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【名物ホールでいつかバーディ】Vol.12 目の前の傾斜と富士山からの芝目が感覚を狂わせる「富士ゴルフコース」18番パー4

かつてチョイス誌の編集長も務めたゴルフコースのスペシャリストが日本全国の名物ホールをレポート。今回紹介するのは、山梨県にある富士ゴルフコースの18番ホール。

【名物ホールFile 12】

富士ゴルフコース 18番ホール
356Y PAR4

グリーンに立つまでわからない
一見やさしい18番に仕掛けられた“罠”

昭和10年、山梨県最初のゴルフ場として誕生した富士ゴルフコースは、人力で溶岩台地を切り開き造られた。設計は工学博士の明石和衛によるもので、広いフェアウェイを持ち、ハウス右側から時計回りのアウト、反時計回りのインというレイアウトになっている。コースは洋芝のため緑がとても鮮やかで、雪化粧した富士山とのコントラストが強く印象に残る。本州では全面洋芝のコースが少ないため、いつもとは趣の異なるプレーが体験できる。

18番パー4はレギュラーティーで345ヤードと距離は短いが、右にOBがあるためティーショットは左狙いが無難。ラウンド当日は左に行きすぎてしまったため、ピンまで160ヤードの距離が残った。打ち上げと判断してUTを手にしたが、洋芝特有の粘りにやられグリーンの手前へ。グリーン左にあるバンカーの深さと傾斜から判断すると、上りに見えるので積極的にピンを狙ったが、球は止まらないで転がり続ける。「そうか、富士山から順目だった!」と打った後に気付いてももう遅い。このホールは富士山からの芝目と打ち上げの傾斜が相まって、距離のミスをするゴルファーはかなり多いそうだ。

振り返ると富士山が夕暮れの陽を浴び、ほんのり赤味がかっていた。スコアが悪くても1日中富士山を眺めながらのラウンドは実に清々しい。

80余年の歴史ある名物ランチ

来場者に人気のあるランチは厳選された素材による伝統の「和牛重」2850円

富士ゴルフコース

山梨県南都留郡山中湖村山中262-1
18H・6792Y・P72 
コース設計/明石和衛


文/吉川丈雄

特別編集委員。1970年代からアジア、欧州、北米などのコースを取材。チョイス誌編集長も務めたコースのスペシャリスト。現在、チョイス誌ベスト100選考委員、日本ゴルフコース設計者協会名誉協力会員としても活動


月刊ゴルフダイジェスト2022年4月号より