【浦ゼミナール】Vol.26 ハイバウンス=やさしいとは限らない! 最適ウェッジの選び方
身長171㎝で420Yという驚異の飛距離を誇る浦大輔が、上達のコツを伝授する連載「解決! 浦ゼミナール」。第26回は、自分に合ったウェッジの選び方を教えてくれた。
TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Hiroaki Arihara THANKS/√dゴルフアカデミー
ウェッジとの相性はバウンス次第
――前回はアプローチの打ち方について細かくお聞きしましたが、浦さんは普段から、アプローチにおいてはウェッジ選びも大事だとおっしゃっていますよね。
浦 そうですね。アマチュアには自分に合わないウェッジを使っているせいでアプローチを自ら難しくしている人が結構多いと思います。
――ウェッジが「合う」「合わない」は具体的に何が大事なんですか?
浦 基本的にはバウンスです。ロフトは自分の打ちたい距離や高さを打つために重要ですが、ロフトがスウィングに合っているとか合わないというような適性はありません。でもバウンスはスウィングとの適性があって、使っているウェッジのバウンスが自分のスウィングに合っていないと跳ねたりザックリなどのミスも出やすいし、距離も方向もズレやすい。下手なわけではないのになんだかアプローチが思ったように寄らない人は、バウンスが合っていないというケースは結構あると思います。
――なるほど。やっぱりアマチュアにはハイバウンスのほうがやさしいんでしょうか。
浦 そうとは限りません。大事なのはバウンスの量が自分のスウィングに合っているかどうか。巷にはハイバウンス=やさしいというイメージがあるようですが、なぜそんな誤解が広まったのでしょうね。もしかすると、ひと昔前にプロがこぞってローバウンスのウェッジを使い流行った時期がありましたが、その反動なのかもしれません。たしかにああいうローバウンスすぎるウェッジは、上から鋭角に、というよりカット軌道でぶつけるように打つアマチュアには合わないですから、そういうのはやめましょうというニュアンスで「ハイバウンスのほうがやさしい」といわれたのが広まったのかもしれません。
――なるほど、そういう側面はありそうです。でも、自分のスウィングに合ったバウンスの量ってどういうことですか?
浦 インパクト時にソール面がほぼ真っすぐ地面に接地するようなバウンスの量が適正です。この状態なら、跳ねることも刺さることもなく、ソールがスムーズに滑って多少のミスならカバーしてくれますが、これよりもバウンスが多すぎるとソールがジャマして跳ねやすく、逆に少なすぎるとバウンスが利かずザックリしやすい。単純に言えば、ハンドファーストが強い人ほどバウンス多め、弱い人ほどバウンス少なめが合いやすいということになります。これはウェッジを置いてシャフトを傾けてみれば一目瞭然ですよ。
ハンドファースト強めならバウンス多め
ハンドファーストなほどバウンスのボリュームがないとソール後方が浮いてしまい刺さりやすい
ハンドファースト弱めならバウンス少なめ
ハンドレートになるとソール後方が出っ張ってきてジャマになるのでローバウンスのほうがいい
球の高さが判断基準になる
――自分にはバウンス角が何度のウェッジが合っているのかを見極める指標はありますか?
浦 実は自分でそれを判断するのはとても難しいんです。ちゃんとした目を持った人にスウィングを見てもらうのがいちばんなんですが……裏技があるにはあります。
――どんな方法ですか?
浦 自分の周りでいちばんアプローチが上手い人を基準にするんです。その人と同じ距離を打って自分のほうが球が低いならその人よりもバウンス多め、球が高いならバウンス少なめのウェッジが合います。基準にする人は、上手ければ上手いほどいい。できればプロゴルファー、最低でもHC5下くらい。そのくらいの人なら自分に合ったウェッジを使っている可能性が高いですから、その人よりも球が低いということはハンドファーストに当たっているのでバウンス多め、球が高いということはハンドレートに当たっているのでバウンス少なめにすれば適正である可能性が高いというわけです。
――なるほど。でもそんなに上手い知人はなかなか身近にいないかもしれませんね。
浦 知らない人でもいいから、声をかけちゃいましょう。自分が行っている練習場でいちばん上手いっていうくらいの人に「あなたがいちばん上手いので、使っているウェッジを見せてください」って言えば、相手も悪い気はしませんよ(笑)。ポイントは、同じロフトのウェッジで打つことと、30ヤードくらいの距離を完璧なナイスショットでキャリーがピッタリ同じになった場合のショットを比較することです。
――ソールの形状なんかはどう考えればいいですか?
浦 厳密に言えば構えたときの座りという点で多少は関係してきますが、まずはバウンス角が合っている前提での話。自分の適正バウンスを見つけた後で、構えやすいと感じる気に入ったソールを見つければいいという程度ですね。あえて言うなら、あまり角張っていなくて丸みのあるソール形状のほうが抜けやすくていいとは思います。
――構えた顔はどうでしょう?
浦 顔は完全に好み。構えやすくて好きな顔のものを選んでください。ただ構えた顔の話をすると、アマチュアはウェッジのスクエアな状態を勘違いしている人が多いので、正しいスクエアは知っておいてほしいですね。
――正しいスクエアというと?
浦 ウェッジは、リーディングエッジが真っすぐになった状態がスクエアなわけではではありません。少しフェースを開いて、ネックとフェースの付け根の「フトコロ」などと呼ばれる部分がターゲットラインに直角になった状態がウェッジのスクエアなんです。定規などを当ててみるとわかりやすいんですが……。
――えっ? これがスクエアなんですか?
浦 そう。ウェッジはこうやって構えるクラブなんです。リーディングエッジの真ん中でスクエアを取ったらそれはかぶっている状態。この本来のスクエアにセットしたときにイメージが出る顔を見つけましょう。それから最後にもう1点。ウェッジは消耗品です。週1ゴルファーで1年くらいが賞味期限で、長く使いすぎるとすぐにスピンが利かなくなってしまいます。「まだ使えるかな」くらいが替えどきですよ。
浦大輔
うらだいすけ。身長171cmで420Y飛ばす飛ばし屋にして超理論派。東京・赤坂で√d golf academyを主宰
月刊ゴルフダイジェスト2022年4月号より