【通勤GD】迷ったとき、ユハラに帰れ! Vol.35 タイミングは合わせるよりも、見つけるもの 湯原信光 ゴルフダイジェストWEB
アマチュアは、タイミングやリズムを合わせようと練習するものだが、「それは大きな間違い。スウィングの本質から考えれば、タイミングは合わせるものではなく、見つけるものです」と湯原信光。タイミングを見つける言葉の真意とは?
【通勤GD】
通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。
【湯原信光プロ】
ツアー7勝、シニアツアー1勝の日本を代表するショットメーカー。とくにアイアンショットの切れ味は、右に出るものはないと言われた。現在は東京国際大学ゴルフ部の監督も務め、後進の指導にも力を注いでいる。
前回のお話し
自分のタイミングをみつけるために
まずは丁寧にテークバックする
GD 前回に引き続き、スウィングのタイミングについて教えてください。
湯原 インパクトゾーンに、どういうスピードでクラブヘッドを通過させるのかがスウィングの目的。そのためにクラブを上げて下ろすわけだから、そこに集中します。どのように上げて、どのように下ろすかを考えすぎると、そういう情報が頭のなかでいっぱいになって脳からの指令が錯綜するから、スムーズな動きを邪魔してしまうのです。
GD インパクトゾーンに集中して無心になれれば、タイミングの狂いはなくなるということですか?
湯原 丁寧にやる必要はありますよ。毎回、テークバックするたびに上がる方向がバラバラだったり、フェースが開いたり、シャットになったり、いい加減なのはダメです。自分が意図したインパクトゾーンに対して、丁寧にスーッと上げるのです。
GD 「無心」と「いい加減」とは違いますね。
湯原 前回、「始動はある程度曖昧にしておいたほうがいい」といいましたが、それはいい加減という意味ではありません。切り返しでも同じです。テークバックで、厳密にここへ上げて、ここで切り返すというふうに考えずに、“どんなスピードで、どんな角度でインパクトするかに集中するべきだ”という意味です。
GD プロは「どんなタイミングでテークバックを始動して、どんなタイミングで切り返すか」などは考えないといっていましたが、それでもカメラのシャッター音とか携帯電話の音などが聞こえると、切り返しのタイミングがズレることがあるそうですが。
湯原 予想外のことが起きると「あっ」とは思う。そうすると、筋肉が意に反して反射的な動きをします。筋肉のどこかが硬直するから、いつもとは違うタイミングになってしまうわけです。だから、どんなタイミングでも打てるように、私は指導している大学ゴルフ部の部員たちに、切り返しのタイミングをわざと変えて打つ練習をさせているのです(前話で説明)。
スウィングが速くなるとは
“間”がなくなること
GD 突発的な音とか外からの変化はともかくとして、優勝経験がないプロが、優勝争いで試合終盤に入ると、切り返しのタイミングが速くなったり、動きが全体的にぎこちなく見えたりすることもあります。我々でも、ベストスコアを更新できそうになると、たぶん同じようになるのでしょうね。
湯原 速く見えるという理由は、“間”が作れなくなっているからです。決してスピードがアップしているわけではありません。
GD “間”がないということは、下半身と上半身が同時にダウンスウィングに入ってしまうということ?
湯原 そうです。体全体が一緒に動いてしまうから、動きが速く見える。ですが、実際にはヘッドスピードは遅くなっています。トーナメント解説では、「ちょっと速かったですね」と言ったりしますけど、本当なら「ヘッドの動きが遅かったですね」というべきでしょうね。
GD それは手が動きだすタイミングが早まるからですか?
湯原 それはありますね。俗にいう“手打ち”です。緊張するということは、筋肉が硬直しやすくなるわけです。体を柔らかく使えなくなって、下半身と上半身が同時に動きだし、切り返しの“間”がなくなって速い動きに見えてしまう。それで“速い”と表現するのでしょう。
変化への対応力を磨くために
GD 練習に湯原プロのような指導者がいて、前回紹介したような「スー、パン」「スーー、パン」といった掛け声に合わせて、テークバックとダウンスウィングのタイミングを変化させて打つ練習ができるといいんですが、こうした練習はひとりではなかなか難しい。
湯原 スマホなどにあらかじめ自分で掛け声を何パターンか録音しておいて、イヤホンで聞きながら練習するという方法もあります。やろうと思えばほかにもいろいろとアイデアはあるはずです。
GD 自分に最適なリズム、テンポ、タイミングを作って、そこから変化させる訓練になりますね。このシリーズで紹介した、一本足の連続素振りのような練習法も、一定のリズム、テンポ、タイミングを作るのに役立ちそうですね。
湯原 私は、人それぞれに一定のリズム、テンポ、タイミングというものがあると思うのです。
GD わざわざ作らなくても、誰もが固有のものをもっているということですか?
湯原 だから、“作る”のではなく“見つける”といったほうがいいでしょう。ゆっくりのほうがいいとか、速ければ速いほどいいとか、諸説あってレッスンでもよく取り上げられていますけど、ゆっくりにしろ速いにしろ、万人に画一的にはできません。
GD それはそうですね。宮里藍プロのようにゆっくりで成績を出したプロがいれば、ジャンボさんのように速いタイミングで一世風靡したプロもいますからね。
自分固有のタイミングを感じ取る
湯原 歩くスピードが人それぞれ違うようなものです。
GD ウインドーショッピングをしているときと、朝、会社へ急ぐときでは、同じ人でも歩くスピードは変わると思いますが、そういう目的がなくて、ただ歩くだけの場合は、その人固有の歩幅で、固有のスピードになっているでしょうね。
湯原 目的やその日の体調などで変わる可能性はあっても、「歩く」「振る」といったものは大きく変わるものではありません。体内時計のようなものです。先ほどの話に出たように、携帯電話の音とか、優勝争いの緊張感とか、一定ではなくなる状況に遭遇した時、どう対処すべきかを考えておいたほうがいいということ。
GD 自分の体内時計が乱れたときの対応ですね。
湯原 私がゴルフ部員たちにやらせている、「スー、パン!」とか「スーーパン!」と号令を掛けてタイミングをずらした指導は、そういう対処法を身につけてもらうのが目的。それを「1歩1㍎で歩かなきゃダメだ」とか、「メトロノームに合わせて振れ」とか、画一化しようとするのはどうかと思いますね。自分の固有のリズム、テンポ、タイミングを感じ取る訓練のほうが、ずっと役に立ちます。
GD 要は自分固有のものを大事にするということですね。
湯原 トップの位置なども人それぞれで、ここでなければダメというものはありません。
GD そうですね。プロのトップの位置だって千差万別ですね。それでも、それぞれに成果を出しているということは、どちらが正しいなどと決められないということですよね。
湯原 その人が意図するインパクトに対してどこまで上げるのかというだけのことです。振り下ろしやすいポジションは人それぞれです。
湯原 人は、肩幅も腕の長さも、可動域もみんな違うわけで、どこまで上げて、どこで切り返すかも違う。ただ、自分でもっともパフォーマンスが発揮しやすいところを、自分自身で探らなければならないのです。
週刊GDより
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