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【名手の名言】赤星六郎「トーナメントではナイスショットをたくさん打つよりミスショットを少なく打つほうが勝つ」

レジェンドと呼ばれるゴルフの名手たちは、その言葉にも重みがある。ゴルフに限らず、仕事や人生におけるヒントが詰まった「名手の名言」。今回は、第1回日本オープンをアマチュアながら制し、ゴルフ場設計家としても足跡を残した赤星六郎の言葉を2つご紹介!

兄の四郎とともに日本のゴルフ草創期を築き上げた赤星六郎


トーナメントでは
ナイスショットをたくさん打つより
ミスショットを少なく打つほうが勝つ

赤星六郎


ストロークプレーの本質を衝いた名言である。

なぜなら、トーナメントではスコアを競うのであって、ナイスショットを競うのではないから。ナイスショットはスコアを縮める手段ではあるが、すべてではないのである。

ナイスショットを続けてもパットが入らなければ、アンダーのスコアにはならないし、そこそこのショット内容でもびっくりするほどのアンダーが出たりする。

しかし、ドライバーが曲がり、林や深いラフに入れたら、パーでさえ危うくなる。つまり、ナイスショットのスコアへの貢献度より、ミスショットのスコアへの悪影響のほうが大きいということ。それは全米、全英オープンなどのメジャー競技では特に顕著になる。

メジャーではコースの難度を可能な限り上げてセッティングされ、ひとつのミスが命取りになることは日常茶飯事である。350ヤードのビッグドライブより、280ヤードでもいいから、曲がらないそこそこのショットを継続することが、勝利への近道となるのだ。

かの球聖ボビー・ジョーンズは、「トーナメントゴルフとゴルフがある。もう私はゴルフをしたいのだ」と言って引退した。この言葉の裏には、一度としてミスが許されないトーナメントゴルフの過酷さが表現されている。愉しむなら「ゴルフ」なのだと。

エンジョイゴルファーであれば、当然ナイスショットを希求するのも楽しみの一つだが、スコアを追求するのであれば、1つでもミスショットを減らすことが近道というわけだ。


コースからスコアだけを持ち帰る者に
友人はできない

赤星 六郎


米国留学から帰国し、日本ゴルフ史の礎を築いた赤星六郎。表題の言葉のほかにもたくさんの箴言(しんげん)を残している。

その言葉の底に流れているのは「ゴルファーたるもの、紳士であれ」ということだ。これは米国留学の折に触れた“アマチュアイズム”にある。

一世代前のビクトリア朝的騎士道精神――フェアプレーの精神――が、アマチュアスポーツマンシップに具現化している。これは初期オリンピックにみられるように英米共通の文化とみていい。

ゴルフには特にこの精神が継がれ、英米の上流階級に浸透した。この空気に赤星は触れたわけである。

「紳士は春風のごとくおおらかであれ。春風は誰に対しても優しいものだ」

赤星はこんな言葉も残している。

■赤星 六郎(1898~1944年)

あかほし・ろくろう。戦前、米国に留学した実兄の赤星四郎と六郎は帰国後、米国でのゴルフ体験から、日本でも楽しいゴルフを普及することに努め、日本ゴルフ草創期を築いた。第一回日本オープンはアマチュアながら優勝。その後、後進の指導、ゴルフ場設計に足跡を残した。我孫子GC、相模CCがその作品