「最終日の朝、妻の前で泣きじゃくった」マスターズVのシェフラー、圧勝劇の裏で…
初優勝から5試合で3勝を挙げ、世界ランク1位に上り詰めたスコッティ・シェフラーが、マスターズでメジャー初優勝を飾った。
「トーナメントをリードして18番のグリーンに上がる光景を夢見てきた。ジョーダン(・スピース)が大量リードしてグリーンに上がったようにね」。最後は4パットのダブルボギーだったが、それもご愛嬌。3打差の勝利に「言葉がない」と、25歳は喜びを爆発させた。
2日目に5打、3日目を終えて3打リードし首位に立ったが、決して楽な戦いではなかった。土曜日は一緒に家を借りていたS・バーンズが予選落ちしたため、メレディス夫人と2人だけの静かな夜を過ごしたという。
「車で夕食を買いに行った帰り、車内で食事をこぼしてしまってムカついた。彼女はそれがおかしかったと笑い続けたけど、釈然としなかったよ。そのあと2人でテレビを見た」
そこまでは普段と変わらない週末の過ごし方。しかし一夜明け最終日の朝を迎えたシェフラーは、妻の前で「赤ん坊みたいに泣きじゃくった」という。
「まだこの状況に耐える準備ができていない。どうしていいかわからないと泣きつくと、『それは神様が決めること、あなたが心配することじゃないわ』と言われた。そうか、今日が自分の日ならそのような結果が出るだろうし、82を打てばそれは神様の思し召し。そう思って朝食をたっぷり食べた。2日連続でお腹が痛かったけれど、食べたらなんとか落ち着いた」
そしてコースに着き、1番のティーショットを打った瞬間、「すべてから解放されたように自分のゴルフに集中できた」とチャンピオン。
鍵になったのは3番のチップインバーディ。そこで流れをつかみ、一度も首位の座を明け渡すことなく勝ち切った。
「初めてマスターズの招待状を受け取ったときも泣いた。ここで勝つことができたなんて夢みたいだ」。王者は感慨深げに呟いた。
週刊ゴルフダイジェスト2022年5月3日号より