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【工房系ドライバー調査団】Vol.1 アキラプロダクツ「“誰もやらない”への挑戦」

小規模ながら高い技術力で個性的なクラブを作っている全国各地の「地クラブ」。そのなかから工房で人気となり、秘かなブームとなっているモデルを紹介していこう。

PHOTO/Takanori Miki

ヘッド後方にあるウェイトポートは3カ所。2~8g(2g刻み)のウェイトを配置することで、重心位置を動かすことができる


アキラプロダクツ

(東京都)

「先行メーカーの物真似に終始しない」「長く使える本物をつくる」「消費者を裏切らない」という理念のもと2001年に設立。翌年、ヘッド体積300ccが主流だった時代に425ccの大型ヘッドをラインナップしたクラブ第1号「ヴィンテージ」ドライバーを発売。以来、斬新な発想で新素材、新技術、新構造を追求。08年には久保谷健一と契約し「プロトタイプ」シリーズを発表


商品開発課・西倉修二さん(左)
商品開発課・中村浩二郎さん(右)

西倉さんはプロサービス課の課長を兼任。プロといちばん近いポジションで、“顔”などの形状を決定。中村さんはその形状にあった構造を決め、そこから素材を選定するスペシャリスト

左サイドを恐れず振れて
中弾道のロースピン

地クラブながら久保谷健一などツアープレーヤー複数人と契約するアキラプロダクツ。プロが使う「プロトタイプ」のなかで社長の堀江孝男さんが監修しているのが『Hシリーズ』だ。

「“プロトタイプ”という名前からわかるようにプロ向けに製作したモデルなので万人向けというわけではありません。とくに球をつかまえられないゴルファーには絶対に合いません。思い切り叩いても左に行かないドライバーを探している中上級者に喜んでもらえるヘッドになっています」というのは本製品を開発した商品開発課の西倉修二さん。西倉さんはプロサービス課の課長でもあり、久保谷などの契約プロに直接クラブを手渡し、フィードバックを受けるポジションにいる。

「やはり看板プロのひとりである久保谷プロの意見は大きいですね。アドレス時の“顔”は久保谷プロの好みに仕上がっていて、“Hシリーズ”の初代から8代目となる今回のモデルまで、ヘッドサイズに違いはありますが、すべて同じように見えるようになっています。久保谷プロからも『気持ちよく構えられる』というお墨付きをいただきました」という。


「『H-8シリーズ』は久保谷プロから、『大型ヘッドのやさしさも欲しい』という要望があったのと、弊社として極端にスピン量を減らすためにどうすればいいかということを考えて製作しました」というのは商品開発課の中村浩二郎さん。中村さんは素材やヘッド構造の開発を担当している。

このモデルで目を引くのはやはりウェイト調整機能の多さだ。「フロントにはプレート状のカランビットウェイト、バックには3個のウェイトポートがあります。カランビットウェイトは標準の赤が4g 、黒が1g 、青が10g と3種類。ウェイトポートには2、4、6、8g のウェイトを配置することができ、重心位置を大幅に変えることができるのがこのヘッドの特徴でもあります」と中村さん。それを受けて西倉さんは「ここまで変えられるようにした理由は、球を打つゴルファーが人だから。その人に合うクラブは十人十色です。工房のクラフトマンが医者になって、ゴルファーという患者に最適な処方薬(クラブ)を提供する。その医者の武器になるヘッドを提供するのに必要と判断しました」という。

フェース素材はTi-180(α+βチタン合金)という新素材を採用。「450ccの大型ヘッドで、久保谷プロの好む小ぶりなシェイプにするにはディープフェースにする必要がありました。しかし、これまでのチタン合金では反発係数が規制値を上回る可能性があったので新素材を採用しました。その素材のおかげで偏肉鍛造フェースを製作でき、スイートエリアを拡大させ、オフセンターヒット時のエネルギーロスを最小限にし、飛距離のロスを低減することができるようになりました」(中村さん)

アキラプロダクツ
「プロトタイプH-8シリーズ」

トップラインはフラットに見えるように曲線をつけ、トウ寄りのリーディングエッジにボリュームを持たせることでつかまるイメージを持たせている

◎素材/Ti-180チタン(フェース)、6-4チタン(ボディ) ◎ロフト角/8.5度(H-809 PLUS)、9.5度(H-810 PLUS) ◎ライ角/58.0度 ◎ヘッド体積/450cc ◎価格(ヘッド)/6万8200円

週刊ゴルフダイジェスト2022年5月3日号より