎ澄まされていくスウィングの変化をプロコーチ・内藤雄士が解説してくれた。
今平周吾
いまひらしゅうご。92年10月生まれ。27歳。埼玉県出身。ツアー4勝。11 年にプロ入り、15年に初シードを獲得。その後、確実にランキングを上げ、19年には史上5人目となる2年連続の賞金王に輝いた。
過去5年の賞金ランキング
2015年 24位
2016年 10位
2017年 6位
2018年 1位
2019年 1位
鈴木 愛
すずきあい。94年5月生まれ。25歳。徳島県出身。13年にプロ入りすると、翌14年に20歳で日本女子プロを制覇。以降、正確なパッティングを武器にツアー16勝を挙げ、17、19年には賞金女王の座に就く。
過去5年の賞金ランキング
2015年 14位
2016年 5位
2017年 1位
2018年 3位
2019年 1位
【解説】内藤雄士
ないとうゆうじ。プロコーチ。日大ゴルフ時代、米国にゴルフ留学し、最新の理論を学ぶ。その後、丸山茂樹、平塚哲二、矢野東らのコーチを務める。ラーニングゴルフクラブ代表。
【今平周吾の変化】
捻転差がさらに強まり
パワフルな振り抜きに!
前回賞金王になった2018年と、2度目の賞金王に輝いた2019年。その違いが顕著に見られるのがバックスウィングです。
18年は、重心がほぼセンターにあり、トップで頭がやや左に傾いていますが、19年には、上半身がしっかりと右股関節の上に乗り、背骨が真っすぐな状態のまま、胸がキレイに回っています。この重心位置の変化と、傾きのない動きが、スウィングに大きな影響を及ぼしています。
トップで右の肩甲骨が見えるようになったのは、重心移動がスムーズになり、捻転差が大きくなった証拠。
また、右股関節に上体を乗せたまま切り返せるようになったことで、ビハインド・ザ・ボールの動きが強調され、レベルからアッパー軌道で、よりパワフルな動きが可能になりました。その結果が、より躍動感のある、より大きなフィニッシュへとつながっているのです。
この変化は、トレーニング効果もあるでしょうが、海外での戦いを見据えたものだと思います。右股関節の折り込みが強くなり、そこに貯め込んだエネルギー爆発が効率的に行えるようになり、よりパワフルで安定感のあるスウィングへと進化したと言えそうです。
【鈴木愛の変化】
大きな体重移動のまま
上方向への動きが完全に消えた
鈴木選手の素晴らしさは、体重移動を大きく行っても下半身が伸び上がらないところにあります。前回賞金女王になった2017年と2019 年。2つのスウィングを比較する と、その長所がさらに磨かれているのがわかります。
4~5コマ目の動きに注目してください。2017年を見ると、ダウンでじゃっかん右に傾き、インパクトでわずかに左肩が浮いています。
一方、2019年では、ダウンで右股関節の上に頭が真っすぐ乗り、上半身が下を向いた状態をキープしたままインパクトを迎えていて、上方向への動きがまったく見られません。
軸の傾きがなくなったことによって上体の回転方向が変わり、インパクトで左肩が真後ろに抜けて、スムーズな回転が可能になったのです。
その結果、フォローで体が少し反って浮き上がる動きも抑えられ、腰の高さがまったく変わらずにフィニッシュを迎えています。これは、股関節間の体重移動がスムーズに行われるようになった証拠。
元々のスウィングのよさは変わらないまま、ネガティブポイントを修正することで、より完成度の高いスウィングに仕上がりつつあると言えるでしょう。2020年シーズン、2人のプレーとともに、スウィングの進化にも注目したいと思います。
週刊GD2020年2月18日号より
週刊ゴルフダイジェストをキンドルで読む↓
ゴルフダイジェスト会員権サービス部が厳選
おすすめゴルフ会員権はこちらから↓
「プロ名鑑スウィング」バックナンバーはこちら↓